【試乗】新型 フォルクスワーゲン ゴルフ R|走行性能アップでクルージングからサーキットまでこなす“真のオールラウンダー”へ!
カテゴリー: フォルクスワーゲンの試乗レポート
タグ: フォルクスワーゲン / ハッチバック / ステーションワゴン / 4WD / ゴルフ / ゴルフヴァリアント / EDGEが効いている / 藤野太一
2025/06/13

2Lターボは最高出力333psを誇る高出力チューン
5月中旬、フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、新型「ゴルフ R」「ゴルフ R ヴァリアント」のダイナミックな走行性能を存分に体験できるイベント「Thrilling R(スリリングR)」を、千葉県木更津市のポルシェ・エクスペリエンスセンター東京で開催。そのプレス向けのイベントに参加する機会を得た。
いまフォルクスワーゲンはRモデルのブランドイメージの拡大に向けて世界中でイベントを開催しており、これもその一環として行われたものだ。この日のためにドイツから開発担当ドライバー 、フォルクスワーゲンRブランドアンバサダーのベニー・ロイヒター氏、フォルクスワーゲンRテクニカルデベロップメント エンジニアのヨーナス・ティーレバイン氏、フォルクスワーゲンRセールスマーケティング責任者のペドロ・マルティネス・ディアス氏の3名が来日していた。
あらためてゴルフ Rとは、2002年のゴルフ4世代の「R32」に始まったゴルフのフラッグシップモデル。それまでゴルフの最速モデルといえばGTIだったが、2WDのGTIに対して、R32はリアサスをマルチリンク式に変更し4WDシステムを採用。エンジンは3.2L V6エンジン(VR6)を搭載するなど特別なモデルとして生まれた。以降、ゴルフには世代ごとにRモデルが設定されており、最新の8.5世代ゴルフをベースとした新型は6世代目のゴルフ Rとなる。

エクステリアでは、新デザインのバンパーやLEDヘッドライト、リアコンビネーションランプを採用。グリル中央にあるVWエンブレムはベースモデルと同様に浮かびあがるように白く光るようになった。
インテリアでは、中央に大きく回転計を配した専用デザインのデジタルメータークラスターを採用。フラットボトムタイプのステアリングホイールの操作部はタッチ式スイッチとなり、また大型のパドルシフトが備わっている。シートはヘッドレスト一体型のスポーティなもので、ベースグレードはブラック/ブルーのR専用デザインのマイクロフリースシート、上級グレードのアドバンスはシート側面部分にカーボン調エレメントを配したナパレザーシートを標準装備する。
パワートレインは、進化し続けている2L 4気筒ターボ「EA888」エンジンとして最も高出力なチューニングが施されたもので、最高出力は先代比+13psの333ps、最大トルクは420N・mを発揮する。トランスミッションは7速DSGだ。

GT性能を高めることで軽快なGTIと差別化
まずはゴルフ Rで全長約2.1kmのハンドリングトラック(周回路)を走行する。
ここではコース前半のS字コーナーが連続する区間でゴルフ Rのハイライトのひとつである“Rパフォーマンストルクベクタリング”を試す。これはエンジン出力を前後アクスルに配分するだけでなく、リアアクスルの左右それぞれに湿式多板クラッチを配して自在にトルク配分をコントロールし、コーナリング時には外輪により多くのトルクをかけることで旋回性を高めるというもの。あえてアウトインアウトの理想的な走行ラインはとらず、コースの真ん中を走って試してみたが、ほとんどロールすることなく抜群の安定感をもってコーナーをクリアしていく。デジタルメーターの左側にリアルタイムの駆動力配分がバーの伸縮によって表示される仕組みになっており、常に緻密にコントロールされていることがわかる。
走行モードは「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「レース」「カスタム」という5種類が用意されており、出力特性や可変ダンパー、パワーステアリング、そしてエンジン音などが各モードに応じて最適化される。
同じコースをGTIでも試したが、スタビリティの面ではRには劣るものの動きが軽快。駆動方式の違いはもとより車両重量はRが1510kgなのに対してGTIは1430kgなのも要因だろう。アジリティ性の高いGTIとよりGT性能を高めたRと、うまく性格分けがなされているようだ。

