エクリプス クロスは公道でも偽りなく良い車だったが、唯一の不満点も見つけた
2018/04/13
▲駐車場を貸し切った簡易試乗コース、雪の積もったサーキットなど、これまでクローズドコースのみしか走れなかった 三菱 エクリプス クロス。ついに公道での試乗がかなったので、感想を述べたい公道試乗ではじめて見せた一面
発売前から何度か試乗していた三菱 エクリプス クロスだが、それらはすべてクローズドコースだった。そして、そこで走らせたエクリプス クロスは、とにかく褒めることばかりで、ネガティブな部分が見えにくかった。
思い返せば、今までの試乗は、全負荷を交えたスポーツドライビングが主体だったのだ。
コンテンツも、4WDの動力配分の最適性を確認できたり、スリップが連続する雪道でのアクセル開閉度や動力の伝わり方を理解できるものになっていた。
そこで実感できたのは、“三菱らしい”4WD制御。電子デバイスによってスタビリティを向上させつつ、ドライバーがアクセルでコントロールする楽しみも再認識できる制御になっているのだ。
サスペンションの動きも、“ランエボやアウトランダーと共通のプラットフォームを使いながら、よくぞここまで成熟させた!”と言いたい出来だった。
ヨーロッパ的なシャシーのコントロールは、サーキットといいうよりはラリー系のセッティング。乗り心地も程よく硬めであって、心地良い。懐の深さを感じられた。
まさに、“コツコツ作り上げた少数精鋭の開発者の顔が見える”車だったのである。
▲サーキットの雪上コースで抜群のパフォーマンスを見せたエクリプス クロスだからこそ、一般道でこれらの素晴らしい要素が発揮されるのか、気になっていたのだ。
今回用意された試乗コースは、東名高速「御殿場」インターチェンジ近くが拠点。箱根方面でタイトな山間部を試すこともできる。高速道路は東名と新東名を併用でき、気持ち良く走るには最高のロードコースだった。
山間部から試してみる。
初めは上り坂のワインディング。勾配があるが、1.5LターボのエンジンとCVTのコントロールによって力強く加速した。
この時点までは、クローズド同様、全負荷に近いシチュエーションなので、公道での真価は判断できなかったが、エンジンの嫌なバイブレーションもなく剛性も高い印象。ヨーロッパを中心に開発したことが理解できた。
しかし、アクセルを一定にし速度を安定させたのち、再びアクセルを開けにいくと、力強さが失われたのだ。そこからさらに踏み込んでCVTをシフトダウンのように扱ってみるが、エンジン回転が上がるのみ。やはり力強さは体感できない。
1.5Lターボで燃費を考えてか、出力を抑えているような気配が感じられた。
頂上から下りのワインディングは、とても気持ちが良かった。アクセルを踏まず動力をかけなくても、駆動のコントロールは最適だ。安心したハンドリングも得られた。
そのまま東名高速道路へ出る。本線合流の加速に、不満はない。……とは言いつつも、シャシー性能が高いだけに期待値が高まってしまうのがニクイところだ。
トンネル手前の横風も難なくこなし、高速域の外乱に対しても抜群の安定性だった。
追い越しの場面では、一般道で違和感を感じた加速性について再度検証してみた。アクセルを一定に開け、再加速を試みる。……やはりそこに伸びやかさはなかった。
低中速域の加速はまだ良いが、高速域の加速は、静粛性やサスペンションが良いだけにさらに不満を感じてしまう。
結果これが、エクリプス クロスの唯一の不満点となった。
とはいえ、静粛性、奥深いサスペンション、高いスタビリティのハンドリング。これらの評価は公道でも変わりなく、価格帯に見合わぬ高い性能を持った車であることに偽りはなかった。
つまり、質の向上にコストをかけて作り上げた三菱渾身のコンパクトSUVであることに間違いはない。
▲会場では、純正アクセサリー装着車も展示された(写真は、Gグレード・4WDモデル)
▲こちらは、ルーフキャリアやルーフフラックアタッチメントなど、総額82.8万円のディーラーオプションを装備したモデル。ボディカラーはスターリングシルバーメタリック【SPECIFICATIONS】※試乗車
■グレード:G Plus Package ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC + ターボ ■総排気量:1498cc
■最高出力:110(150)/5500 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:240(24.5)/2000-3500N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:4405 x 1805 x 1685(mm) ■ホイールベース:2670mm
■ガソリン種類/容量:レギュラー/60(L)
■JC08モード燃費:14.0(㎞/L)
■車両価格:309.528万円(税込)
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