販売好調なCX-8にて雪道での運転に対するマツダの考え方をチェック
カテゴリー: マツダの試乗レポート
2018/02/07
▲2017年12月に発売された、マツダの国内フラッグシップモデルであるCX-8。発売開始から1か月の受注台数は好調で、月間販売計画1,200台に対してなんと10倍以上雪上で重要なのはサスペンションのしなやかさ
マツダの雪上試乗は、北海道にある剣淵という旭川から50kmほど北の山奥で行われる。この試験場はマツダの雪に対する考え方を十分にテストする場所だ。
個人的には、マツダ車に対しては滑りやすい路面よりもアスファルトのハンドリングが得意だというイメージを持っている。実際にハイブリッドを除いたモデルたちは山間部をドライブすると楽しい。車を思ったとおりに扱う楽しさを大切にしている自動車メーカーだということがよくわかる。
それ故、雪道でのマツダ車の走りについては極端に言えばおざなりな4WDシステムのように感じてしまう。乗るたびに技術者に苦言を言って困らせており、1年前の雪上試乗の際にもディスカッションをした覚えがある。
しかし、今年の雪上試乗は内容が違っていた。我々はテストコース内でのカリキュラムをこなすよりも先に一般道で試乗をした。試乗車はCX-8のAWDだ。
CX-8は既報の試乗レポートでも伝えているとおり素晴らしいモデルだ。特にAWD仕様車は大きなトルクを上手く分散させており、アスファルトに対してのスタビリティは万全である。
そのトルクに対応するようにサスペンションを含めたハンドリングも調整されいるため、CX-5では感じられないドライバーと同乗者に安心感を与えるようなエッセンスが投入されている。それは、路面を丁寧に捉えるような考え方に基づいているのではないかと思うのだ。
そう考えるとCX-8でのスノードライブも変わってくるはずだ。
▲走ったコースは、雪が絶えず降っているためにソフトな圧雪路だったのでスタッドレスタイヤも性能を発揮しやすいマツダのAWDの特徴はリアにかかる動力が少ないのだが、それでも安定感は確実に増す。このとき、サスペンションのセッティングが重要となる。マツダのグッと車を平行に沈み込ませて抑えながらコーナリングする考え方はとても印象的だ。確実にグリップしていることが前提とされている。
グリップを生み出すためにはタイヤの性能もあるが、雪上では特にサスペンションのしなやかさが大切になってくる。滑りやすい路面からのインフォメーションを細かく捉えながら臨機応変にサスペンションを動かす。ドライバーからの反応が良いだけの走り一辺倒なモデルの場合、力の溜めが大きくなるため一気に破綻してしまう。
そういった部分がCX-8から寛容になった。焦らないゆったりと落ち着いたサスペンションへ近づいており、静粛性も高い。雪道でドンと構えて運転できるAWDであった。
撮影のために脇道にそれると積雪は深い。軽い雪だからこそドンドン進めるがグイグイと進む感じはしない。ゆっくりとタイヤが滑りを感じとりグリップしそうな部分を模索しながら走る印象だ。本格4WDではないのだから普段はこれで十分だ。
安全、安心に走るために重要なキーワードは「躍度」
雪景色と快適な運転で試乗を終えると。テストコース内で講義が始まる。議題は「雪道を安全、安心に走るための躍度(やくど)の考え方と作り込み」である。
一般的ではなく、まるで社内の役員に説明するような難しさを伝えようとするところにマツダのマニアックさがある。コアなファンがいるのも当然だ。
躍度が大きい運転とは、簡単に言うと前後にギクシャク大きく動くような運転のことだ。雪道などでは躍度が大きいと危ない。雪国の人が雪上での運転に慣れていると感じるのは、躍度をうまくコントロールしているからなのである。
▲変化する躍度を専用のモニターで確認しながらの試乗マツダの言わんとしていることは、ドライバーの動作では補いない切れないレベルの細かいところまで車の制御により介入することで、過度な躍度が発生しないように抑えるということだ。躍度を抑えられれば、安心に思ったとおりに車を運転できるようになるということを意味している。
躍度という言い方は今までに使ったことがなかったが、車両を評価するうえで使っていた「ジャーク」という言葉が同義となる。
アクセルワークからブレーキング、ハンドリングと、雪道で上手に走ることができる車は、アスファルトではとても安全で安心なドライブをすることができる車になるというのが改めてよく理解できる試乗会であった。
▲ロードスター、アクセラ、デミオなどCX-8以外にも多くのモデルが雪上にズラリ
▲ロードスターが雪上でも「躍動」【関連リンク】
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