【試乗】アルピナ B7│自らステアリングを握らないともったいない、真のドライバーズカー!
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2021/10/04
究極の走りと快適性の共存はアルピナにしかできない芸当
「B7」は、アルピナにとって歴史のあるモデル名。1978年にアルピナがはじめて手がけた生産車は当時の5シリーズベースの“B7ターボ”であり、“世界最速の4ドアセダン”の称号を得て、のちに追加された6シリーズベースの“B7ターボクーペ"とともに、その名を広く知らしめた。
ちなみに、80~90年代にかけては、7シリーズ(E32型やE38型)をベースとしたモデル「B11」や「B12」といった車名が使われていた。7シリーズをベースとするB7が誕生するのは、2000年代に入ったE65型の頃からだ。アルピナ初のスーパーチャージャー付きエンジンを搭載し、ロングホイールバージョンも用意された。
2016年、現行型7シリーズのロングホイールベースバージョン(G12型)をベースとした「B7 BITURBO LIMOUSINE LONG」がデビュー。アルピナ初のインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングと四輪駆動との組み合わせがエポックだった。そして、2019年にベースとなる7シリーズのマイナーチェンジに合わせ、デザインやドライブ・トレイン、ドライバー・アシスタンス・システムなど全方位でのアップデイトが実施された。
新型は「ALPINA B7 Long Allrad」という車名にあるように、日本仕様ではロングホイールバージョンで4WDのみの設定となる、アルピナにとってのフラッグシップモデルだ。ボディサイズは、全長5270mm、全幅1900mm、ホイールベースは3m超の3210mmで、広大な後席空間をもつ。ドライバーズカーづくりに長けたアルピナが手がけたショーファードリブンというわけだ。
パワートレインは、4.4L V8ツインターボで、ZF製の8速スポーツATを組み合わせる。メカニズムはBMW譲りのものだが、タービンを大径化するなど独自のチューニングを施し、最高出力608ps、最大トルク800N・mを発生。0-100 km/hまで加速は先代モデルが4.2秒だったのに対して3.6秒にまで短縮。
巡航最高速度は330km/hに到達する。このパワーは、V12エンジンで最高出力609ps、最大トルク850N・mを発揮するBMWのフラッグシップ、M760Li xDriveに匹敵するものだ。ちなみに車両重量はM760Li が2320kgなのに対して、B7は2175kgに抑えられている。
インテリアは、アルピナ独自のカスタマイズプログラムと、BMWのオーダーメイドプログラム“インディビジュアル”を組み合わせることが可能で、予算に糸目をつけなければ、唯一無二の贅を尽くした空間をつくりあげられる。試乗車はブラックのメリノレザーに綾織模様のステッチ、そしてホワイトのパイピングを施したBWMインディビジュアルによるシートをはじめ、アルピナ独自の“ミルテ”という赤茶のウッドパネルをふんだんに配していた。
ステアリングホイールも手触りのいいラヴァリナレザーが用いられ、操作時に指に干渉しないようにとクロスステッチではなく、手間のかかるストレートステッチで手縫いされている。後席はオプションのエグゼクティブパッケージによって、大型のコンソールが備わる4人乗り仕様となっており、ロングホイールベースらしく足元は広々としている。
▲ハイパフォーマンスモデルでありながら、派手な装飾やカーボンパーツなどを使用しない上品さが、アルピナの美学のひとつだ
▲リアには、4本出しステンレスエグゾーストや独自設計のディフューザーを備え、デザインと機能性を両立させている
▲装着されている20本スポークホイールの製造には、1本あたり数時間もかけられているというひとたび走りだせば、とても全長5.2m超のボディとは思えないほど軽快な動きをみせる。絶妙なバランスでチューニングされたエンジンは、2000~5000回転で最大トルクを発生するため、ターボラグやトルクの谷を感じさせることはない。常にフラットな特性で、スムーズにペダルへの微細な入力にもリニアに反応し意のままに加速してくれる。
もちろん、シルキーさでいえば絶滅危惧種であるV12エンジンは魅力的だが、日常領域で静粛性高く、ドライビングを楽しみたいシーンで躍動感を感じさせるこのユニットは、アルピナらしさにあふれている。
そして乗り味は、これぞ“アルピナマジック”というべきもので、オプションの21インチ超扁平タイヤでも極上のハンドリングと乗り心地を実現している。BMWがランフラットにこだわるのに対して、アルピナはランフラットではない専用開発のミシュラン・パイロットスポーツ4Sを装着。シャシーは、電制ダンパーに、エアサスペンション、アクティブ・ロール・スタビライザーとリア・アクスル・ステアリングを採用。
さらに、カメラで路面の凹凸をとらえて、減衰力を最適化するロード・プレビュー機能付きのアクティブ・コンフォート・ドライブも備えており、ハードウエアとソフトウエアの両面でアルピナ独自のチューニングが施されている。
もし、とにかく快適なショーファーカーが欲しいというなら、あえてこのモデルを選ぶ理由はあまりないかもしれない。近い予算で、M760Li xDriveやメルセデス・マイバッハ Sクラスやベントレー フライングスパーだって選べる。
わざわざアルピナを選んでおいて、後席にしか座らないなんてもったいない。積極的にステアリングを握ることをいとわず、時に後席でリモートワークする仕事熱心さで、時に親孝行や家族孝行も忘れない、“駆けぬける歓び”をとてもよく知っているエグゼクティブのための車なのだ。
