【試乗】新型 メルセデス・ベンツ G580 with EQテクノロジー|メルセデスBEVの真打ち登場! 乗り心地はGクラス史上最良!!
カテゴリー: メルセデス・ベンツの試乗レポート
2024/12/20
▲ラダーフレームを採用した本格クロカン「Gクラス」で初のBEVモデル。四輪それぞれを個別のモーターで駆動させる新機構の四輪独立式モーターを採用した。まずはG580 with EQ テクノロジー エディション1が販売されている超人気モデルのBEV版というだけではない進化
フルバッテリー駆動のモデルを日本で広めたいのであれば、人気モデルの電動化が最も手っ取り早い。常々そう思っていたので、GクラスのBEVはショーデビューを飾って以来、市販を心待ちにしていた。そして、ついに日本の道でも試すことのできる日がやってきたのだ。
G580 with EQテクノロジー(以下G580)。やや歯切れの悪い名前になってしまったのは残念だけれども、正真正銘の“電気ゲレンデ”だ。見た目にほとんど変わらないから、これがまるで売れなければ日本でしばらくBEVの、少なくともメルセデス・ベンツが大成功する可能性はかなり低くなると思う。都会派のユーザーにとってみれば、AMGだろうとディーゼルだろうとバッテリー駆動だろうと、さほど変わりはないはずなので……。
▲伝統的スタイリングはそのままながら、後端が持ち上がったボンネットフードやリアホイールアーチにエアカーテンを備えるなど専用デザインも取り入れられている果たしてその乗り味はどうだったか。まずは一般道で試してみる。“ガチャン”と盛大なドアロック音を鳴らしたきり、当然ながらシュルシュル無音で走り出した。わかっちゃいても驚かされる。ゲレンデと無音走行のアンマッチが面白い。
3トン以上という車重をまるで感じさせない走りにも感動した。加速がいいだけじゃない。そのライドコンフォートはもはやモダンな乗用メルセデスにかなり近づいていた。
Gクラスといえばラダーフレームのクロカン四駆らしい昔ながらのドライブフィールが特徴だった。個人的にはそれが嫌でならなかったけれど、ボディサイズを一回り大きくした現行型では、安定感も増してかなりモダンな乗り味になってはいた。それでも例えばモノコックボディをもつGLSクラスあたりと比べれば、背の高さとナローな車幅を感じずにはいられないドライブ感が残っていて、好きにはなれなかった。
G580ではそんな独特のフィールがかなり薄れた。ラダーフレームの間に挟まれた116kWhもの巨大バッテリーのおかげで重心高も下がっており、細身で腰高な印象が気にならないレベルにまで薄まっている。
加えて乗り心地のよさには特筆すべきものがあって、いい意味でゲレンデらしくない。乗り心地に関してはGクラス史上最良である。
▲丸型エアアウトレットやグリップハンドルなど、インテリアデザインは他のGクラス同様
▲内燃エンジンモデルでデフロック機能のスイッチに代わり、GターンやGステアリングの起動スイッチが備わる車重差500kgが気にならない完成度
G580には四輪それぞれに最高出力約147ps(108kW)、最大トルク291N・mという非常に高性能な交流同期モーターが備わっており、システム総合スペックはなんと587ps/1164N・mとメルセデスAMGのG63(585ps/850N・m)を上回っている。もちろん重量差が500kgもあるのでG63の方が総合性能では勝ってくるだろうが、高速での追い越し加速を筆頭に日常域に関する限りはG580でも十二分のダイナミックパフォーマンスを得ることができた。
高速クルージングも素晴らしく快適だ。その理由の一つには、エアロダイナミクスの工夫があるだろう。エクステリアを見てEQかそうでないかを見分けるポイントがそれで、例えばフロントボンネットは持ち上げられており、ルーフエンドには小さなスポイラーが追加され、リアフェンダーの前部にはエアロホールも開けられた。その他、見分けるポイントとしては、マフラーが見当たらないことはもちろん、丸いスペアタイヤケースの代わりに四角い充電ケーブルケースがリアに掲げられている点を挙げておく。
どんなに速くて、そしてどんなに快適に走ってくれたとしても、無音じゃツマラナイという人も多いだろう。例えばG63のV8ノートには確かに車運転好きを虜にする魔力があった。そこで、G580にも“Gロアー”と呼ばれる音の演出がある。気分を大いに盛り上げてはくれるのだが、個人的には一度試せばもうそれで十分で、やっぱりゲレンデらしくない静かな走りを楽しむ方が気持ち良いと思った。
▲吸排気系がないため、最大渡河深度は内燃機関モデルを150mm上回る850mmを実現しているオフロードでのパフォーマンスについて。四輪独立で制御する悪路性能はほとんどパーフェクトだと言っていい。簡単なスイッチ操作ひとつでぬかりみや斜面をものともせずに突き進んだ。愉快だったのはGステアリング。一輪だけロックさせることでウルトラクイックなターンを楽しむことができる。大きな巨体がほぼ直角に曲がる感覚は快感ですらあった。
最後に話題のGターンについて。これまた四輪独立モーターあってこそ、の機能で、なるほどその場で2回転(720度ターン)は面白い。けれども公道では使ってはいけないし、何より使えば愛車にも少なからずダメージは残る。タイヤも不安。オフロード走行や、スーパースポーツカーの時速400km/hと同じで、できるという事実がとても大事ということであろう。
▲ラダーフレームに組み込まれた116kWhのリチウムイオンバッテリー(一充電走行距離530km)は専用ケースやアンダーボディプロテクションでガードされる
