三菱 エクリプス クロスを雪上で試乗。今のところコレが「横置きエンジン最強の4WD」だ
2018/03/02

雪上では、車の剛性とサスペンション性能が明らかになる
以前、三菱 エクリプス クロスのショートコースによるインプレションを寄稿したが、今回は、真の性能を試すにはもってこいの雪上コースにおけるインプレッションである。
用意されたコースは、距離にして1km程度であろう。低速から中速のタイトなコーナに、アップダウンやバンク走行といった盛りだくさんの内容。ここを何周も周り、性能を見るのだ。
雪上試乗では、その車のボディ剛性とサスペンション性能がよくわかる。
たとえば、凸凹路面をきちんと捉えたサスペンションであれば、コントロールがしやすい。ドライバーや乗員の身体の揺れひとつで追従性も理解できる。
雪の上では、車本来の性能が顕著に現れるのだ。


新型 エクリプスクロスには、三菱が誇る車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」が装着されている。
これは簡単にいうと、ドライバーの技量を補う制御だ。車はその時々の路面状況を読み取り、電子制御4WDとブレーキをコントロール。最良の操縦性を提供する。そのため、悪路であっても運転者が思い描いたラインをドライブできるのである。
走行モードは、「AUTO」「SNOW」「GRAVEL」の3種類から選択できる。今回は状況からいえば「SNOW」モードにすべきではあるが、まずは「AUTO」モードで走らせてみた。
スタートは平面で視界も広がっているので、アクセルをぐっと踏んで加速。右左スラロームを越えた後、タイトターンに入る。
「AUTO」モードだけに多少は滑ることを想定し、なるべく小さく確実な部分を探そうと走らせた。極めて安定感が高いが、ドライバーの意志を尊重する制御だ。スロットルの動きに対し、できる限り素直に反応してくれているように感じる。
そのまま、タイトな左コーナーから下り坂、すり鉢状の右コーナーへ。
路面の状況はかなり凸凹。しかも雪であるから厄介であるが、サスペンションがよく動いてくれるので、思った以上に良好な乗り心地だった。
速度を上げ、アンダーをできる限りおさえてコーナリングをした。雪はなかなか深いが、最低地上高がしっかり取られているので、バンパーや床がするようなことはなかった。
続いて、先に空しか見えないような急坂を上る。不安定な挙動もなく安定ある走りで上りきった。
そのままダイアゴナルの路面である。通過する際、ボディを水平に保とうとサスペンションがフルバンプするが、柔らかく処理してくれ、ステアリングに影響はない。これはとても大切なことだ。
処理の甘い車ではステアリングをとられ、腕を打撲してしまうこともある。
ジェットコースター級の下り坂では、速度も上がり、下り切った瞬間にボトムするが、とても懐の深いサスペンションで難なく吸収してくれた。
その後も、カーブや磨かれた路面などが続いたが、過剰な速度を出さずステアリングを切りさえすれば、十分に安定して走行できた。雪道での挙動を理解しているものであれば、AUTOモードで十分な印象だ。


そのまま、同じコースを「SNOW」モードで走ってみる。
スタートから圧倒的に落ち着いた挙動で、安定感がさらに良い。さすがの「SNOW」モードである。
一方で、アクセルを開けてアクティブに走っても、エンジンコントロールへの介入は思った以上にない。ドライバーの意志をやみくもに消さない。つまり、スポーツドライビングもできるのだ。かなり面白い。
磨かれた路面のS字などは、フェイントをかけながら慣性ドリフトで楽しんだ。
これは、明らかに「スポーツ4WD」のセッティングだ。……とはいえ、電子デバイスの細かな介入はあるので、さらにスタビリティコントロールをOFFにし、走ってみる。
電子パーキングなので、サイドブレーキを併用したラリーカーのような走行はさすがにできないが、初めから速度を上げて試した。タイトなコーナーだけ危ないが、手前でじっくりと挙動を確かめ最小舵角で入ればクリアできた。
その後は、アクセルのコントロールのみでスイスイ。リアに動力を与えるセッティングなので、どんどん曲がってくれる。
S字コーナでは、少し派手に向きを傾けてくる印象だが、コントロール性が抜群なので怖さはない。
この独特のコントロール性こそ、モータースポーツを起源としている三菱の強みなのだ。間違いなくこれは、横置きエンジン最強の4WDである。
車を降りても笑みが絶えないほど楽しく、そして「S-AWC」の期待以上の完成度に、満足感の高い試乗会であった。

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