▲ステアリング裏には、パドルシフトではなくシフトスイッチを搭載。素早いシフト操作が可能なうえに、表からは見えないため、ダッシュボードの上品さも損なわれていない
▲最高品質のレザーを使用し、職人の手によって丹念に製造されている
▲先代よりも4mm大きい54mmのターボを装備。制御ユニットも新しくすることで、低回転だけでなく高回転でのトルクも向上している▼検索条件
BMW アルピナ B7(現行型) × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●ロング アルラット 4WD
| 型式 | 7BA-7M50 | 最小回転半径 | -m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5.27m×1.9m×1.49m |
| ドア数 | 4 | ホイールベース | 3.21m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.62m/1.62m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 2175kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイトIII、ブラック、ブラック・サファイアメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、グレイシャー・シルバーメタリック、カーボン・ブラックメタリック、アークティックグレーブリリアントEM、インペリアルブルーブリリアントエフェクト、ソフィストグレーブリリアントエフェクトM、ベルニーナ・グレーメタリック、ドニントン・グレーメタリック |
||
| オプション色 |
アルピナ・ブルー、アルピナ・グリーン、アルマンディン・ブラウンIIメタリック、アヴェンチュリン・レッドIIメタリック、アズライト・ブラックIIメタリック、ドラパイト・グレーメタリック、ロイヤル・バーガンディ・レッドメタリック、タンザナイト・ブルーIIメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 7BA-7M50 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 4 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | アルピン・ホワイトIII、ブラック、ブラック・サファイアメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、グレイシャー・シルバーメタリック、カーボン・ブラックメタリック、アークティックグレーブリリアントEM、インペリアルブルーブリリアントエフェクト、ソフィストグレーブリリアントエフェクトM、ベルニーナ・グレーメタリック、ドニントン・グレーメタリック |
| オプション色 | アルピナ・ブルー、アルピナ・グリーン、アルマンディン・ブラウンIIメタリック、アヴェンチュリン・レッドIIメタリック、アズライト・ブラックIIメタリック、ドラパイト・グレーメタリック、ロイヤル・バーガンディ・レッドメタリック、タンザナイト・ブルーIIメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | -m |
| 全長×全幅× 全高 |
5.27m×1.9m×1.49m |
| ホイール ベース |
3.21m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.62m/1.62m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2175kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | V型8気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 78リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 4394cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 608ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/5000 |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | V型8気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 4394cc |
| 最高出力 | 608ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/5000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 78リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
【関連リンク】
この記事で紹介した車
BMWアルピナ
B7 ビターボ ロング アルピナ専用デコライン&Fスポイラ&20AW サンルーフ ソフトクローズドア ドライビングアシスト アンビエントライト BMWレーザーライト トップビューカメラ ブラックレザー
本体価格750.0万円
支払総額767.2万円
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