▲スペアタイヤに代わり、充電ケーブルや工具などが収納できるデザインボックスが備わった
▲先行販売されるエディション1にはナッパレザーシートなどが標準装備されている
▲エディション1には内外装にブルーのアクセントを採用。インテリアトリムにもブルーアクセントを織り込んだ
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
内燃エンジンを搭載するメルセデス・ベンツ Gクラス(現行型)の中古車市場は?

1979年に登場した本格オフローダー初のモデルチェンジにより、2018年に登場した現行Gクラス。スタイリングやラダーフレームなどは踏襲しつつも、素材やボディなどから見直されている。最新運転支援システムなども採用された。2024年にはマイナーチェンジされ、対話型インフォテインメントシステムのMBUXなどを採用。G450dにはマイルドハイブリッドが導入されている。
2024年12月中旬時点で、中古車市場には560台程度が流通。支払総額の価格帯は1200万~2900万円となる。ハイパフォーマンスモデルのメルセデスAMG G63は340台程度が流通、支払総額の価格帯は1650万~4000万円。どちらも流通台数は多いものの、超人気モデルだけに新車時の車両本体価格を上回る価格の個体が多数を占めている。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ Gクラス(現行)× 全国▼検索条件
メルセデスAMG Gクラス(現行)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●G580 ウィズ EQ テクノロジー エディション1 4WD
| 型式 | ZAA-465600C | 最小回転半径 | 6.3m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.73m×1.99m×1.99m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.89m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.66m/1.66m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 3120kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.25m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
オブシディアンブラック、オパリスホワイト、クラシックグレー、サウスシーブルーマグノ(マット)、オパリスホワイトマグノ(マット) |
||
| オプション色 |
- |
||
| 掲載コメント |
※交流電力量消費率 WLTCモード 262Wh/km 市街地モードWLTC-L 223Wh/km 郊外モードWLTC-M 241Wh/km 高速道路モードWLTC-H 293Wh/km |
||
| 型式 | ZAA-465600C |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | オブシディアンブラック、オパリスホワイト、クラシックグレー、サウスシーブルーマグノ(マット)、オパリスホワイトマグノ(マット) |
| オプション色 | - |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 6.3m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.73m×1.99m×1.99m |
| ホイール ベース |
2.89m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.66m/1.66m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 3120kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.25m |
| 掲載用コメント | ※交流電力量消費率 WLTCモード 262Wh/km 市街地モードWLTC-L 223Wh/km 郊外モードWLTC-M 241Wh/km 高速道路モードWLTC-H 293Wh/km ※一充電走行距離 WLTCモード 530km |
| エンジン型式 | E0033 | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 587ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
1164(118.7)/- |
| エンジン型式 | E0033 |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 587ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
1164(118.7)/- |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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