3シリーズツーリング▲現行型3シリーズツーリングの中古車平均支払総額が約1年間で50万円以上も下落中だ

実用性の高い“駆けぬける歓び”が安くなってきた

BMWの中核モデル「3シリーズ」のステーションワゴンが「3シリーズツーリング」だ。数えて6代目となる現行型は、歴代同様、BMWの標榜する“駆けぬける歓び”が色濃く反映されている。

ヨーロッパで好まれるロングバカンスのように、長期間の旅行でも最適な積載量を誇るステーションワゴン。しかも、BMWの3シリーズツーリングなら、遠い目的地までのステアリングを握る楽しさも味わえる。

3シリーズツーリング▲昨今はSUVに推されがちなステーションワゴンだが、走行性能や燃費性能はSUVに勝る場合がほとんど。また、SUVより背が低い分サーフボードや自転車などアクティブギアをルーフに載せやすいなど、使い勝手にもメリットがある

その現行型3シリーズツーリングの中古車平均支払総額が約1年間で50万円以上も下落中だ

お買い得感が増してきた中で、どのように狙うのがいいのだろうか? モデル概要や中古車状況などとともに解説していこう。

3シリーズツーリング▲3シリーズツーリング 後期型の公道試乗時の様子

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BMW 3シリーズツーリング(6代目)
 

モデル概要:ハンズ・オフ機能をはじめ最先端技術がたっぷり備えられた

2019年9月に登場した6代目 3シリーズツーリング。先代よりボディは少し大きくなったが、車両重量はわずか10kg増にとどめられるなど、走行性能の向上が図られ、同社の掲げる“駆けぬける歓び”はさらに増している。

先に登場していた3シリーズセダン同様「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」をツーリングも一部グレードを除き標準装備。この機能は、高速道路での渋滞時にドライバーがステアリングを離しても走行できるというもの。つまり、一定条件下ではあるものの、自動運転技術が搭載された。

3シリーズツーリング▲2Lディーゼルターボエンジン搭載車(320d xドライブ)と、3Lターボ搭載車(340i xドライブ)は、走行状況に応じて前後輪に適切な駆動力を伝える同社独自の4WDシステム「xドライブ」が搭載される

さらに、自然な会話形式で各種操作が行える「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスト」も3シリーズツーリングとしては初採用。AIにより、使えば使うほど賢くなってくれる。

3シリーズツーリング▲ディスプレイ式のデジタルメーターパネルと、インパネ中央のディスプレイが並ぶように配置されている。リアビューカメラは320i SEを除く全車に標準装備

もちろん、使い勝手も向上している。同社のツーリング(ステーションワゴン)の伝統である、バックドアのガラス部部だけを開閉できる機能を備えるのは当たり前として、同社としては初採用となる、アンチ・スリップ・システムも用意された。これは車が走り出すとラゲージ床面からゴム製の滑り止めが自動でせり上がり、荷物が動くのを防ぐ機能だ。

3シリーズツーリング▲全車リアゲートの上部だけこのように開閉可能。また、リアバンパー下に足を振ると開閉できる機能も、320i SEを除く全車に標準装備された
3シリーズツーリング▲ラゲージ内で荷物が動くのを防ぐアンチ・スリップ・システムや、レバーで後席背もたれを簡単に倒せる機能などはオプションで用意されている

2022年9月にマイナーチェンジが行われ、内外装のデザインが変更されている。エクステリアではヘッドライトがよりシャープになり、テールパイプの径も90mmまたは100mmと太くなって、パワフルな印象となった。

3シリーズツーリング▲マイナーチェンジでヘッドライトやバンパー形状が変更された。また、キドニーグリル内の縦のバーが二重になっている
3シリーズツーリング▲リアのコンビネーションライトは、従来より細く水平なラインになるようデザイン変更された
3シリーズツーリング▲12.3インチの液晶メーターと14.9インチのセンターディスプレイをつなげた「カーブドディスプレイ」となった。シフトノブがトグルスイッチになったので写真では何もないように見える

インテリアはさらに大きく変更された。まず12.3インチのメーターパネルと14.9インチのコントロールディスプレイが統合され、ドライバーをぐるりと囲むようにカーブしている「BMWカーブドディスプレイ」となった。さらに、シフトレバーがなくなり、代わりに指先でつまむように操作するトグルスイッチとなった。合わせて、全車のステアリングにパドルシフトが備えられている。

このように、最先端機能を備え、インテリアがマイナーチェンジでより未来的になったのが現行型3シリーズツーリングだ。

 

グレード解説:パワートレイン別に基本グレードは5種類

3シリーズツーリングのグレード構成は、基本的にエンジン種類別に基本グレードが決まる。

2019年9月から現在までに搭載されたエンジンと、基本グレード名は下記のとおりだ。なお、組み合わされるトランスミッションはいずれも8速ATで、320d xドライブ とM340i xドライブを除きFR(エンジンをフロントに置き後輪を駆動させる)方式となる。

318i:最高出力156psの2Lターボを搭載(2020年9月~)。

320i:最高出力184psの2Lターボを搭載。

320d xドライブ:2Lディーゼルターボを搭載する4WD

330i:最高出力258psの2Lターボを搭載(~2020年8月)。

M340i xドライブ:3Lターボを搭載する4WD。


その他、基本グレード名の後ろに「Mスポーツ」が付くグレードは、同社のスポーツ部門を担うM社製の内外装パーツなどが装着される。

また、デビュー時の320iに設定されていた「320i SE」は、ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能をはじめとした先進運転支援機能が省かれるなど、装備が簡素なグレードだ。

 

