【試乗】新型BMW M4│刺激的マシンであるとともに日常性能も兼ね備える、洗練されたモンスター
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2021/10/06
▲先代より一回り大きくなり、とうとう500ps超えの大パワー鍛え抜かれた足回りを手にしたM4。もはやサーキットでしか真価を発揮できないほどに強烈。ただし新型では、最新の運転支援システムやインフォテイメントシステムを搭載し、日常的に使えるMとしても進化したという直6でしか味わえない気持ちの良い加速
2021年1月、新型M3/M4が発売された。初代M3(E30)は1986年に当時のDTM(ドイツツーリングカー選手権)のホモロゲーション用モデルとして開発されたもので、その成功がBMW M社を一躍有名にした。ボディタイプは初代では2ドアのみの設定だったが、2代目(E36)より、4ドアも追加された。
そして先代より、セダンは3シリーズ、クーペは4シリーズと区分されたことを受けて、M3/M4という名称になった。したがって、新型はM3としては6世代目、M4としては2世代目ということになる。
新型M4では3つのバリエーションを用意。ベースの「M4クーペ」、ハイパワーバージョンの「M4コンペティション」、そしてさらにサーキット走行に特化した「M4コンペティション トラックパッケージ」だ。さらに、今秋には4WDの「M4コンペティション xDrive」が追加されるという。
エンジンはM社謹製の3L直列6気筒ツインターボで、先代のS55型からS58型へと進化している。「M4クーペ」では最高出力480ps、最大トルクは550N・mを発揮。トランスミッションは6速MTで、後輪駆動のFR。M3にはこのMT仕様は設定されておらず、MTを味わいたいとなれば、これ一択となる。
「M4コンペティション」は、最高出力510ps、最大トルクは650N・mにまで高められており、トランスミッションは8速ATになる。トラックパッケージも同じパワートレインを搭載しており、500ps超のスーパーカーの世界ではもはや2ペダルが常識というわけだ。
エクステリアでは賛否両論が聞かれる縦長の大きなキドニー・グリルが目を引く。M4では、フレームレスになるのと、ボンネットもグリルと一連のものとして抑揚のあるデザインとなっており、実物はダイナミックでバランスは悪くないと感じた。
ボディサイズは全長4805mm、全幅1885mm、全高1395mm、ホイールベース2855mm。これは先代比で120mm長く、15mm幅広く、10mm背が高く、ホイールベースは45mm拡大している。大きくなったボディは、ボンネット、フロントフェンダー、ドアをアルミニウムに、ルーフにカーボン(CFRP)を用いて軽量化を施しているものの、車両重量は1730kgと、先代に比べて約100kg重くなっている。
試乗車のエクステリアはサンパウロ・イエロー、インテリアはヤス・マリナ・ブルーというなんとも鮮やかな色の組み合わせ。ちなみに、これらはMモデル専用色でレースやサーキットの名称に由来するものだ。
▲ヘッドライトやテールライトなどは、M3よりシャープなデザインとなっている。ルーフをカーボン製にしエンジン配置を後方にするなど、重量配分へのこだわりは新型でも変わらない
▲バルブを開くことで排気サウンドを向上させるスポーツエグゾーストボタンを装備。スポーツプラスモードと併用することで、刺激的なスポーツサウンドを堪能することが可能だ
▲フロントには19インチ、リアには20インチのアルミホイールを装備。タイヤはミシュラン パイロットスポーツ4Sを装着し、抜群のコーナリング性能を発揮する
▲エンジンの上には、車体剛性を向上させる本格的なタワーバーを装着するシフトノブの脇に配置された赤いエンジンスタートボタンを押すと、エンジンが目覚める。ゆっくりと走りだせば、もちろんMモデルだから足は引き締められてはいるけれど、それでも意外なほどに乗り心地がいい。いたるところが補強された屈強なボディと、電子制御ダンパーがいい仕事をしている。
直6ツインターボエンジンはまるで自然吸気のようなフィーリングで、アクセルペダルに力を込めると滑らかに高回転域まで吹け上がっていく。また、低回転域でのアクセル操作に対する追従性もよく、意のままに車が加速してくれるので飛ばさなくても運転が楽しい。500psを超えるスーパースポーツでありながら、日常領域で扱いやすいのがこの直6ターボエンジンの特徴といえる。
ドライブモードは、エンジン、シャシー、ステアリング、ブレーキ、トラクションコントロールの設定を選べる。また、シフトスピードも設定変更が可能。さらに、オプションの「Mドライブプロフェッショナル」を装備すると、距離や角度、時間などでドリフトの腕を採点してくれる「Mドリフトアナライザー」なる機能も備わるという。もちろん、これはクローズドコースでの使用に限定されている。
スポーツモードに切り替えれば、怒涛のパワーが押し寄せ、4本出しマフラーから勇ましいエグゾーストノートが聞こえてくる。しかし、公道にはその実力を発揮する場所はない。“コンペティション”の名のとおり、このエンジンの高回転域を存分に味わいたいなら、やはりサーキットに行くしかない。
そして、新型になって大きく変わったのが、最新のADAS(安全運転支援システム)を標準装備することだ。渋滞時に手ばなし運転を可能にするハンズオフまで備わっていた。
先代のM3/M4が発表された当時、開発者になぜADASを搭載しないのかと尋ねたことがあるが、それは“Mモデル”だからという回答だったと記憶している。やはり、この数年で安全に対する意識は大きく変わってきたことがわかる。ちなみに、もしADASは一切必要ないという硬派な方は、「コンペティショントラックパッケージ」を選ぶといい。こちらはADAS系装備が省かれており、カーボンセラミックブレーキや先のMドライブプロフェッショナルは標準装備となる。
新型M4は、快適で安全で洗練されていて実用性があって、しかもめちゃくちゃ速いグランドツーリングカーだ。そういう意味では初代M3からの正常進化とも言える。しかし、500ps級のピュアな6気筒の内燃エンジンを、後輪駆動で、しかもベースモデルならMTで味わえるなんて、おそらくラストチャンスに違いない。M4クーペが1298万円、コンペティションで1348万円、決して高くないと思う。
▲フロントの標準シートは、オプションでシートベンチレーションも装備可能。さらにカーボンバケットシートも用意されている(写真は標準シート)
▲リアシート中央にはトランクスルーを配置。メリノレザーを使用したシートは標準装備で、フルレザーや3色から選べるカラーリングはオプションとなる
