【試乗】新型 アウディ A5|堂々たるサイズの新ネーミング基幹車種、ベーシックモデルも必要十分に実用的!
カテゴリー: アウディの試乗レポート
タグ: アウディ / セダン / ステーションワゴン / 2WD / 4WD / A5 / EDGEが効いている / 西川淳
2025/05/19
▲アウディが基幹モデルとなるミドルクラスセダン/アバント(ステーションワゴン)「A4」の車名を「A5」に変更しフルモデルチェンジ。新開発のマイルドハイブリッドシステム(MHEV plus)を2Lディーゼルターボと高性能モデルのS5(3L V6ターボ)に組み合わせるベーシックモデルは今時希少な“ハイブリッドなし”
最近、アウディのエンジンカーとはご無沙汰だった。今もなお、他のブランドに比べると“電気推し”状態が続くゆえ、限られた試乗のチャンスではどうしてもe-tronシリーズを優先してしまいがちだったからだ。
久しぶりにハイブリッドでもないピュアエンジンのアウディに乗ることになって、だから少しワクワクしたのだけれど、のっけから驚かされた。A4がA5になって、セダンだったけれどハッチゲート付きになって(と、ここまでは知っていた)、けれどもA5スポーツバックは新たに出るらしく、そのうえ新型A6はA7にならずそのままで、だからきっとA5もまた近いうちにA4に戻るだろう、なんて話を聞かされたから。
いったいどうなってしまったのやら。そもそもエンジン系は奇数、電気系は偶数などとわけのわからぬことを言い出したことがいけなかった。我々が考えている以上にヨーロッパのクラス意識は高く、それに合わせて5だのEだのとこれまで区別してきたのだから、いきなり駆動系の違いで分けるなんて言い出したところでマーケットが混乱するのは当然のこと。特にA6あたりになると稼ぎ頭であるうえ、それなりにアッパークラスの、例えば会社の部長級以上がカンパニーカーとして乗る車だったりするのだから、典型的なコンサバ領域にあるのであって、そもそも車名変更が難しい(なんてことはアウディ首脳も理解していたはずなのに)。
弱り目にたたり目とはこのことか。というわけでA4のモデルチェンジ版というべき(今はまだ)A5をテストした。試乗車はA5 TFSIクワトロ150kW である(というか、もうこんな車名が面倒くさい)。これになんと200万円以上のオプションを積んでおり、Sライン仕立てのうえタイヤは20インチと、もはやS5のスタンダード超え。ちょっとオーバースペックな気もするが、足回りにはダンピングコントロールSスポーツサスペンション(テクノロジーパッケージプロ)を奢っている。このあたりがチェックのしどころか。
ちなみに、現ラインナップはセダン(といっても5ドア)とアバントがあって、それぞれにFF直4のガソリン110kW、4WDの150kW、4WDの270kW V6(車名はS5で、馬力数字は入らない)という3種のパワートレインを用意する。
▲ホイールベースを70mm拡大しリアオーバーハングを短くすることで、ロングノーズ&ショートデッキのスポーティなスタイルを実現
▲従来モデル同様にワゴンモデルのA5アバントもラインナップ。ラゲージ容量はFFが476L、4WDが448Lとなる知っているアウディの乗り味と随分違う
第一印象はデカイの一言。実際A4より数値的にも大きくなったし、モデルチェンジで大きくなることは今や常識とはいえ、印象としてすでにA6レベル。4.9m以下に収められた全長はともかく、幅と高さとデザインのボリューム感がそうみせる。このあたりを良しとするかどうかは判断の分かれるところ。もっとも先代となったA4ユーザーにとっては似た感じのスタイルのままアグレッシブさを増して堂々たる体躯を手に入れたのだから、肯定的に捉えてもらえるかも。
インテリアは最新モデルらしい“今風デザイン”に一新された。ドアインナーハンドル付近のタッチスイッチなど目新しさもあるが、ドライブに集中するためにも、また使い勝手の面でもドア側はできるだけシンプルな方がいいと思う。
全体的に物理スイッチが残されている方、だとはいえ、タッチパネルはやっぱり使いづらいし、肝心のナビシステムも使いやすいとは思えない。苦労して操作するかいがなかった。
後席の広さも魅力の一つ。ホイールベースが延伸された分、リアの足元にかなりの余裕があった。前後ともシートはたっぷりとして座り心地もよく、オプションのダインナッパレザーゆえ質感もかなり高い。
▲最高出力150ps(TFSI 110kW)と204ps(TFSI クワトロ 150kW)の2Lターボエンジンと204ps(TDI クワトロ 150kW)の2Lディーゼルターボをラインナップ。S5には367psの3L V6ターボを搭載する走り出す。あれれ? 知っているアウディの乗り味とは随分と違う。全体的に重め、というか、足元の軽やかさがない。とはいえ、20インチタイヤを完璧に履きこなし、乗り心地の劣化はなく、安定感も素晴らしい。ひょっとするとアダプティブサスの恩恵か、と思いつつ、個人的にはひょうひょうとした軽いさばきのステアリングフィールを懐かしく思いだしていた。
もっとも、だからといってダメだというのではなく、完成度は相当に高い。特にドライブモードごとのメリハリもよく利いている。中でもバランストモードは他のモードなど要らないと思うほどに気が利いていた。初めてアウディに乗る人なら、なんの違和感もなく気に入ることだろう。
ごくスタンダードなFFの17インチにも乗ってみたいもの。それなら筆者の思うアウディらしさが残っているかもしれない。
パワートレイン性能は必要かつ十分、感動的ではないが十分に実用的である。電動化モデルに慣れた身には少しかったるいと思う程度で、いわゆる“シャシーが勝っている”グレードだ。繰り返しになるけれど、ほとんどS5というべき足回りをオプションで奢ったのだから当然といえば当然か。
▲新世代インフォテインメントシステムを搭載するインテリアもデザインを一新。助手席用の10.9インチMMIパッセンジャーディスプレイ(オプション)も用意される
