日産 マイクラ ▲日産から発表されるや否や、そのデザインが大絶賛された新型日産 マイクラ(日本名マーチ)ですが、日本市場に導入されるかどうかはまったくもって未定です。とはいえ素敵すぎる新型マイクラの登場が待ち切れない! と考えている人も多いのでは?

欧州では2025年後半に発売される日産 マイクラ。日本はどうなの?

日産は2025年5月21日、通算6代目となる新型マイクラ(日本名マーチ)を、2025年後半に欧州市場でBセグメントEVとして発売すると発表しました。

ロンドンの日産デザインヨーロッパ(NDE)で設計された新型マイクラは、どこかSUVを感じさせるデザインと絶妙なプレミアム感、そして随所に施された緻密な表現が融合した結果としての「カッコよくて、なおかつカワイイ感じ」がとてつもなく素晴らしく、デザイン性の高いコンパクトカーを好むクラスタとしては「欲しい! 今すぐ買いたい!」と叫びたくなるほどの出来栄えです。
 

日産 マイクラ▲基本的にシンプルではあるのだが、だからこそ得もいわれぬ「良さ」を感じる新型日産 マイクラのエクステリアデザイン。ぜひ日本でも販売してほしいところだが……

しかしながら、そんな素晴らしい新型マイクラが日本に入ってくるかどうかはまったくの未定。現段階でわかっているのは「2025年後半に欧州で発売される」ということだけで、日本市場にも導入されるのか? されるとしたら、いつになるのか? などの情報はいっさいありません。そして、そもそも日本市場には導入されない可能性も高いのかもしれません。

そこでこの記事では「今すぐ買える、新型マイクラの代わりになり得るコンパクトカー」を5モデルほど、気合を入れてピックアップしてみたいと思います。
 

 

新型マイクラの代わり①:ミニ ミニクーパー(4代目)

新型マイクラのデザイン完成度があまりにも高いため、「ちょっとカワイくておしゃれ」程度のコンパクトカーではまったく太刀打ちできないわけですが、これなら十分に対抗馬となり得るでしょう。現行型ミニクーパーです。
 

ミニ ミニクーパー▲こちらが現行型ミニ クーパー3ドア。写真はエンジン車であるクーパーS

ご承知のとおり英国製の元祖ミニは2002年以降「BMW製の新しいミニ」として生まれ変わり、独自の進化を続けてきました。

そして2024年3月に登場した現行型(4代目)は車名も「ミニクーパー」に改め、エンジン車の他にエレクトリック(EV)も用意するに至りました。

新型日産 マイクラの詳細なボディサイズは未発表ですが、いちおう「全長4m未満、幅1.8m未満、ホイールベースは2.54m」とは発表されており、その数値は現行型ミニクーパーの全長3860mm×全幅1755m、ホイールベース2495mmとおおむね同等です。

そして内外装デザインは――もちろん人それぞれの好みという部分はあるため、一概に優劣は付けられませんが、現行型ミニクーパーも新型マイクラと同様の「カワイイが、単にカワイイだけでは終わらない上質感と普遍性、そして良い意味での突き放し感(こびていない感じ)」に満ちているといえます。
 

ミニ ミニクーパー▲デジタル世代特有の「シンプルな線」を中心に構成されている現行型ミニ クーパーのインテリア

さらに新型マイクラの場合、仮に日本に導入されたとしても(たぶん)EVしか選ぶことができませんが、現行型ミニクーパーであれば、1.5Lまたは2Lのガソリンターボエンジンを選択することもできます。

都市部の集合住宅などにお住まいの場合は、正直まだまだエンジン車の方がEVよりも利便性は断然上なはず。その意味でも現行型ミニクーパーは、「まだ見ぬ強豪」である新型日産 マイクラ以上に魅力的な部分も大なのです。

そんな現行型ミニ クーパーの直近の中古車価格はおおむね下記のとおり。決して爆安ではありませんが、普通に現実的な予算でイケるのも、この車の魅力であるといっていいでしょう。

●クーパーC 3ドア:総額290万~460万円
●クーパーC 5ドア:総額350万~470万円
●クーパーS 3ドア:総額360万~470万円
●クーパーC 5ドア:総額410万~550万円
●クーパーE 3ドア:総額290万~430万円
●クーパーSE 3ドア:総額330万~540万円

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ミニ ミニ(4代目)
 

新型マイクラの代わり②:フィアット 500(3代目)または500e(初代)

