風が吹けば桶屋が儲かる。そしてレクサスRCに乗るとシトロエンDS5が欲しくなる
2014/12/02

趣味車にとって「おもてなしの心」は果たして重要なのだろうか?
過日、ゆえあってレクサスの最新鋭スポーツクーペRC350“F SPORT”をお借りした。大変素晴らしい車だった。素晴らしさの詳細についてはカーセンサーnetなどに掲載されている評論家各氏のレポートをお読みいただきたいが、筆者がも最も感銘を受けたのは「日本の道で使うために最適化されている!」という点だった。
日本車なんだから当たり前だろと言われればそれまでだが、例えばレクサスRCは全幅1840mmというかなりグラマラスなボディなのだが、東京の狭い道で乗っていてもまったくそれを感じさせない。理由は不明だが、感覚的にはせいぜい1780mmぐらいの車を運転しているようなニュアンスなのだ。
またRCの仮想敵と思われるBMW4シリーズはステアリング自体が極太ゆえ、市街地では何となく「よっこらしょ」という感じで曲がることになる。しかしレクサスRCは日本人の手のサイズを計算し尽くしているからだろうか、4シリーズ以上に極太なタイヤを履いているにも関わらず、東京の狭い市街地でもスイスイとステアリングを回すことができるのだ。しかしそれでいて街道に出て少々スピードを上げれば、BMWに勝るとも劣らないしっかりした操舵感を味わうことができるのだから恐れ入る。「日本で乗るならコレだろ!」と、正直思った筆者であった。

……だが「じゃあお前、実際にRC買うか?」と問われれば、返答に困ってしまうのもまた正直なところである。
レクサスRCが素晴らしいスポーツクーペであることは間違いないが、唯一物足りないと思ったのは「おもてなしの心がありすぎる」という点だ。日本での使われ方に寄り添いすぎているのである。本来それは美点なわけだが、それがあまりにもありすぎると逆にしらけてしまうというか、もっとこう「俺様の価値観」みたいなものをグイグイ押し付けてくる存在に惹かれてしまうのも人間の性(さが)なのだ。
このことは男女の関係に当てはめてみるとわかりやすい。例えば「やすお」という27歳ぐらいの男性がいたとして、やすおがホレまくっている女性に対して「何から何まで○○ちゃんの都合に合わせるよ! ボクの予定は○○ちゃんのために全部開けとくし、忙しかったらドタキャンしてもいいからね!」などと言っていたら、やすおは完全に非モテ状態になるだろう。○○ちゃんにナメられるだろう。モテる男とは基本的にもっと強引であり、ある意味「俺様」な部分を持っているものなのだ。
以上に近いニュアンスで、筆者はレクサスRCに対して「とってもステキな男性」とは思ったが、「ぜひ付き合いたい!」「抱かれたい!」とまでは思わなかったわけだ。ほとんど言いがかりにも近い意見のため大変恐縮ではあるのだが、レクサスに足りないのは「俺様成分」であると、不肖筆者は考えている。
反対に「俺様成分」に満ち満ちているブランドといえば、フランスのシトロエンがその筆頭だろう。

日本人にはある種理解不能なデザインと機構を常にまとい、「ていうかフランス人でも理解不能なんじゃ?」と思ってしまうほどの唯我独尊すぎる世界観を、グローバリズム大隆盛な現代の世でも貫き通している孤高のブランドだ。その俺様感に、わたしのような者はシビレてしまうわけである。
とはいえシトロエンも最近は市場に対してやや迎合しているようにも見受けられ、近年のDS3やC3、DS4あたりのデザインは少々フツーすぎるというか、強烈なシトロエン臭を求める向きには物足りないかもしれない。
だが、DS5だけは依然として別格だ。

あまりに美しく、しかしよく考えると何がなんだかよくわからない内外装デザイン。これぞ、シトロエンである。強烈な俺様価値観を押し付けられたわたしは、陶酔のあまり失神しそうだ。
しかし失神しそうなほどステキなDS5だけに新車価格はそれなりにお高く、2014年モデルのシックでズバリ400万円。その中古車相場も結構な高値を維持してきた。
だがここへ来てついにDS5の中古車相場もこなれてきたようだ。具体的には車両本体価格310万~320万円あたりで、クラブレザーシート付きのDS5シックを狙える状態になったのである。ちなみにクラブレザーシートとは46万2900円のオプション装備だった、シトロエン伝統の柄を表皮に刻んだステキなシートである。

ちょっと特殊な車だけに万人にオススメできるものではないが、近年のシトロエンに若干の物足りなさを感じていた濃い口なあなたにはぜひ、やっとこなれてきたDS5のユーズド物件にご注目いただきたいのである。ということで今回のわたくしからのオススメはズバリ、シトロエンDS5だ。
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