【試乗】新型 メルセデス・ベンツ Eクラス|乗れば最新メルセデスが分かる! 電動化した中核モデルのセダン&ワゴン
カテゴリー: メルセデス・ベンツの試乗レポート
タグ: メルセデス・ベンツ / セダン / ステーションワゴン / FR / Eクラス / Eクラスワゴン / EDGEが効いている / 西川淳
2024/03/20
▲メルセデス・ベンツの中核モデルであり、プレミアムセダンのベンチマークであるEクラスがフルモデルチェンジした。パワートレインの電動化、サードパーティ製アプリも使えるようになったMBUXなど、最新メルセデスを体感できる装備が充実している“BEVライフ”に近づいたバーゲンプライスのPHEV
Eクラスはメルセデス・ベンツブランドの核心だ。SUV全盛の時代を迎え、BEVの取り組みも鮮明となった今となってなお、そうだ。Eクラスに乗れば最新のメルセデス・ベンツが分かる。そういう存在であり続けている。
それが証拠にEクラスはジェネレーションの締めくくりである。つまりその時代の共有プラットフォームモデル群において最も熟成されたタイミングで登場する。新型はMRA IIと呼ばれる拡張性に富んだFRプラットフォームを使う最後発のモデルとなった。贅沢にお金の使えるSクラスでマーケットの反応をうかがい、Cクラスで多様な経験を積んで、ちょうど熟れ頃となったタイミングで満を持してEクラスとして投入する。それがメルセデス・ベンツの変わらぬ戦略であった。
新型Eクラス(W214型)は11代目である。2024年1月に日本での発表を終えたばかり。セダンとステーションワゴンが同時にデビューし、とりあえずセダンには3種類、2Lディーゼルターボ ISG搭載(E 220 d)、2LターボISG搭載(E 200)、2Lターボ+プラグインハイブリッド(E 350 e)。ステーションワゴンに2種類、2Lディーゼルターボ ISG搭載(E 220 d)、2LターボISG搭載(E 200)のパワートレインを用意した。エンジンはすべて4気筒だ。
総合的に見て燃費スペックが最も良いのは2Lディーゼルターボなのだが、約20kWhのバッテリーを積んだPHEVセダンのE 350 eならフル充電で112km(WLTCモード)も電動走行できる。ガレージに充電器があって、街中での使用がメインというユーザーなら、AMGラインパッケージを付けたE 200とさほど乗り出し価格の変わらないE 350 eを狙うという手も大いにアリ。それほどE 350 eは思い切ったバーゲンプライスで、逆にいうといつなんどき価格改訂を受けて値上げとなってもおかしくない。まずはPHEVでEV的な使い方に慣れ親しんでもらおうという魂胆もありそう。
デザイン的な印象はロングノーズを強調したクラシックな正統派FRサルーンというもので、適度なスポーティさも感じられるから、昔ながらの車好きにはウケるはず。サイズ的には案の定少し大きくなったけれど、全長5m以下、全高1.5m以下をなんとか死守した。
▲PHEVのE 350 e スポーツ エディション スター。バッテリーは25.4kWhを搭載、そのうち19.5kWhをEV走行用に使用する。車外へ電気を供給する機能(V2H/V2L)にも対応
▲デジタルインテリアパッケージを選択すると、助手席前までディスプレイが広がるMBUXスーパースクリーンが備わる実際に乗り込んでみれば、EQEの“ハイパースクリーン”をちょっと小さく簡素にしたような“スーパースクリーン”が目に飛び込んできた。とはいえ、十分に新しい。ダッシュボード上の真ん中あたりには小さなカメラが見える。サードパーティ製アプリをダウンロード可能で、Zoomで会議という芸当もこなすという。その他車の知能化も大幅に進んでいる。例えば音声認識も「ハイ、メルセデス」などと断らずとも、フツウに話しかければ応答するようになった(ただしドライバー1人の場合)。
いやはや、アナログ世代の私なんかは最新モデルとの濃厚なお付き合いをそろそろ遠慮しなきゃいけないのかも、などと考えつつ、まずはE 350 eを駆る。
静々ゆったり動き出す風格はもはやSクラスをドライブする感覚に近い。5m以下を守ったのだからさすがにSクラスだけは超えることはないだろうと少し見くびっていたから、余計に驚かされた。モーターパワーを上手に制御してエンジンと協調させていて、加速の力強さとスムーズさも天下一品。それでいてカントリーロードでは後輪操舵と相まって鼻先の動きに車体の“短さ”を十分に感じさせた。そこはやはりEクラスなのだ。
高速道路では高い静粛性としなやかな重厚感にもはや言葉を失ってしまう。重量を使って走らせることに長けたブランドだけあって、重さは少なくともドライバーにとっての敵ではない。
▲E 200 d ステーションワゴン アバンギャルド。19インチAMGアルミホイールやスポーツシートなどが備わる、AMGラインパッケージ(写真)が用意される
▲ステーションワゴンのラゲージ容量は615~1830Lとはいえ、そこまでSクラス寄りの走りをEクラスに求める人がいるのだろうか? 贅沢な文句を独り言ながら、こんどはディーゼル(E 220 d)のステーションワゴンに乗り替えた。
空荷でのスタート。30km/hを超えてからの低中速域で妙にゴツゴツする。大きなラゲージスペースになんでもいいから荷物を積みたくなってしまう。タイヤの影響もあったかもしれない。もっとも70km/hを超えたあたりから、そんなことも気にならなくなる。
ディーゼルエンジンによる加速は良好で、爆発的ではないものの力強さは程よく、コントロールもしやすい。鼻先は十分に軽く、ハンドリングは良好だ。音は壊滅的にダメだけれど、それでもボリュームは抑えられている。フィールとともに、ハナからそれを求めてはいけないのだ。高速クルージング時の落ち着きはディーゼルならでは。
▲E 200 アバンギャルド。ホイールベースは先代より20mm長い2960mmとなった乗り替えてみれば、圧倒的にかったるいガソリン(E 200)のISGだったが、それでもナチュラルな加速フィールと低速域からの乗り心地のよさに感心した。妙に軽快なノーズの動きにちょっとCクラス的なプア感も漂っていたものの、これはこれでアリだと思う。“おかん”のような安心感こそEクラスの持ち味だと、W124型時代から思っている。おっとりしたE 200にはそれがある。高速巡航の質感も悪くなかった。
個人的には、もう少し直球ド真ん中なEクラスが欲しい。E 300がおそらくそうだと想像している。
▲E 200 アバンギャルド。周囲をブラックパーツで囲った、エンブレムとグリルが一体化した3Dデザインのフロントグリルを採用
▲E 200 d ステーションワゴン アバンギャルド。左右がつながったリアコンビランプには、エンブレムを模したデザインが取り入れられている
▲ダッシュボード上にはオプションでセルフィー&ビデオカメラを装備。停車中ならこのカメラを使って、オンラインミーティングなどに参加することもできる