次に、ダイナミックエリアではパイロンスラロームコースが設定されており、ハッチバックのゴルフ Rとゴルフ R ヴァリアントの比較を行った。
全長はハッチバックが4295mmなのに対して4650mmとヴァリアントが355mm長く、ホイールベースは2620mmに対して2670mmと50mm長い、そして車両重量は1510kgに対して1590kgと80kg重くなる。ハッチバックはアンダーでもオーバーでもない、まさにオンザレール感覚でパイロンの合間をすりぬけることができる。
ヴァリアントは長さや重さ、そしてボディのよじれのようなデメリットを感じるかと予想していたがいい意味で裏切られた。限界領域では若干の挙動の違いはあるものの、日常域ではハッチバックにほぼ遜色ないハンドリング性能をみせた。
最後は散水されたドリフトサークルで、横滑り防止装置のESCをオフにしてゴルフ Rで定常円旋回に挑戦する。
FFベースの4WDでドリフト状態を維持できるのかと思いきや、デモを披露してくれたインストラクターはものの見事に定常円旋回を決めてみせる。先の“R-Performanceトルクベクタリング”をはじめ電子制御ディファレンシャルロック“XDS”や4MOTIONなどシャシー全般を統合制御する“Vehicle Dynamics Manager”により、アクセル操作をきっかけに後輪を大きく振り出すことができ、そして欲しいタイミングで瞬時に前輪へトラクションが配分されるためスピンモードにはいたらず、コントローラブルで安定したドリフト走行を可能としている。


Cセグメントのワールドスタンダードといわれるゴルフにあって、快適性や実用性を損なうことなく、高速道路もサーキットもすべてのステージを高いレベルで走行できるまさにフラッグシップゴルフである。
そして、車両価格はハッチバックが704万9000円~、ヴァリアントが712万9000円~といまどき競争力のある設定であることを鑑みれば、ゴルフ Rは、真のオールラウンダーだといえるかもしれない。





ライター&エディター
藤野太一
カーセンサー、カーセンサーネットの編集デスクを経て、カーセンサーエッジの創刊デスクを務める。現在はフリーランスのライター&エディターとして、自動車誌をはじめビジネス誌、ライフスタイル誌などにも寄稿する。
MC前のフォルクスワーゲン ゴルフRの中古車市場は?

ゴルフのフラッグシップモデルとなる4WDのハイパフォーマンスモデル「R」。8世代目となるゴルフをベースとし、最高出力320ps/最大トルク420N・mを発揮する2L 直4ターボエンジンを搭載する。左右後輪のトルク配分調整によりコーナリング性能を向上させるRパフォーマンストルクベクタリングや電子制御式デフロック(XDS)を備えるなど、走行性能や快適性を進化させている。
2025年6月上旬時点で、中古車市場には30台程度が流通、支払総額の価格帯は470万~730万円となる。ワゴンのヴァリアントは25台程度流通、支払総額の価格帯は480万~640万円。
▼検索条件
フォルクスワーゲン ゴルフR(マイナーチェンジ前)▼検索条件
フォルクスワーゲン ゴルフR ヴァリアント(マイナーチェンジ前)【試乗車 諸元・スペック表】
●R アドバンス 4WD
型式 | 7BA-CDDNFF | 最小回転半径 | 5.1m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.3m×1.79m×1.46m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.62m |
ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.54m/1.52m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1520kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ピュアホワイト、ラピスブルーメタリック、グラナディラブラックメタリック |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 7BA-CDDNFF |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 7AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ピュアホワイト、ラピスブルーメタリック、グラナディラブラックメタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.1m |
全長×全幅× 全高 |
4.3m×1.79m×1.46m |
ホイール ベース |
2.62m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.54m/1.52m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1520kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | -m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | DNF | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 56リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1984cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 333ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/5500 |
エンジン型式 | DNF |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1984cc |
最高出力 | 333ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/5500 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 56リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
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