中古車状況:流通量が増えてきた結果、平均支払総額が順調に下がってきた

2024年の中古車平均支払総額は年初から夏に向けて上昇が続いていたが、その後、多少上下はあるものの下落基調になっている。特に2025年に入ってからは順調に下落中だ。5月の平均支払総額は418.4万円と、昨年の最高値を記録した7月と比べると51.5万円下がったことになる。

3シリーズツーリングのグラフ▲2024年6月~2025年5月までの中古車支払総額推移

昨年、平均支払総額が上昇した背景には、中古車流通量が減ったことが影響したと思われる。

2024年3月には300台を割り、297台にまで減っていた。中古車の価格は需要と供給のバランスで決まるが、需要が変わらないのに供給(流通量)が減ると、販売店も強気の価格を付ける傾向がある。そのため、平均支払総額が上昇していったのだろう。

3シリーズツーリングのグラフ▲2024年6月~2025年5月までの延べ掲載台数推移

しかし、その後は流通量が順調に増え続けたことで、今度は供給が需要を上回るようになり、平均支払総額が次第に下がってきたというわけだ。5月は若干減ったものの、それでも543台と前年同月より200台以上も多い

こうして現行型3シリーズツーリングがお買い得期になってきたわけだが、ではその中でどの3シリーズツーリングを選べばいいのか? 早速考察していこう。

 

中古車のオススメ1:価格重視で狙うなら「320i Mスポーツ」

とにかく安く現行型3シリーズツーリングを狙いたいなら2Lターボを搭載する「320i Mスポーツ」をオススメしたい。Mスポーツではない「320i」でもいいのだが、流通量はどのグレードも「Mスポーツ」が圧倒的に多い。そのためオススメは「320i Mスポーツ」となる。

3シリーズツーリング▲320i Mスポーツにはスマートフォンをワイヤレスで充電する機能が備わるが318i Mスポーツはオプション(写真は前期型)

実は、同じ2Lターボの「318 i Mスポーツ」もほとんど同額で狙える。同年式&同走行距離(1万km未満を除く)でも価格はほぼ同じだ。つまり、318i Mスポーツでも十分いいのだが、以下の違いを考慮して、今回は320i Mスポーツを推すことにした。

・中古車流通量は若干320i Mスポーツの方が多い
・320i Mスポーツは他のMスポーツグレード同様、スポーツAT(変速が機敏などスポーティな走りが楽しめる)だが。318i Mスポーツはノーマルの8速AT
・318i系の最高出力は184ps、318i系は同156ps
・318i系のWLTCモード燃費は15.4km/Lだが、320i系も14.9km/Lと大差はない
・320i系にはシートヒーターやワイヤレス充電機能が備わる

「そんなの気にならないよ」というのであれば、同時並行で探すといいだろう。

いずれも走行距離3万km未満で、支払総額約330万円から選ぶことができる。

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BMW 3シリーズツーリング(6代目) × 320i Mスポーツ
 

中古車のオススメ2:人気のディーゼル車を狙うなら「320d xドライブ Mスポーツ」

最近は低燃費で燃料費も安いディーゼル車が人気だ。3シリーズツーリングもまた、ガソリン車がハイオク仕様ということもあるのだろう、流通量を見るとディーゼル車の方が多い(つまり新車で売れている)。

ディーゼル車が欲しいなら、320d xドライブ系一択となる。中でも、他グレード同様、Mスポーツの流通量が圧倒的に多い。というわけで、オススメは「320d xドライブ Mスポーツ」だ。

3シリーズツーリング▲装備は320i Mスポーツとほぼ同じ。どちらも18インチアルミホイールを履く

走行距離3万km未満で支払総額約370万円から見つけられる。上記318i Mスポーツ/320i Mスポーツより若干高いが、318i Mスポーツ登場時点で差額は90万円だったのだから、それがグッと縮まっている、つまりお買い得になっていると考えていいだろう。

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BMW 3シリーズツーリング(6代目) × 320d xドライブ Mスポーツ系
 

中古車のオススメ3:コスパ重視なら「M340i xドライブ」

コストパフォーマンスで選ぶなら「M340i xドライブ」がオススメだ。走行距離3万km未満で支払総額約630万円と、新車時の車両本体価格1025万~1052万円(2022年は1月からマイナーチェンジのあった9月までに3回価格改定が行われている)から約400万円安い、ざっと40%も安い価格で買えるようになったというわけだ。

3シリーズツーリング▲M340i xドライブは専用のキドニーグリルやエアロパーツを装着。また、19インチアルミホイール(前225/40、後255/35)が標準だ

2023年1月には、M3の初めてのステーションワゴンである、M3ツーリングが登場したが、それまでのトップ・オブ・3シリーズツーリングだった。

ちなみに、M3などMモデルはサーキット走行も視野に入れて開発され、M340iのようなMパフォーマンスモデルは、一般道をよりスポーティに走れるように、レースなどで培われた技術を用いてM社が専用チューニングを施したモデルだ。

BMWが伝統的に得意とする直列6気筒エンジンにツインターボを備え、最高出力387ps/最大トルク500N・mを発揮。しかも、最大トルクは1800回転から発揮するので、街中では持てあますほど。高速道路上に解き放てば気持ちよく加速し、乗り心地も良好で、きっとステーションワゴンであることを忘れるだろう。

上にM3がいることは確かだが、サーキットを走るつもりがないならこれで十分なはずだ。

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BMW 3シリーズツーリング(6代目) × M340i xドライブ

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BMW 3シリーズツーリング(6代目)
文/ぴえいる、写真/BMW、尾形和美
※記事内の情報は2025年7月8日時点のものです。

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。