▲レザーエクスクルーシブパッケージではナッパレザーシート(写真)を採用。標準仕様はE 200/E 200 dはレザーARTICO、E 350 eはレザーARTICO/MICROCUTとなる
▲シート内部のウレタンフォームなどのコンポーネントに、環境に配慮した再生材料や再生可能原料を採用する
▲プラグインハイブリッドは2Lターボに129psのモーターを組み合わせ、システム最高出力312psを発生
▲最高出力197ps/最大トルク440N・mの2Lディーゼルエンジンに、短時間ながら最大で23ps/205N・mのブーストが可能なモーターを組み合わせた
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
メルセデス・ベンツ Eクラス(先代)の中古車市場は?

2016年に登場した10代目となるEクラス。運転支援システム「ドライブパイロット」や高効率ディーゼルエンジンをはじめ、先に登場したSクラスなどのデザインや装備・技術などが取り入れられた。2020年にマイナーチェンジが行われ、運転支援装備やインフォテインメントシステムが新しくなっている。
2024年3月上旬時点で、中古車市場には320台ほどが流通。販売期間が長く、グレードも多いため、価格帯は170万~1000万円と幅広い。ディーゼルエンジン搭載モデルは100台程度、2019年登場のプラグインハイブリッドの「E 350 e」とディーゼルの「E 350 de」も合わせて15台程度が流通している。
一方、ステーションワゴンは180台ほどが流通。ディーゼルエンジン搭載モデルは60台程度と、ガソリンモデルとの割合はセダンとほぼ同程度となる。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ Eクラス(先代)× 全国▼検索条件
メルセデス・ベンツ Eクラスワゴン(先代)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●E350 e スポーツ エディション スター
| 型式 | 5LA-214054C | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.96m×1.88m×1.49m |
| ドア数 | 4 | ホイールベース | 2.96m |
| ミッション | 9AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.61m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 2170kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | 0.16m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ポーラーホワイト、ヴェルデシルバー、オブシディアンブラック、ノーティックブルー、ベルベットブラウン、グラファイトグレー、ハイテックシルバー |
||
| オプション色 |
オパリスホワイト、アルペングレー、ヒヤシンスレッド |
||
| 掲載コメント |
※交流電力量消費率 WLTCモード 250Wh/km 市街地モードWLTC-L 282Wh/km 郊外モードWLTC-M 247Wh/km 高速道路モードWLTC-H 240Wh/km |
||
| 型式 | 5LA-214054C |
|---|---|
| 駆動方式 | FR |
| ドア数 | 4 |
| ミッション | 9AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ポーラーホワイト、ヴェルデシルバー、オブシディアンブラック、ノーティックブルー、ベルベットブラウン、グラファイトグレー、ハイテックシルバー |
| オプション色 | オパリスホワイト、アルペングレー、ヒヤシンスレッド |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
コラム |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.96m×1.88m×1.49m |
| ホイール ベース |
2.96m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.61m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2170kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.16m |
| 掲載用コメント | ※交流電力量消費率 WLTCモード 250Wh/km 市街地モードWLTC-L 282Wh/km 郊外モードWLTC-M 247Wh/km 高速道路モードWLTC-H 240Wh/km ※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 97km ※EV走行換算距離(等価EVレンジ) 112km ※一充電消費電力量(WLTCモード)22.89kWh/回 |
| エンジン型式 | 254M20 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 50リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1997cc | 燃費(WLTCモード) |
12.7km/L
└市街地:9.3km/L └郊外:12.9km/L └高速:14.9km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 204ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
320(32.6)/4000 |
| エンジン型式 | 254M20 |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1997cc |
| 最高出力 | 204ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
320(32.6)/4000 |
| 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 50リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 12.7km/L
└市街地:9.3km/L └郊外: 12.9km/L └高速: 14.9km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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