【試乗】新型 メルセデス・ベンツ GLC|内燃エンジンで “完熟の走り”を手に入れた人気SUV
カテゴリー: メルセデス・ベンツの試乗レポート
2023/07/13
▲人気ミドルサイズSUVの2代目。キープコンセプトながら電動化されたエンジン、最新世代のインフォテインメントシステムや運転支援システムなどすべてにわたって進化を果たしているキープコンセプトながら全方位に進化
2015年にデビューしたミドルサイズSUVのGLCが、およそ7年の歳月を経て2代目へとフルモデルチェンジした。モデル末期の2020年と2021年でもメルセデス・ベンツSUVで最も売れた車となっており、全世界での累計販売台数は約260万台を記録したという。
それだけに新型となる2代目はキープコンセプトでまとめられている。プラットフォームは、現行型Cクラスなどと同じく「MRA II(モジュラー・リアホイールドライブ・アーキテクチャーII)」を採用。エンジンを縦置きする後輪駆動ベースの4WDとなる。
ボディサイズは全長4720mm、全幅1890mm、全高1640mm。先代比では全長のみ+60mm拡大しているが、全幅は同寸、全高はー5mmと、日本の道でもちょうどいいサイズをキープ。ホイールベースは2890mmと先代比で+15mmとわずかに伸びている。全長のサイズアップは主にラゲージスペースにあてられたようで、ラゲージルームの奥行きが+78mmとなり、通常時は+70Lの620L、最大積載量は+80Lの1680Lとひとクラス上の積載容量へと拡大している。
エクステリアデザインは、メルセデスのデザイン基本思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」を継承するシンプルなもの。真横から見ると特徴的な弧を描くサイドウインドウグラフィックも踏襲する。従来モデルとのわかりやすい識別点としては、ヘッドライトとグリルが一体化されたこと。そして標準仕様では、フロントグリルの周囲とバンパー下部のアンダーガードがクローム調に。一方AMGラインでは、フロントグリルの周囲はブラックに、グリル内部には小さなスリーポインテッドスターが立体的に配されたスターパターングリルを採用する。リアまわりでは、Cクラスとも共通する水平基調のリアコンビネーションランプにより、ワイドでシャープな印象になった。そして、リアバンパーにもクロームのアンダーガード風のデザインを採用する。
インテリアデザインも、基本はCクラスなどの流れを踏襲する最新のもの。ただし、キャビンが広いだけにダッシュボードは上下2つに分割されるなど独自のデザインが採用されており、素材を含めた質感も高い。トリムなども独特のもので、試乗車にはブラックのウッドにマット仕上げを施し、アクセントとして垂直方向にアルミニウムのラインを取り入れたオプション装備の“ブラックオープンポアウッドインテリアトリム”を採用していた。ちなみに、標準仕様でもブラック光沢仕上げのリアルウッドパネルとなる。
ダッシュボードの中央にはドライバー側に6度傾けた縦型の11.9インチのメディアディスプレイを、運転席の目の前には浮かんでいるように見える12.3インチの大型コックピットディスプレイを配置している。
「ハイ、メルセデス」でお馴染みの対話型インフォテインメントシステムのMBUXは最新世代を搭載する。「スライディングルーフを開けて」と言うと、頭上のガラスサンルーフを開いてくれたり、オプションのヘッドアップディスプレイのオンオフといった以前のバージョンではできなかったことができるようになっているなど、明らかな進化を感じた。また、前方視界上に矢印などの指示を表示することで進行方向を直感的に把握しやすくした最新のMBUX AR(Augmented Reality=拡張現実)ナビゲーションのSUVモデル初採用と、インフォテインメントシステムも一気にアップデートされた。
▲アンダーガード風のクロームパーツや左右エグゾーストエンドと一体化したトリムで力強いスタイルを演出した
▲2L直4ディーゼルターボエンジンは、可変タービンを採用した水冷式ターボチャージャーなどによりレスポンスを向上させているグレードは「220 d」のみの設定。パワートレインは、OM654M型の2L直4直噴ディーゼルターボで最高出力は197ps、最大トルクは440N・mを発揮する。そこに23ps/205N・mを発生するISGを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となる。トランスミッションは9速ATの「9Gトロニック」で、駆動方式は4WD(4MATIC)だ。前後の駆動力配分は45:55とほぼ均等に割り振られる。Cd値は0.29と先代より0.02ポイント改善されているなど、燃費(WLTCモード)は従来の15.1km/Lに対して18km/Lと、19%もの改善を果たしている。
エンジンは、始動時にはわずかに意識させられるものの発進時の音や振動はきっちり抑え込まれていた。そして、高速で巡航するようなシーンではまったくその存在を感じさせない。風切り音やフロアからのロードノイズの進入も抑制されており、静粛性の面でもワンランク上のモデルへと進化していた。また、試乗車はオプションのエアサス(AIRMATICサスペンション)を装着していたこともあり、大きな目地段差もたんたんとリズミカルに乗り越え、揺り返しのようなものもなくきれいに減衰していく。
そして、こちらもオプションの後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」を備えていた。約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大4.5度傾けることで、最小回転半径を5.1mとコンパクトに取り回しをしやすくする。一方で約60km/hを超えると、リアホイールをフロントホイールと同じ方向に最大4.5度操舵することで走行安定性を高めるというもの。後輪が動くことによる違和感のようなものはなく、高速域でのロールも少なくびたっと走るスタビリティの高さからもぜひ欲しいアイテムだ。ただし、AMGラインパッケージ(60万円)の装着が前提で、かつエアサスとのセットオプション(ドライバーズパッケージ49万円)と、それなりの追加予算も必要になる。
▲Cクラス同様の縦型メディアディスプレイとコックピットディスプレイで構成
▲オフロード走行時などで、前方下側の路面映像を仮想的に映し出す「トランスペアレントボンネット」などを備えたセンターのスクリーンの下部にあるダイナミックセレクトによって走行モードの切り替えが可能で、スポーツモードを選択すればエンジンもステアリングもダンパーもすべて調整可能。しかも過度な演出はなく、公道で楽しめるバランスにセッティングされている。今回は試せなかったが、トランスミッションの制御切り替えにより雪道や悪路走破性を高め、急な下り坂でも安心して走ることができるDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)を備えた「OFFROAD」モードも用意されている。
