【試乗】新型BMW iX│「駆け抜ける喜び」より「心地よく駆け抜ける」!? 次世代ラグジュアリーモデルの布石的1台となるか
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2022/01/25
▲上品かつ先進的なデザインを採用し、これまでのBMWとは一線を画した1台となっている加速を控えめにし、素直なドライブフィールを実現
BMWの電動モデル(BEV)専用ブランド「BMW i」が、ローンチからちょうど十年の節目を迎えた昨年。BMW iは、本格的なBEVブランドとしていよいよ第2ステージを迎えた。その手始めとして、SUVのiX3に4ドアクーペのi4、そしてフラッグシップのiXという3モデルを発表し市場へ導入し始めている。
中でも注目すべきはiXである。他のエンジン車とベースを共有する2モデルとは違って、iXのみBEV専用のプラットフォームを使っているからだ。全長は5m近く、ホイールベースも3mというから、日本では大型SUVの部類に入る。車名にXが入っているからこちらとしてはSUVという認識になるが、悪路を平然と走破するような物々しさや図々しさなどはまるでなく、ユニークなマスクとシンプルな面構成のエクステリアのためか、デザイナーズカーといった印象の方が強い。
最も好みの分かれるところは、かつてなく縦長(戦前のモデル並みか?)となったキドニーグリルだ。キドニーグリルあってこそのBMWデザインなのだから絶対に必要なことは分かる。とはいえ、BEVだからもはやエアの取り入れ口としての機能性はない。では、なぜ大きくする必要があったのか。
それは決してデザインのためではなかった。最新モデルに不可欠な装備類、例えばカメラやレーダー、センサーなどを裏に装備するために大きくなったのだ。このあたりの事情はエンジン車でも同じで、BMWに限らず似たりよったりである。
▲細長いテールライトやCピラーのブラックアクセントは、今までのBMWになかった新要素だ。後輪を操舵するインテグレーテッドアクティブステアリングも搭載さている
▲グリル外周下にはレーダー、グリル中央上にはカメラを、グリル内部には各種センサーを装備する
▲ミラーやドアハンドルなどには、ゴールドのアクセントが施されている
▲BMWロゴ周辺やブレーキキャリパーは、ブルーで彩られるある意味、好みの別れるエクステリアデザインよりもインテリアの方がiX最大の魅力だろう。見た目には、ほとんどコンセプトカーのような雰囲気である。BMW車が今後すべてこのデザイン文法になるとは思えないし、スポーティさを忘れてほしくもないけれど、シートやコンソールまわりのモダンファニチャーのようなあつらえは女性ユーザーを中心に多くの賛同者を得ることだろう。
ディテールの凝りようも楽しく新しい。巨大なコクピットディスプレイはBMWの伝統にのっとってドライバーオリエンテッドに曲げられている。今後の主流となるだろう、カーブドディスプレイだ。ステアリングホイールも個性的な六角形。このところのジャーマンBEVはクラシックなハンドルからの脱却を図りたいようだ。
その他スイッチやレバーなどの操作系ディテールもひとつひとつが極めてモダンにデザインされており、これまでのコックピット機能部品とは一線を画している。
▲BMW初の6角形ステアリングやカーブドディスプレイを採用したインテリア
▲クリスタルデザインとなったiDriveコントローラーと音量トグル
▲シート調節スイッチの配置は、BMWお馴染みのシート側面からドア上部へ移動
▲現代のインテリアデザインから着想を得たというインテリア。センタートンネルを取り除き居住性を高めている
▲レザーシート表面は、オリーブ葉から抽出した天然オイルで仕上げられているというiXには、2種類のパフォーマンスと3グレードを用意した。いずれも、前後に電気モーターを備えた四輪駆動モデルである点が、SUVスタイルながらFRのiX3とは異なる。
システム総合出力523psをうたう上級グレードのxDrive50に試乗した。まず驚いたのが重厚感あふれるライドフィールだった。BMWらしくない、というと語弊があるかもしれないが、少なくとも今までのエンジン搭載BMWと同じようなドライブフィールの車ではなかった。従来のように機敏で思いのままのハンドリング性を提供するのではなく、素直に心地よく走り抜けることを重視した動的パフォーマンス、とでも言おうか。だから「駆け抜ける歓び」で育った筆者のような昔ながらのBMWファンは、“あれれ?”っと驚くほかなかったのだ。
BEVらしく加速パフォーマンスはすさまじい、と言いたいところだけれど、これまた抑え気味である。必要十分な速さだ。テスラのように思わずのけぞるほどの加速ではない。実はそれもまた運転しやすさ=素直なドライブフィールにつながっている。とびきりの加速は高性能モデルに特化したBMW MブランドのBEVにとってあるのだろうか。ともあれ、実用域におけるノーマルなモデルたちにスーパーカーのような強力なダッシュなど必要ないことは明白だろう。
結論を言うと、BMWはiXでラグジュアリーの新境地を開こうとしたのだと思う。自ら運転を楽しむ時代から、移動そのものを快適に過ごす空間への転換、とでも言おうか。生粋のBMWファンには嬉しくない傾向かもしれないが、ラグジュアリーセグメントに身を置くハイブランドとして、次世代ラグジュアリーカーのあり方をにらむ重要な布石になるモデルであると思う。
▲ラゲージ容量は500Lで、後席を倒せば1750Lとなる
▲ラゲージ底面には、充電ケーブルを収納できるスペースが備わっている
▲急速、普通充電ともに車両右後方から行う。150KWの急速充電では、10%→80%充電が約37分で、11KW普通充電では0%→100%充電が約7時間15分で完了する【試乗車 諸元・スペック表】
●xドライブ50 4WD
| 型式 | ZAA-22CF89A | 最小回転半径 | 6m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.96m×1.97m×1.7m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 3m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.66m/1.69m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 2530kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2805kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.2m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイト |
||
| オプション色 |
ミネラル・ホワイトメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブラック・サファイアメタリック、ファイトニック・ブルーメタリック、ストーム・ベイメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、ブルー・リッジ・マウンテンメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | ZAA-22CF89A |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | アルピン・ホワイト |
| オプション色 | ミネラル・ホワイトメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブラック・サファイアメタリック、ファイトニック・ブルーメタリック、ストーム・ベイメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、ブルー・リッジ・マウンテンメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 6m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.96m×1.97m×1.7m |
| ホイール ベース |
3m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.66m/1.69m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2530kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2805kg |
| 最低地上高 | 0.2m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | HA0002N0 / HA0001N0 | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 258ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
290(29.6)/5000 |
| エンジン型式 | HA0002N0 / HA0001N0 |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 258ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
290(29.6)/5000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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