▲センターコンソールのシフトも前後にスライドさせるスイッチ式になっている
▲ルーフスポイラーや鋭い傾斜のDピラーがダイナミックなスタイルを演出
▲スポーツグレードとなるS5も併せてモデルチェンジ。マイルドハイブリッドを組み合わせた、最高出力270kW(367 ps)/最大トルク550N・mの3L V6ターボエンジンを搭載する
▲ワゴンのスポーツグレード、S5アバントも登場している。S5にはトルクベクタリングを備えたリアスポーツディファレンシャルを標準装備
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
先代となるアウディ A4の中古車市場は?

2016年2月にフルモデルチェンジし5世代目となったセダンとアバントの基幹モデル。モジュラープラットフォーム「MLB evo」や5リンク式サスペンションの採用などにより、乗り心地や走りが向上している。高性能モデルのS4は同年10月に登場。過給器をスーパーチャージャーからツインスクロールターボへと変更した3L V6を搭載、専用サスペンションや駆動力を可変制御する4WDなどを備えた。2020年にマイナーチェンジ(写真)が行われ、ブリスタフェンダーの採用(A4)など内外装を変更している。
2025年5月中旬時点で、中古車市場にはA4が200台程度流通、支払総額の価格帯は90万~680万円となる。A4アバントは190台程度で110万~730万円。2021年に登場したディーゼルエンジン搭載車もセダンは10台程度、アバント50台程度が流通している。
▼検索条件
アウディ A4(先代)× 全国▼検索条件
アウディ A4アバント(先代)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●TFSI クワトロ 150kW Sラインパッケージ 4WD
| 型式 | 3BA-FU20 | 最小回転半径 | 5.6m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.84m×1.86m×1.44m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.9m |
| ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | -m/-m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | -kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルコナホワイト |
||
| オプション色 |
グレイシアホワイトメタリック、ミトスブラックメタリック、グレナデンレッドメタリック、ファーマメントブルーメタリック、アスカリブルーメタリック、ホライズンブルーメタリック、デイトナグレーパールエフェクト |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3BA-FU20 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 7AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | アルコナホワイト |
| オプション色 | グレイシアホワイトメタリック、ミトスブラックメタリック、グレナデンレッドメタリック、ファーマメントブルーメタリック、アスカリブルーメタリック、ホライズンブルーメタリック、デイトナグレーパールエフェクト |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.6m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.84m×1.86m×1.44m |
| ホイール ベース |
2.9m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
-m/-m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | -kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | DWZ | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 13.5km/L |
| 総排気量 | 1984cc | 燃費(WLTCモード) |
13.2km/L
└市街地:9.7km/L └郊外:13.1km/L └高速:15.8km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 204ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
340(34.7)/4000 |
| エンジン型式 | DWZ |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1984cc |
| 最高出力 | 204ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
340(34.7)/4000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 60リットル |
| 燃費(JC08モード) | 13.5km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 13.2km/L
└市街地:9.7km/L └郊外: 13.1km/L └高速: 15.8km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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