▲オプションのカーボンステアリングやハドルシフトは、過激なM4をさらにレーシーに演出する。標準装備されるMボタンを押せば、あらかじめ記録したエンジンやサスペンションなどの設定を瞬時に呼び出せる
▲スポーツモードで表示されるメーター表示は、余分な情報を省いたデザインとなっている。右側は車両セッティングや出力表示などを表示することが可能
▲ギアセレクターには、変速速度を全3段階からセレクトできるボタンが付く。カーボン製センターコンソールはオプションとなる▼検索条件
BMW M4(2代目) × 全国新車時の半額近くで手に入れられる、先代M4に注目!

先代M4はM3クーペの後継モデルとして2014年に登場した。エンジンは、同世代のM3と同じ直6ターボエンジンを搭載。ベースモデルの出力は431ps、コンペティションモデルは450psを誇る。
カーセンサーEDGE.netには100台前後が流通中で、価格帯は390万~1900万円、ボリュームゾーンは500万~700万円あたりとなる。予算600万円くらいであれば、走行距離3万km未満の物件が選べるようなおいしい状態をキープしている。ただ、コンペティションに限ると、相場下落スピードが遅くまだ新車時の半額ゾーンには至っていない。コンペティションを狙うならば、予算800万円くらいから見ておきたい。
また、6速MT車は全体の2割弱しか流通していないが、AT車との価格差は目立って開いているようには見えない。もしかしたらMT車は今が絶好の購入チャンスかもしれない。
先代M4の特徴としては、カスタマイズしてある物件が散見されること。このような物件が、購入後の使用目的にばっちり合うならば、かなりお買い得な物件とも言える。ただし、サスペンションは走りや乗り心地に、吸排気系はエンジンや排気サウンドに大きく関係するので、好みに合うかは必ず実車を見て確認しておきたい。
▼検索条件
初代BMW M4 × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●コンペティション
| 型式 | 3BA-52AZ30 | 最小回転半径 | 5.2m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.81m×1.89m×1.4m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.86m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.62m/1.61m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1730kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1950kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.12m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイトIII |
||
| オプション色 |
ブルックリン・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンパウロ・イエローメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3BA-52AZ30 |
|---|---|
| 駆動方式 | FR |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | アルピン・ホワイトIII |
| オプション色 | ブルックリン・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンパウロ・イエローメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 4名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.2m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.81m×1.89m×1.4m |
| ホイール ベース |
2.86m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.62m/1.61m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1730kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 1950kg |
| 最低地上高 | 0.12m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | S58B30A | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 59リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 2992cc | 燃費(WLTCモード) |
10.1km/L
└市街地:6.9km/L └郊外:10.4km/L └高速:12.3km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 510ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
650(66.3)/5500 |
| エンジン型式 | S58B30A |
|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 2992cc |
| 最高出力 | 510ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
650(66.3)/5500 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 59リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 10.1km/L
└市街地:6.9km/L └郊外: 10.4km/L └高速: 12.3km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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