【試乗】マツダ MAZDA3ファストバック|その特徴的なデザインにも負けないパワーユニットへ進化した「SKYACTIV X」
カテゴリー: マツダの試乗レポート
タグ: マツダ / SUV / MAZDA3ファストバック / 松本英雄
2021/06/03
▲2020年11月に一部改良を受けたマツダ MAZDA3シリーズ。今回はSKYACTIV XとSKYACTIV Dそれぞれのファストバックモデルに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるレポートをお届けする「夢の内燃機関」はどう進化を遂げたのか?
隙のない塊感あるデザインが特徴的なMAZDA3は、強いこだわりが伝わってくるモデルだ。
この路線をずっと貫いていけば、マツダの目指す造形のこだわりも板につくに違いない。
そしてもうひとつ継続してほしいのが、このMAZDA3に搭載されるパワーユニットの「SKYACTIV X」である。
ガソリンエンジンの燃え広がる燃焼と、熱効率の高いディーゼルエンジンの爆発的な燃焼、お互いの良い部分を取り出したような、まさに「夢の内燃機関」と呼ばれる方式で、マツダが世界で初めて実用化した。
ディーゼルエンジンのエッセンスである爆発的な燃焼によって、ハイレスポンスで薄い燃料を効率的に動力として使えるというのが最大の魅力である。
今からおよそ1年前、デビューしたてのMAZDA3 SKYACTIV Xモデルに試乗した。
走り出しでは高トルクを動力に伝える事が難しく、マイルドハイブリッドによる後押しが組み合わさることで、ようやく2Lらしいスムーズな発進が可能といった状況だった。
また、特にATモデルはレスポンスが今ひとつで、ワインディングを気持ち良く走れないもどかしさを感じた。
サスペンションとロードホールディングが良好であるからこそ、それにパワートレインのパフォーマンスが伴っていないように感じられたのだった。
つまり、まだまだ始まりにすぎないセッティングであったといえる。
もっともMTでのドライビングでは、良質なシャシーとサスペンションのセッティングもあって、ワインディングでのドライブを楽しめた。
そして今回、早くもMAZDA3の改良モデルが発売され、試乗する機会を得た。
同時にディーゼルエンジンのSKYACTIV D搭載モデルにも試乗したので、そちらの様子も合わせてお伝えしよう。
成熟過程へと突入したSKYACTIV X
MAZDA3ファストバック 2.0 X Lパッケージ 4WD
初めにSKYACTIV Xを搭載した、AWD仕様の6ATモデルだ。
エンジンを始動してスタートする。走り出しはとてもスムーズで、唐突なトルク変動もなく発進時のスムーズさが増していることがわかる。
試乗コース序盤にある踏切の段差もスムーズにパスし、申し分ない。AWDとのバランスはとてもいい。
フラットな路面の国道に出てから、徐々に加速していく。6ATのためワイドレシオであるが、エンジン制御がより細かくなっておりレスポンスは良い。
ブレーキのフィーリングも良いが、速度を落とした時のギアセレクトによるエンジンブレーキとのバランスがもう少しニュートラルだと、さらに街乗りはスムーズになるだろう。
国道から首都高速に入る。長い上り坂を、心地よいエンジン音とともにスムーズに加速していく。
負荷をかけたときの加速も申し分なく、以前試乗したときとはレスポンスが違う。メーター読みで70km/h弱で走る。安定感とフロントシートの静粛性はとてもいい。
ベイブリッジに向かう上り坂をパーシャルの状態で走行し、本線に合流する。横風もなんのそので、スタビリティはさらに向上した印象だ。
SKYACTIV Xはまだ発展の途上ではあるが、コンスタントな改良を重ねることで成熟過程に入り、その特徴的なデザインにも合うユニットへと進化しているようだ。
たった1年で、大きく印象を変える走りになった。