そしてADAS(先進運転支援システム)もSクラスなどが採用する最新世代へとアップデートされた。従来モデルでは、ディスタンスアシスト・ディストロニック使用時にステアリングホイールにかかるトルクでドライバーの手を検知していたため、軽く添えているだけだと警告が出る場面があったが、新型ではステアリングのリムに静電容量式センサーを備えたパッドを採用したことで手の認識精度が高まり、手を放していないにも関わらず警告がでるような症状が大幅に解消されている。
一見するとキープコンセプトで変わった感が少ないように思えるが、新プラットフォーム、電動化されたエンジン、最新世代のインフォテインメントやADASと、全方位で進化を果たしている。メルセデスも宣言している100%BEV化を前にして、ある意味では完熟の内燃エンジン車といえるものかもしれない。ベストセラーSUVの名に違わず国内でもすでにたくさんのオーダーが入っているというから、やはりわかる人にはわかるようだ。
▲メルセデス・ベンツのSUVに共通するフロントデザインを採用。大きな開口部をもつフロントバンパーも備えた
▲AMGレザーエクスクルーシブパッケージ(写真)をオプションで用意
▲後席のバックレストを約10度起こすことで、ラゲージ容量を増やすこともできる
▲ラゲージ容量は通常620L、後席を倒せば最大1680Lとなるメルセデス・ベンツ GLC(先代)の中古車市場は?

中核モデルであるCクラスと同等の安全・快適性を備えたSUVとして日本では2016年に登場した。日本の道でも扱いやすいコンパクトなサイズ感で、いまだに人気のモデル。
2023年7月前半時点で、中古車市場には300台以上が流通中で、中古車平均価格は約410万円。全体の半数はAMGラインパッケージを備えた物件。ディーゼルエンジン搭載モデルは170台と半数以上を占めている。ハイパフォーマンスバージョンのAMGモデルも90台程度が流通していることから、好みに合わせてグレードを選ぶことができる状況を迎えていると言っていいだろう。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ GLC(先代)× 全国▼検索条件
メルセデスAMG GLC(先代)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●220d 4マチック(ISG搭載モデル)ディーゼルターボ 4WD
| 型式 | 3CA-254605C | 最小回転半径 | 5.5m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.72m×1.89m×1.64m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.89m |
| ミッション | 9AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.64m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1930kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | 0.18m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ポーラーホワイト |
||
| オプション色 |
オブシディアンブラック、ノーティックブルー、グラファイトグレー、モハーベシルバー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、ダイヤモンドホワイト、ヒヤシンスレッド |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3CA-254605C |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 9AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ポーラーホワイト |
| オプション色 | オブシディアンブラック、ノーティックブルー、グラファイトグレー、モハーベシルバー、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー、セレナイトグレー、ダイヤモンドホワイト、ヒヤシンスレッド |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
コラム |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.5m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.72m×1.89m×1.64m |
| ホイール ベース |
2.89m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.64m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1930kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.18m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | OM654M | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | 軽油 |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 62リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 19.1km/L |
| 総排気量 | 1992cc | 燃費(WLTCモード) |
18.1km/L
└市街地:14.3km/L └郊外:18.5km/L └高速:20.1km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 197ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
440(44.9)/2800 |
| エンジン型式 | OM654M |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1992cc |
| 最高出力 | 197ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
440(44.9)/2800 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 軽油 |
| 燃料タンク容量 | 62リットル |
| 燃費(JC08モード) | 19.1km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 18.1km/L
└市街地:14.3km/L └郊外: 18.5km/L └高速: 20.1km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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