新型マイクラと同様の「カワイイが、単にカワイイだけでは終わらない上質感と普遍性、そして良い意味での突き放し感(こびていない感じ)」を備えている車としてはイタリアのフィアット 500、またはそのEV版であるフィアット 500eも有力候補となります。
 

フィアット 500▲0.9~1.4Lのガソリンエンジンを搭載するフィアット 500
フィアット 500e▲こちらは最高出力118psの電気モーターが前輪を駆動させるフィアット 500e

フィアット 500は、1950年代から70年代にかけて大活躍した「フィアット ヌオーヴァ500」のエッセンスを2008年、まずはエンジン車として現代の世に復活させたコンパクトカー。そして2022年4月登場した500eは、そのEVバージョンです。

内外装デザインは、新型マイクラと比べるとやや甘口かもしれません。しかしフィアット 500および500eのデザインは決して「激甘すぎる企画モノ系デザイン」ではなく、単なるカワイさと懐古趣味の範疇には収まらない十分な普遍性を帯びているように、筆者には思えます。
 

フィアット 500▲カワイイのは確かだが、それだけではなく「古典」と「普遍」も感じさせるフィアット 500の運転席まわり

とはいえ下記に記したボディサイズが新型マイクラよりも小さい点が、場合によってはネックになるかもしれません。しかしそこがノープロブレムであるならば、フィアット 500または500eは十分に「新型マイクラの代わり」たりえるでしょう。

【ボディサイズ】
●新型マイクラ:全長4000mm未満×全幅1800mm未満 ホイールベース2540mm
●フィアット 500:全長3570mm×全幅1625mm ホイールベース2300mm
●フィアット 500e:全長3630mm×全幅1685mm ホイールベース2320mm

【中古車価格】
●フィアット 500:総額30万~320万円
●フィアット 500e:総額250万~550万円

 

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フィアット 500(3代目)

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フィアット 500e(初代)
 

新型マイクラの代わり③:ホンダ Honda e(初代)

先ほどから繰り返し申し上げている「カワイイが、単にカワイイだけでは終わらない上質感と普遍性、そして良い意味での突き放し感(こびていない感じ)」を備えている車には、明らかにHonda eも該当します。
 

Honda e▲こちらが2020年に登場した都市型EV、ホンダの「Honda e」

2020年10月から2024年1月まで生産されたHonda eは、名車といわれた初代ホンダ シビックを現代的に昇華させたようなデザインをまとったハッチバック型のEV。ボディサイズは新型マイクラの公表値に近い全長3895mm×全幅1750mm×全高1510mmです。

ホンダはこの車を「航続距離は短めだが、その代わり軽快で痛快な走りが堪能できる都市型EV」としてリリースしました。しかしWLTCモードで259kmという一充電航続距離はさすがに短すぎたか、ヒットには至らず、2024年1月にはあえなく生産終了となりました。

とはいえ、最高出力154ps/最大トルク315N・mのモーターを軽量な車体のリアに搭載し、そして後輪を駆動させることで生まれたドライビングプレジャーのクオリティ感は相当なモノです。また内外装デザインも、初代シビックのオマージュと思われる部分はあるものの、単なる懐古趣味やカワイイ感じに終始するのではない「現代の目線と志」が感じられるのが、このEVの素晴らしいところです。
 

Honda e▲メーター部分に8.8インチ、センター部分に12.3インチ×2枚、両端にはサイドカメラミラーシステム用の6インチモニターが設置されているHonda eのインパネまわり

もちろん「航続距離が短い」という難点はあるのですが、もしもホンダがイメージしたとおりの「ご近所スペシャル」として使うつもりであれば、これもまた十分以上に「新型マイクラの代わり」として機能するでしょう。

そして直近の中古車価格は総額230万~430万円。決して爆安ではありませんが、大いに現実的なプライスではあります。
 

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ホンダ Honda e(初代)
 

新型マイクラの代わり④:スズキ ジムニー(JB64型)またはジムニーシエラ(JB74型)

ここまで新型日産 マイクラがEVであることを意識して、EVまたはEVもラインナップしている車種に限定しながら「マイクラの代わり」を考えてまいりました。

しかし冷静に考えてみると、「EVである」という点こそが新型日産 マイクラ最大の魅力であると考えている人は、果たしてどれぐらいいるでしょうか?

