【海外試乗】新型 ランボルギーニ ウルスSE|800psのSUVとは思えぬ一体感! リニアなドライブ感覚を追求した“アップデート版”
カテゴリー: ランボルギーニの試乗レポート
2024/10/29
▲“スーパーSUV”のウルス初となるプラグインハイブリッドモデル。システム総合800ps/950N・mを発生するパワートレインを搭載、内外装のデザインも変更されている電動化で失ったものは皆無
昨年登場したレヴエルトに続いて、ランボルギーニはいよいよ最量販モデルであるスーパーSUV、ウルスのプラグインハイブリッド(PHEV)化を敢行した。その名はウルスSE。従来の内燃エンジンモデルであるウルスSを、燃費だけでなくパフォーマンス、快適性などあらゆる面で凌駕するとうたわれている。
実際、エンジンはこれまでどおりV8 4Lツインターボユニットを搭載する。単体でも最高出力620ps、最大トルク800N・mと強力なスペックに、8速ATに内蔵された電気モーターの192ps、483N・mが加勢されて、システム最高出力は800ps、最大トルクは950N・mという高みに達する。
車体後端に搭載されるリチウムイオンバッテリーは容量25.9kWhで、満充電の状態から60km以上をEV走行できる。一方で、エンジンと電気モーターのもてる力をすべて解き放てば、0→100km/h加速は3.4秒と、ウルスSから0.1秒短縮。最高速度は312km/hと、やはり7km/hも上乗せされる。文句なしに過去最強のウルスであり、最速のSUVである。
▲エクステリアのデザイン変更により空力も向上。新型スポイラーなどによりダウンフォースはSの35%増しを達成したウルスSEの注目点はそこだけにはとどまらない。外装、内装は刷新され、さらにシャシーにも大幅に手が入れられている。
より洗練された印象のフロントセクションは、闘牛の尾からインスピレーションを得たという円弧を描くDRLシグネチャーと、レヴエルトのように前方に伸ばされたフードが識別点だ。一方のリアは、センターピークの部分に折れ線が入り、ライト下にはガヤルドにヒントを得たというメッシュが入れられ、ライセンスプレートはより低い位置に移動。新しいディフューザーと相まって低さが一層強調された。
インテリアは水平基調が強められ、レヴエルトのディテールを引用するかたちでメーター、インフォテインメントなどを一新。ランボルギーニの最新トレンドにのっとった意匠に統一された。
ハードウェアの変更で大きいのが、駆動系メカニズムの変更だ。従来のトルセン式センターデフは電子制御多板クラッチ式に改められ、リアには電子制御LSDが組み込まれている。これらのハードウエアは決して目新しいものではないが、フィードフォワード制御を行う最新のソフトウエアよってコントロールされるのがポイントだ。
▲EV走行は60km以上が可能、その際の最高速度は130km/hとなる 試乗の舞台はイタリア南部のレッチェ周辺の一般道。ウルスSEは、EVモードでも普段使いには十分なほどよく走る。そして、最も使用頻度が高くなるだろうSTRADA+ハイブリッドの組み合わせは、電気モーターと内燃エンジンを効率良く使い分けたり、あるいは併用しながら、それらの切り替えのショック、違和感とは無縁のスムーズかつパンチのある走りを楽しませてくれる。
もちろん右足に力を込めれば、すさまじいほどの加速を味わわせてもくれる。面白いのは低速域からトルキーな電気モーターのおかげで、速さだけでなく上質感も高まっていること。スーッと滑らかで、それでいて凄まじい加速感は電動化の恩恵だ。
快適性の高さにも改めて驚かされた。再調律されたエアサスペンションはより滑らかな乗り心地を実現していて、23インチという特大のタイヤサイズを忘れさせる。なお、今回タイヤはすべて新設計だという。
テストコースで試したオフロード走行も、とても楽しめるものだった。駆動系の一新で目指したのは、徹頭徹尾リニアなドライブ感覚。電子制御がでしゃばって意に沿わない動きをすることがなく、意のままのコントロールを可能にしている。ドリフトも自由自在。車重2.5トンもある、800psのSUVとは思えないほどの一体感ある走りに、我を忘れて没頭してしまった。
デザインにも走りにも大幅に手が入ったことから分かるように、ウルスSEは単なる新バリエーションの追加ではなく、アップデート版ウルスの登場と捉えるべき1台である。電動化で失ったものは皆無。すべての要素が新たな地平へ到ったその高い完成度は、今のこのブランドの勢いを大いに実感させるものだったのだ。
▲バンパーやグリル、ボンネットなどのデザインが変更されている
▲リアゲートはガヤルドから着想を得たという一体型デザインを採用した
▲レヴエルトにも採用されている最新ブランドデザインを新たに取り入れた
▲シートのカラーやトリムのラインナップが変更されている
▲ダッシュボードのデザインを変更、EVモードのスイッチも備わった
▲充電は普通充電のみに対応ランボルギーニ ウルスの中古車市場は?

2017年にランボルギーニ初のSUVとして登場した“スーパーSUV”。4L V8ツインターボを搭載、クーペライクなフォルムにランボルギーニのデザインモチーフなどが取り入れられ、“スーパーカー”らしいスタイルに仕立てられている。大人5名が乗車でき、616Lのラゲージを備えるなど実用性も高い。2022年にはハイパフォーマンスモデルのペルフォルマンテも登場。ブランド販売台数の約6割(2023年)を占める人気モデルとなっている。
2024年10月中旬時点で、中古車市場には120台程度が流通。支払総額の価格帯は2800万~7000万円となる。ペルフォルマンテは30台程度が流通、支払総額の価格帯は4700万~7000万円となる。
▼検索条件
ランボルギーニ ウルス× 全国【関連リンク】
あわせて読みたい
“日本の誇り” 日産 R35 GT-Rは果たしてスーパーカーなのか?【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
【爆増】ランクル250の流通台数が900台超え! トヨタのランドクルーザーシリーズの最新型中古車状況、オススメの狙い方を解説
’07 フェラーリ F430|空力とヘリテージが息づくV8ミッドシップ【名車への道】
X3が3代目なら200万円代前半で狙える? BMWの人気プレミアムSUV、中古車相場やオススメの狙い方を解説
’73 シトロエン DS|独自のデザインと乗り心地、そのすべてに“哲学”がある【名車への道】
“好き”をワガママに選ぶ。アートディレクターの最適解がマツダ CX-30なワケ
「もはや家!」200台限定の新型Gクラスが3500万円超えに絶望したあなたに贈る「1/3で買えるこの車、代わりにどうですか」5選
フェラーリの維持費ってどれくらいかかるの? そんなリアルな疑問、専門店に聞いてきた!
~300万では選べない、1000万では高すぎる~ 600万円で探せる一度は乗っておくべきクルマ【カーセンサーEDGE 2025年11月号】
新型T-Rocが海外で発表されたけど初代なら100万円台で買える? 日本にぴったりのコンパクトSUV、中古車相場やオススメの狙い方を解説!









