100周年を迎えたシトロエン。今こそ中古車で「魔法のじゅうたん」の乗り心地を味わおう!
2019/11/24

独創と革新のシトロエンが放った斬新な足回り
今年、シトロエンが創業100周年を迎えた。
1919年にヨーロッパで初めて流れ作業による大量生産方式を取り入れたタイプAや、前輪駆動車が広く普及する最初の一歩といわれ、トラクシオン・アバン(前輪駆動の意)という愛称を与えられた7CV、50kgのジャガイモと大人2人を乗せて60km/h出せるようにと開発された2CVなど、様々な“独創と革新”で100年の日々を積み重ねてきた。
その中のひとつに、DSに初めて搭載されたハイドロニューマチック・サスペンションがある。
未来からやってきたかのようなスタイルとともに、1955年のパリモーターショーの来場者を大いに驚かせた独創的な足回りの技術だ。
金属バネやショックアブソーバーがなく、代わりに窒素とオイルを内蔵した球(スフェアと呼ばれる)を備えたその乗り心地は「魔法のじゅうたん(マジックカーペットライド)」と評され、シトロエン独自の乗り心地を代表する技術となる。
ハイドロニューマチックは、後にハイドラクティブ→ハイドラクティブII→ハイドラクティブIII→ハイドラクティブIIIプラスへと進化。
ハイドラクティブIIIプラスを搭載するC5の販売が終了した2015年をもって、ハイドロニューマチックの歴史は一度閉じられた。
しかし、2019年に登場したC5エアクロスSUVは、「新世代のハイドロ」とシトロエン自らが宣言するPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)技術を搭載。
往年のハイドロニューマチックのような、コンフォートな乗り心地を提供してくれる。
シトロエンの通常の金属バネを備えたモデルも十分コンフォートだが、ハイドロ系の足回りを備えたモデルはやはり“シトロエン味”を知るうえでは外せない。
とはいえ、DSなど年式の古いモデルは故障が気になるだろう……。
そこで、今回はまだまだ中古車として現役で自動車税重課前の、13年落ち以内のハイドロ系モデルを紹介しよう。
フランス大統領の公用車としても活躍した
シトロエン C6(初代)


DSからCX、XMと続いた後、2005年(日本デビューは2006年)久々に復活した大型シトロエンがC6だ。
大型といっても、当時のメルセデス・ベンツで言えばEクラスより少し長い程度のボディサイズ。
ただ、このユニークな見た目と乗り心地に、ライバルは存在しないと言っていいだろう。
ブレーキやステアリングの油圧をシステムから切り離し、油圧ポンプや車高調整機構に電子制御を導入したことで、故障がグンと減ったハイドラクティブIII。
C6はその進化版であるハイドラクティブIIIプラスを搭載し、5年間または走行距離2万kmまでメンテナンス不要とした。
スポーツ/ノーマルと、乗り心地を切り替えることができる。
先述のとおり、日本では2006年にデビュー。3Lエンジン×6速ATモデルのみとなる。
当時のフランス大統領の公用車としても使用されたほどだから、インテリアにはウッドやレザーがふんだんに奢られ、リア専用のエアコン操作パネルが用意された。
よりくつろいだ姿勢で乗れる、左右独立のリア電動スライドシートなどを含むラウンジ・パッケージもあった。
デビュー時の車両本体価格は682万円。原稿執筆時点(2019年11月20日)で中古車台数は30台に満たない。
支払総額は約80万円~だが、高いものは300万円を超えるなど、いまだに根強い人気が感じられる。
▼検索条件
シトロエン C6(初代)×全国熟成が極まったハイドロ系最終モデル
シトロエン C5セダン/C5ツアラー(初代)


メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズといった強敵がひしめくカテゴリーにシトロエンが投じていたのがC5だ。
ライバルたちに立ち向かう武器のひとつは、やはり「魔法のじゅうたん」ハイドラクティブIIIプラス。
C6同様、5年間または走行距離2万kmまでメンテナンス不要とした。
2008年から日本で販売が開始され、当初は2L×4速ATと3L×6速ATの2モデルが用意された。
ファーストクラスのクオリティを追求したというインテリアは2Lモデルはハーフレザー、3Lモデルはフルレザーシートが奢られた。
どちらもフロントシートは電動パワーシートで、オートヘッドライトやクルーズコントロールが標準装備。3Lモデルは運転席のマッサージ機能も備えられた。
2010年のマイナーチェンジで、2Lモデルに変わって1.6Lターボ×6速ATが加わり、2011年からは3Lモデルが廃止されている。
それに合わせ、1.6Lターボ×6速ATにもフルレザーシートの上級グレード(エクスクルーシブ)が用意された。
2015年5月には、最終モデルとなる60台限定のファイナルエディションが発売された。
デビュー時の車両本体価格は399万~499万円(ステーションワゴンを含む)。
原稿執筆時点でのセダンの中古車台数は20台に満たないが、支払総額約40万~80万円とお手頃で、ステーションワゴンのツアラーの中古車台数は10台ほどで、こちらもほぼ同様の価格で狙える。
▼検索条件
シトロエン C5セダン/C5ツアラー(初代)×全国先端技術も備えた最新の“ハイドロ”車
シトロエン C5エアクロスSUV(現行型)


「魔法のじゅうたんをSUVにも」と登場したのが、2019年5月にデビューしたばかりのニューモデル、C5エアクロスSUVだ。
同社自ら「新世代のハイドロ」とうたう、新サスペンションシステム「PHC」は、ダンパーシリンダー内にもうひとつシリンダーを組み込むことで、いわゆる“ゆるフワ”な乗り心地を実現する。
実際、かつてエグザンティア(ハイドロニューマチック車)を愛車にしていた私も、思わず「あ、ハイドロだ」と思うほどの乗り心地だ。
2Lディーゼルターボに、アイシン・エイ・ダブリュ製の8速ATが組み合わされる。
高密度ウレタンフォームを用いたシートはたっぷりとしたサイズ&座り心地で、往年のシトロエン車をほうふつさせる。特にリアは3座独立型で、各席でスライド&リクライニングが可能だ。
新世代シトロエンらしい先進技術もふんだんに盛り込まれている。衝突被害軽減ブレーキや先行車の自動追従はもちろん、渋滞での完全停止と再発進(停止から3秒以内)が可能。車線中央の走行をステアリングでもサポートする機能も備わる。
またFF車だが、マッド(泥)/スノー(雪)/サンド(砂)と路面状況に合わせて車両を制御するシステムや、ヒルディセントコントロールなどが備わる。
新車の車両本体価格は424万円。原稿執筆時点で約20台の中古車が見つかり、安いものは支払総額で400万円を切る。しかも走行距離は1000km以下とかなり魅力的だ。
▼検索条件
シトロエン C5エアクロスSUV(現行型)×全国20年ほど前に、94年式のエグザンティアをコミコミ約90万円で購入したことがある。
この車で東京~京都を往復した際、当時の高級セダン・トヨタ セルシオ並みに疲れない、その乗り心地の快適さにコスパの良さを実感した。
ハイドラクティブIIIプラスやPHCなら故障の不安も少なそうだし、一度シトロエン味を体感してみてはいかが?

ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
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