【試乗】新型 BMW M2|希少なMTが選べる!? 内燃機関を操る喜びに満ちた “後輪駆動”のM!
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2023/05/28
▲2シリーズクーペをベースに、BMW M社が仕立てた最もコンパクトなMハイパフォーマンスモデル。M3にも搭載される3L直6ツインターボが後輪を駆動、6速MTもセレクトできるM製エンジンを積む“M4のショートホイールベース”モデル
先代M2(初代F87型)にはゾッコンだった。2シリーズクーペ(F22型)をベースにして2016年に登場。世界で最も売れたMモデルとなった。往年のM3をほうふつとさせるコンパクトな2ドアボディに強力スペックの直6ターボエンジンを積み、後輪駆動、2ペダルに加えて3ペダルのマニュアルギアボックスも選べる、となれば、世界中のBMWファン、否、運転好きが喜び勇んでオーダーしたのも当然だ。
かくいう筆者もそのうちの一人。中でも2018年以降に登場したM製S55エンジンを積んだM2コンペティションのマニュアルトランスミッションモデルは我々運転好きを狂喜乱舞させた。あえて言う。これぞ我らが“M3”だった、と!
直6でFR+マニュアルミッションのMハイパフォーマンスモデルは先代F87型でもう最後。そんなウワサもあったのだが、昨年秋に発表された新型M2(G87型)は、嬉しいことに初代の魅力すべてを継承してくれたのだ。大きな違いといえば2ペダルがDCT ではなくステップトロニックATになったことくらい。これはM2が最新のM4(G82型)と同じパワートレインやシャシーを有するひとつの証しでもあった。
▲フロントは左右に張り出した四角形基調のエアインテークや、直線的デザインのキドニーグリルなどが特徴的
▲電動フラップを備えた4本出しエグゾースト・パイプを装着2代目M2はどんなモデルか。ひと言で言ってしまうとM4のSWBモデル(マイナス110mmのショートホイールベース)である。先祖としてBMWが掲げているのが2002ターボ(マルニターボ)。2シリーズにパワートレインやシャシー&サスペンションなどといったM4用メカを惜しみなくぶち込んだ、と聞けば“マルニターボ”の子孫として不足はない。もはやボディサイズ的には(そしてパフォーマンス的にも)V8を積んでいた先々代M3クーペ(E92型)をも上回っている。
現行型M4と同じS58型3L 直6Mツインパワーターボを積んだ。最高出力460ps、最大トルク550N・mはM4に比べ出力で20ps劣るのみ。この時点ですでに先代M4(F82型)を上回るスペックを誇る。8速Mステップトロニックもしくはギアシフトアシスタント付き6速MTを選択できる(日本仕様はAT、MT同価格設定)。アクティブMデイファレンシャルも標準装備だ。
ベースとなったG44型の2シリーズクーペよりもフェンダーははっきりと張り出して、顔つきもまるで違っている。新たなキドニーグリルデザインもまた見るべきポイントだろう。フロントにはなんと275/35の19インチタイヤを履いた。まるでリアタイヤだ(実際、先代M2のリアタイヤよりでかい)。リアはというと285/30の20インチ。要するに前後ともM4の標準グレード(日本仕様)用と同サイズである。ワイドトレッド&ワイドタイヤを覆うため、全幅はなんと1890mm近くに達した。グラマラスに見えるのも当然だ。
ニュルブルクリンクで鍛え抜かれたボディ骨格、前後50:50という重量配分、電子制御ダンパー付きアダプティブMサスペンション、可変ギアレシオMサーボトロニックステアリング、6ピストンMコンパウンドブレーキなどなど、M4用のそれと違わぬ走りの装備に腕が鳴る。
▲M3/M4にも積まれている、3L 直6ツインターボはM2クーペ用に最適化しているアメリカはアリゾナ州スコッツデールで国際試乗会が開催された。2シリーズはメキシコで生産されている。筆者にはM2専用色の明るいソリッドブルーの個体が与えられ、希望どおりマニュアルトランスミッション仕様であった。
意気揚々と走り出す。街乗りではソリッド&フラットなライド感に徹し、硬派な乗り心地はいかにもM4のよう。スポーツ、スポーツ+モードではM4よりハードに感じることもしばしばで、逆にコンフォートモードではM4のそれより落ち着く。速度を上げていくにつれて乗り心地からカドが取れていき、70km/hあたりからは弾性の利いたライド感へと収束した。100km/h以上の高速クルーズもなかなか良い。
これだけ大きなフロントタイヤを履いているのに、すでに低速域からまるで違和感がない。リアタイヤかと思ったような太いタイヤと両腕とがつながっているとは到底思えなかった。コンフォートモードでもスポーツ+モードでも実にFRらしく振る舞う。
M製エンジンをぶん回したときのフィールはやはり格別。アルピナ系を含めてすでに実績のあるエンジンで、ある意味、慣れ親しんでいるはずだというのに、このS58エンジンは改めて力強さを伴った官能フィールでドライバーを盛り上げる。両足とパワートレインが直につながる感覚がある。これこそよくできたエンジン、内燃機関を操る喜びだ。改良されたマニュアルギアボックスの操作フィールも、そんなエンジンの魅力を増幅した。シフトレバーが吸い込まれるような感覚と、優秀なレブシンクロ機能もあって、積極的に操れば操るほど楽しめた。
新型M2もまた、E36型から続く6気筒“M3クーペ”の正当な後継モデルであった。
▲大きくなった前後バンパー、低くなった全高と大径ホイールによりレーシングカーのような迫力を手に入れた
▲メーターまわりはカーブド・ディスプレイを採用。M3やM4と共通のコンポーネントとなる
▲イルミネーション付きロゴが備わるMスポーツ・シートを標準とし、軽量なMカーボン・バケット・シート(写真)をオプションで用意
▲コンパクトなクーペながら、後席は大人2人が乗車できるスペースを確保している
▲テールライトにはLEDを採用