もちろん答えはわかりませんが、多くの人は新型マイクラのEVうんぬんに引かれたのではなく、「あのデザイン」に引かれたのではないかと推測します。もしもそうであるならばEVという形態にこだわる必要は特になく、「デザインと雰囲気の良し悪し」を中心に物事を見るべきでしょう。

そしてそう考えた場合、一気に有力候補となってくるのが現行型のスズキ ジムニーまたはジムニーシエラです。
 

スズキ ジムニー▲超本格軽オフローダーである現行型スズキ ジムニー
スズキ ジムニーシエラ▲こちらは1.5Lエンジンを搭載する現行型ジムニーシエラ

ご承知のとおりスズキ ジムニーは、険しい山岳地帯や豪雪地帯などにおいて、発電所の保守業務等々に使われることを想定して開発された軽オフローダーで、ジムニーシエラはその登録車版です。

そして2018年7月に登場した現行型も「働く人々のための本格オフローダー」という位置付けはまったく変わっていないのですが、本来はプロの使い勝手のためにデザインされたシンプルな内外装が「逆にカッコいい!」と一般ユーザーにも大ウケし、世間一般でも大ヒットを記録してしまいました。
 

スズキ ジムニー▲現行型ジムニーXCのインテリア。このヘビーデューティな素材と作りは「汚れが付いてもすぐ落とせるように」ということを本来の目的としているが、そんな「プロの道具感」が一般ユーザーにも非常に好意的に受け入れられた

つまり現行型ジムニーおよびジムニーシエラのカッコよさまたはカワイさとは、それを「狙って」デザインしたような表層的で軽薄なものではなく、プロダクトとしての本質から生まれているカッコよさおよびカワイさであるということです。

そしてそれは、新型日産 マイクラの「別に“カワイさ”みたいなものを狙ったわけではないが、歴代マイクラ(マーチ)の共通テーマである『シンプルで控えめでありながらも優雅さを感じるデザイン』を踏襲し、そしてとことん追求したら、結果として『カワイイ!』といわれる造形が誕生してしまった」という成り立ちに、大いに似ているように思えます。

そして本質的に似ているがゆえに、ジムニーまたはジムニーシエラを購入したとしても、新型マイクラを購入した場合と本質的に似た満足感を覚えることになるでしょう。

そんな現行型スズキ ジムニーおよびジムニーシエラの、ここ最近の中古車価格は下記のとおりです。

●ジムニー:総額130万~390万円
●ジムニーシエラ:総額160万~460万円

 

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スズキ ジムニー(JB64型)

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スズキ ジムニーシエラ(JB74型)
 

新型マイクラの代わり⑤:フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ(初代)

EVという形態にこだわるのではなく、「デザインと雰囲気の良し悪し」を中心に物事を考えるのであれば、いっそのこと初代フォルクスワーゲン ゴルフカブリオまでさかのぼってしまうという手もあります。
 

フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ▲こちらが初代フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ。写真は1987年モデル

この小さなオープンカーは、初代フォルクスワーゲン ゴルフをベースとする4人乗りのカブリオレ。固定屋根をもつ方の初代ゴルフは1983年に販売を終えましたが、2代目ゴルフにはカブリオモデルが存在しなかった関係で、初代ゴルフカブリオは、3代目ゴルフにカブリオが追加される1994年まで販売が継続されました。

さすがに最初期の初代フォルクスワーゲン ゴルフカブリオはもはや中古車市場で見かけることはありませんが、2代目ゴルフのコンポーネントを混ぜて製造された「1.8」や「クラシックライン」という後期型は、今なお中古車市場の一部でけっこうな人気を博しています。
 

フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ▲写真は初代ゴルフカブリオの最終年式に近い世代

初代フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ後期型の持ち味は、素朴な1.8Lエンジンと全長約3.9m×全幅約1.6mの小さなボディ、そして切り立ったピラーがもたらすオープン時の抜群の開放感が組み合わされたときに生じる、まるで上質なアコースティック楽器を奏でたときに感じるようなナチュラルな快感です。

とはいえ、そういったカーマニア的な視点を除外して考えたとしても、初代フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ後期型のたたずまいの良さは、新型日産 マイクラに決して負けていないというか、むしろこちらの方が若干優勢にも思えます。

もちろんこのあたりの感じ方は人それぞれであるため、無理強いはいたしません。しかし、もしも古めの輸入車に乗ることに抵抗がないのであれば、新型マイクラの意外な対抗馬として、総額200万円台ぐらいの初代フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ後期型もチェックしてみることをオススメいたします。
 

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フォルクスワーゲン ゴルフカブリオ(初代)
文/伊達軍曹 写真/日産、MINI、ステランティス、スズキ、フォルクスワーゲン
※記事内の情報は2025年7月10日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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