フルモデルチェンジしたホンダライフ 【試乗by西川淳】
2008/12/24
デイリー多目的ユースに割り切った本気の移動ツール
フルモデルチェンジで狙うのは、先々代のユーザーだと開発陣は言い切る。70万台以上の“大票田”を逃さぬために、ホンダはあえて“らしさ”の表現を最小限にとどめ、開発者の言葉を借りれば“ハイト軽ワゴンにおける直球をど真ん中に投げ込んだ”。それゆえ新型ライフの謳い文句は、運転のしやすさ、快適なパッケージング、機能に優れたインテリア、の3つが主となり、ホンダらしい“走り”への言及はほとんどない。遠出もしないし高速道路も使わない。デイリー多目的ユースに割り切って使う、という人にはオススメの一台、というわけだ。
もう一つ、軽自動車に力を入れたいホンダは、苦手意識の強かった100万円以下領域でのシェアアップも狙っている。要するに、安くてベンリな軽自動車を増やしたい、という目論みだ。新型ライフのグレード構成は、当然、そんな思惑に沿ったものとなっている。アルファベット一文字のCやGが、新たに掘り起こしたい廉価モデル層で、その上にオシャレなパステルとスポーティなDIVAという、顔も性格も異なるモデルを配置し、それぞれにFFや4WD、ターボやノンターボといったグレード分けを行った。個人的には、そこまで“デイリースマイル”にこだわるなら、CやGあたりで十分だと思うし、スタイリング的にもかえってシンプルにまとまっていると思うのだが…。
FFのパステル(乗っていてちょっと気恥ずかしいけど)に試乗した。
確かに、走りのパフォーマンスが高く評価されていた先代に対して物足りなさも感じるものの、街乗り視界や便利装備の充実など、並み居るライバルたちを上回る点も多い。先々代型ユーザーからの代替えシーンを想像すると、多くの人がディーラー試乗で大感動になるように思う。特に、視界の良さは特筆もの。あまりに見えすぎるとかえって危険、という説もあるが、その見極めに苦労したというだけあって、清々しいくらいに視界が開けている。リアの視界も素晴らしいが、ちょっと見えすぎかも。ただでさえ、寄せをくらう軽自動車、威圧的なグリルまですべて見せられたら、落ち着いて運転などかなわず、けっこう焦ってしまうんじゃないか。
バックビューモニター標準は、単純に嬉しい。これ、慣れると手放せなくなってしまうものの一つ。私のようにマイカーがバックビューモニター付きの人間にとっては、ナビがないクルマに乗ると寂しい気分になってしまうのと同様に、バックビューなし車だと悲しいかなちょっと不安になる。人間、ベンリに慣れると後戻りがきかないということ…。オプションのパーキングアシストも試した。確かに便利で、苦手な人を救済するだけでなく、できる人にとっても精神的負担を減らす装備だとは思うけれど、まあ、そこまで機械まかせなのもどうか、と思う。バックビューモニターに慣れてしまった私が言うのも何だけど。
乗降性の良さや、室内の広さ、ラゲージルームの使いやすさなど、さすがにデイリーユースシーンでの使い勝手は優秀。そのぶん、ちょっと頼りなさげなライドフィールなど、トレードオフしてしまった要素があるのも確か。コストの制約も多い軽自動車ゆえ、ある程度の“妥協”も必要だし、そういうクルマを“軽自動車”として区別し、税の優遇措置を取っているのも事実だ。
ただし、ホンダの軽自動車だからこそ、走りの面でも再びライバルをリードする車であってほしいと思う。F1もやめたことだしね。
ライバルの車たち
Movie
フォトコレクション

ハイト軽ワゴンにおける直球ど真ん中
新型ライフの謳い文句は、運転のしやすさ、快適なパッケージング、機能に優れたインテリア、の3つが主となり、ホンダらしい“走り”への言及はほとんどない。デイリー多目的ユースに割り切って使う、という人にはオススメ

視界は広く、かなり広く感じる
背が高いことの最大のメリットは、車内で感じる広さであろう。視界は本当に広いし、軽自動車なのに天井が高いので広く感じる。インテリアの配色の仕方も上手で、まったく不満を感じさせない
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