出力がアップしてスポーティさとドライバビリティがアップ
MAZDA3ファストバック 1.8 XD バーガンディセレクション ディーゼルターボ
続いては、SKYACTIV Dの2WD仕様の試乗だ。
SKYACTIV XのAWDに比べると、とても軽やかだ。出力がアップしていることもあるだろうが、ドライバビリティも向上している。ディーゼルであるが、スポーティな印象だ。
踏切では少しアクセルを踏み、パーシャルの状態で通過する。SKYACTIV XのAWDよりも、路面からの振動は多少共振が多い。
ギアポジションをホールドしながら、国道から首都高速に入る上り坂を進んでいく。以前よりも高回転域まで伸びやかな加速が続き、スムーズで気持ちが良い。
2WDながらフロントのトラクションは良好である。合流から連続する高速コーナーをトレースするが、もっと細かなトレースをしたくなるようなセッティングだ。
制御の精密さが増し、車体の動きが不連続的な階段状の動きから、連続的ななめらかな曲線状へと変化していることがわかる。
ドライバーは運転が上手くなったように感じられるだろうし、助手席の人も急な身体の振られ方が少なくっているはずだ。
SKYACTIV XのAWD仕様も同様の改良を感じられたが、SKYACTIV Dの2WD仕様の方がよりキビキビ感がある。
ただし、ブレーキのペダル剛性とコントロール性は、このパフォーマンスに準じておらず、もっと改善してほしいという欲が出てきた。

角の取れた大人の味付けのSKYACTIV X AWDと、軽快に車を走らせたい少年の心をもった味付けのSKYACTIV D 2WD、今回試乗したそれぞれのモデルにはこのような印象を抱いた。
特にSKYACTIV X仕様の進化は大きく、塊感のあるデザインと相まってドライバーを満足させてくれるはずだ。その技術をかみ締めながら乗っていただきたい。

【試乗車 諸元・スペック表】
●2.0 X Lパッケージ 4WD
| 型式 | 3AA-BPEP | 最小回転半径 | 5.3m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.46m×1.8m×1.44m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.73m |
| ミッション | 6AT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.58m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1510kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
||
| オプション色 |
ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3AA-BPEP |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 6AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
| オプション色 | ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.3m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.46m×1.8m×1.44m |
| ホイール ベース |
2.73m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.58m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
| 車両重量 | 1510kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.14m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | HF-VPH | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | スーパーチャージャー | 燃料タンク容量 | 48リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1997cc | 燃費(WLTCモード) |
16.2km/L
└市街地:12.6km/L └郊外:16.7km/L └高速:18.1km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +10%達成車 |
||
| 最高出力 | 190ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
240(24.5)/4500 |
| エンジン型式 | HF-VPH |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | スーパーチャージャー |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1997cc |
| 最高出力 | 190ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
240(24.5)/4500 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 48リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 16.2km/L
└市街地:12.6km/L └郊外: 16.7km/L └高速: 18.1km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +10%達成車 |
●1.8 XD バーガンディセレクション ディーゼルターボ
| 型式 | 3DA-BP8P | 最小回転半径 | 5.3m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.46m×1.8m×1.44m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.73m |
| ミッション | 6AT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.58m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1410kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
||
| オプション色 |
ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3DA-BP8P |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 6AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
| オプション色 | ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.3m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.46m×1.8m×1.44m |
| ホイール ベース |
2.73m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.58m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
| 車両重量 | 1410kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.14m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | S8-DPTS | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | 軽油 |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 51リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1756cc | 燃費(WLTCモード) |
19.8km/L
└市街地:16.3km/L └郊外:19.8km/L └高速:22.1km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 130ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
270(27.5)/2600 |
| エンジン型式 | S8-DPTS |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1756cc |
| 最高出力 | 130ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
270(27.5)/2600 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 軽油 |
| 燃料タンク容量 | 51リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 19.8km/L
└市街地:16.3km/L └郊外: 19.8km/L └高速: 22.1km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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