格安アルファ147のセレスピード問題はプラス約30万円の「脳内増資」ですべて解決する!?
2016/03/25
▲総額50万円以下でも狙える輸入車の中では断然楽しいアルファロメオ アルファ147。でも「セレスピード」は故障がちょっと心配。……いったいどうすりゃいいの? アルファ147の快感は、あの小沢一郎さんをも破顔させる(たぶん)
輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、車を買う際はいつだって「予算はおおむね100万円以下!」と自分に言い聞かせながらニッポンの中流ド真ん中を生きている。
さて。予算おおむね100万円以下で何らかのステキな輸入車を狙う場合、本来なら真っ先に候補として挙げなければならないのがアルファロメオのアルファ147だ。
ご承知のとおり01年10月から11年3月まで販売された3ドアまたは5ドアのイタリア製ハッチバックである。もちろん比較的コンパクトではあるが、「コンパクトハッチバック」と呼ぶのは少々はばかられる全長4170mmx全幅1730mmというサイズ、つまりまずまず良好な居住性も備えたCセグメント・ハッチバックだ。
▲小型ハッチバックの中ではやや余裕あるボディサイズとなるアルファ147。3ドアと5ドアがあり、写真は3ドア仕様だが、全長は5ドア仕様と同じ4170mmだ
しかし、アルファ147最大の魅力は居住性ウンヌンではなく、やはりその「活発さ」にある。
特殊なスポーツグレードである3.2L V6搭載の「GTA」は当然として、ごく普通の実用グレードであってもその走りは「快感!」の一語に尽きる。過日、久しぶりに普通のアルファ147、つまり一番ありふれた「2.0ツインスパーク セレスピード」を試乗したが、運転中、普段は仏頂面な筆者の顔はだらしなく緩みっぱなしであった。
設計的にどうということのない自然吸気2Lエンジンは、超一流のオペラ歌手が舞台のクライマックスで歌い上げるシーンを思わせる感動と官能でもって吠え、ごく一般的なハッチバックボディは、まるで体操の内村航平選手のごとき俊敏性をもって向きを変える。正直「これ以上の車は世の中にいらないな……」とも思った。もしもこれを運転すれば、仏頂面日本一とされる(?)政治家・小沢一郎氏の頬すら緩みっぱなしになるのではないだろうか。
▲エンジンもサスペンションも特にハイテクではなく、どちらかといえばかなりオーソドックスなのだが、いざ走らせてみると「なんじゃこりゃ!」と叫びたくなるほどの活発さに、知らない人は驚くはずそのセレスピードが壊れるかどうかは神様にしかわからない?
そんなにステキで、なおかつお手頃価格であるアルファ147について筆者はなぜ、このコーナーで言及するのを頑なに避けてきたのか。
それは「セレスピード問題」があるからだ。
セレスピードというのは、アルファロメオが156の時代から採用したセミAT(シングルクラッチ式2ペダルMT)。通常のトルコン式ATと比べてはるかにダイレクト感に富むステキなトランスミッションなのだが、これがまた正直しばしば壊れる。
信号待ちをしているといきなりギアがN以外の位置に入らなくなったり、1速から2速へ手動でシフトアップする際にギアが抜けてNに入ってしまったり、シティモード(ATモード)で走行中、シフトアップされるべきタイミングでなぜかシフトアップせず、気づくとNに入っていたり……。
で、もしもこれが「必ず壊れる」というのであれば、単なる欠陥車ということで無視を決め込めばいいだけの話だが、アルファ147セレスピードのタチが悪い(?)のは「壊れることも多いけど、壊れないことも多い」という不規則性だ。
ネットでちょっと検索をかければすぐにわかる話だが、世の中にはセレスピードの故障に関する話題が星の数ほどあふれている。しかしその半面、実は特に壊れないままシアワセな一生を過ごすアルファ147セレスピードだって相当数存在するのだ。
「じゃあ壊れたのはメンテ不足の個体で、セレスピードのメンテナンスをちゃんと行っておけば壊れないのか?」というと、意外とそうでもない。いやそういった傾向(メンテしとけばOKという傾向)は確かにあるが、「メンテしとけば絶対大丈夫!」とは断言できないのだ。ある意味ロシアンルーレットのようなものである。イタ車なのでイタリアンルーレットか?
▲写真はセレスピードではなく5MT仕様。そもそもこういった5MTのアルファ147を買っておけばいいだけの話ではあるのだが、市場の大半を占めているのはやはりセレスピードなのだアルファ147の「支払総額」は勝手に割増して考えるべし
……という事情により、当コーナーではアルファ147のことをずっと「空気」として扱ってきた。だがあの素晴らしすぎる直4エンジンは、そしてあの素晴らしすぎる全体としての走行フィールは、「空気」のまま置いておくのは激しくもったいない。
そこで思うのだが、今後アルファ147セレスピードの中古車価格は「支払総額+約30万円で考える」という自主ルールを設けてみてはどうだろうか?
前述のとおり147のセレスピードは壊れることも多いが、壊れないことも多い。何とも言えない。で、その何とも言えない事実は中古車販売店も重々承知しているため、アルファ147の中古車は最初からかなり安い値付けがされている場合が多い。販売店からすれば「まあ壊れないよう整備しているつもりですが、絶対に壊れないというお約束もできません。その分お安くしておきますので、あとはお客様の方でお考えください」という話だろう。
その結果、安いモノであれば走行距離2万km台の04年式でも「支払総額35万円ぐらい」という輸入車にあるまじき価格設定で販売されていたりする。
この支払総額を鵜呑みにして「アルファ147、安いじゃん!」と思ってしまうのが間違いの始まりなのだ。そうではなく「総額35万円か。もしもセレが逝ったとして、それも最悪の壊れ方をしたとして、修理費用がおおむね30万円。つーことは『脳内総額約65万円』ということか。……さて、この物件に65万円の価値は有りや無しや?」という具合に検討することをオススメしたいのだ。
▲アルファ147に搭載されたセレスピードのシステム図。壊れさえしなければ、非常にダイレクトで小気味良いステキなトランスミッションなのだが……
仮にその後セレスピードのユニット本体を新品に替えるハメになったとしても、投じる予算総額は当初の想定どおりである。そしてセレスピードの故障は、ユニット本体ではなく細かな周辺パーツが原因である場合もある。そういったケースでは(その筋の専門工場に依頼すれば)数万円程度で直る場合もなくはないので、その場合は当初の想定総額よりもずいぶん安く維持できることになる。もちろん「噂と違ってまったく壊れませんでした」というケースもあるので、そうなれば当初見込んでいた約30万円のセレ修理予算は丸儲けだ。
これが、アルファ147という格安名車にとってもあなたにとっても、そして販売店にとってもメリットがあり、すべての物事がスムーズに運ぶ「三方良し」な解決策かと思うのだが、どうだろうか。
▲とにかく無視するにはあまりにももったいない「格安名車」であるアルファロメオ アルファ147。気になる人はぜひ、セレスピード問題を理解したうえで前向きにご検討を!【関連リンク】
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