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
BMW M2(先代)の中古車市場は?

先代モデルは、初代M3(1985年)や2002ターボ(1973年)の伝統を引き継ぐ最もコンパクトなMモデルとして2016年に登場。最高出力370ps/最大トルク465N・mを発生する3L 直6ツインターボを搭載、オーバーブースト機能で最大トルクを一時的に500N・mまでアップさせることが可能だった。2018年にはM3/M4と同じエンジンを搭載し、さらに走行性能を向上させたM2コンペティション(写真)へと進化を遂げた。
2023年5月後半時点で、中古車市場には110台ほどが流通しており、そのうち2018年に登場したM2コンペティションは50台程度となる。MTモデルは20台程度(M2が7台ほど、M2コンペティションが13台ほど)しか流通していないので、MT希望者は早めにチェックしておく必要がある。
▼検索条件
BMW M2クーペ(先代)× 全国▼検索条件
BMW M2コンペティション(先代)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●3.0
| 型式 | 3BA-12DM30 | 最小回転半径 | 5.2m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.58m×1.89m×1.41m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.75m |
| ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.62m/1.61m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1710kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1930kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.12m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイト、Mザントフォールト・ブルーメタリック、Mブルックリン・グレーメタリック、Mトロント・レッドメタリック、ブラック・サファイアメタリック |
||
| オプション色 |
- |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3BA-12DM30 |
|---|---|
| 駆動方式 | FR |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | 6MT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | アルピン・ホワイト、Mザントフォールト・ブルーメタリック、Mブルックリン・グレーメタリック、Mトロント・レッドメタリック、ブラック・サファイアメタリック |
| オプション色 | - |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 4名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.2m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.58m×1.89m×1.41m |
| ホイール ベース |
2.75m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.62m/1.61m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1710kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 1930kg |
| 最低地上高 | 0.12m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | S58B30A | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 52リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 2992cc | 燃費(WLTCモード) |
9.9km/L
└市街地:6.8km/L └郊外:10.3km/L └高速:11.8km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 460ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/5870 |
| エンジン型式 | S58B30A |
|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 2992cc |
| 最高出力 | 460ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/5870 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 52リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 9.9km/L
└市街地:6.8km/L └郊外: 10.3km/L └高速: 11.8km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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