【試乗】新型 メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4マチック コア|見た目も乗り味もエントリーグレードにあらず! “これが良い”と思わせてくれるベストモデルだ!
カテゴリー: メルセデス・ベンツの試乗レポート
2025/06/07

日本マーケットの人気装備のみを厳選した“真のお買い得グレード”
メルセデス・ベンツラインナップにおいて最も人気のあるモデルのひとつがミドルサイズのSUV、GLCクラスだ。日本におけるカテゴリー人気ナンバー1のモデルでもある。そんなGLCに“コア(CORE)”と呼ばれる新たなグレードが追加された。
一言で言うと“お買い得なエントリーモデル”だ。けれどもモデル価格帯をできるだけ安く見せるために設定した事実上オーダーできないような“名ばかりの廉価グレード”ではない。日本人の好みを精査し、カラーバリエーションや標準装備品、オプションパッケージなどを厳選して輸入することで、GLCの魅力や本質を損なうことなく提供するという“真のお買い得”モデルである。
材料費高騰と円安のWパンチでこのところ高くなる一方の輸入車価格だったが、本来、このような商品企画を積極的に打ち出すことがインポーターの役割である。生産側でない企業の努力にはもちろん限界もあるけれど、ユーザーサイドに立った戦略を忘れないことは日本法人の重要な仕事だ。
モデル概要を報告しておこう。GLCとGLCクーペの220 d 4マチックがベースだ。最も人気のあるグレードで、最高出力197ps、最大トルク440N・mを発するISG搭載の2L 直4ディーゼルターボ+9AT+4WDシステムは従来のまま。

どうやってお買い得仕様に仕立てたか。
まずは輸入するボディカラーを人気色に絞った。黒、白、銀の3色だ。インテリアも人工レザーのブラック1種類に。ただし、AMGラインパッケージという唯一のオプションパッケージを選べば雰囲気をかなり変えることができる。オーディオは9スピーカーから5スピーカーにグレードダウンされた。
これまでGLCシリーズに適用されてこなかったトリムやホイールデザインがAMGラインの魅力だ。この他、オプションとして選ぶことができるのはパノラミックスライディングルーフだけという潔さ。これまでの多くのユーザー嗜好を盛り込んだ選択というわけだろう。仕様を限定することで本国へ発注する台数もあらかじめコントロールしやすくなる。その分、生産側との価格折衝幅も広がって、よりお買い得な価格が実現した。

“エントリー”を意識させぬ、過不足ない堅実な走り
試乗会会場に用意された実物を見ても、廉価グレードだとは思えない。ごく普通に人気カラーの個体だと見る人の目には映るはず。特にAMGラインパッケージなら、20インチでGLC初採用となる20本のスポークデザインのアルミホイールを履く。顔立ちはスターパターングリルに変わって、スポーツシートが奢られ、メタルウィーブインテリアトリムもGLC初だから、こうなるともうお買い得グレードには全く見えない。


コアのAMGラインパッケージをテストした。第一印象は「幸せな家族がドライブを楽しんでいる様子が目に浮かぶ」というものだった。
その走りはとにかく堅実。動力性能に過不足なく、余計な演出も見受けられない。よくできたシャシーのおかげで軽快なドライブ感もあり、運転好きでも楽しめる。乗り心地も悪くなく、何より扱いやすいサイズ感がうれしい。要するに乗用車として、その昔のCクラスのように上等なのだ。
従来のCクラスに相当するイマドキの乗用車がGLCなのだから、メルセデスに言わせれば“そんな車作りは当然”ということだろう。けれども当たり前のことを当たり前にできないことも多くなった昨今、“良い車を買ったなぁ”と最初のひと転がりで思わせることがどれだけ難しいことか。そんなことを軽々とやってのけるメルセデスは、なんだかんだ言ってやっぱり“一味違う”。
試しにAMGラインパッケージ非装着のコアにも乗ってみた。なるほど内外装の見栄えはAMGラインパッケージに比べてよりシンプルで、あっさりとしているように見える。けれども安モノだという感じはまるでない。個人的にはむしろこれくらい抑えた方がスマートだと思う。
乗り味もさほど変わらない。むしろエンジンサウンドがおとなしく、さらに落ち着いた印象があった。何しろAMGラインパッケージを選ぶと一気に約76万円もプライスが上がってしまう。自分が買うならAMGラインパッケージ非装着か。いや、ホイールデザインは20本スポークの方が圧倒的にかっこいい。そのあたりがちょっと悩ましい。
ちなみにクーペは見た目の印象どおり、走りがより軽快になる。アシのセットが変わり、重心高も下がるから。スポーティな見た目と走りがお望みであればクーペをぜひ。
見た目も乗り味もお買い得グレードであることをドライバーに意識させることが全くなかった。むしろ“これが良い”と思わせる。車を作らない側の商品企画がいかに重要であるかを教えてくれた1台でもあった。




自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
メルセデス・ベンツ GLC(現行)の中古車市場は?

日本でも人気のミドルサイズのベストセラーSUV。キープコンセプトでまとめられた2代目となる現行型は2023年に登場、Sクラスと同様の先進運転支援システムなどを備える。2Lディーゼルターボエンジンを搭載するマイルドハイブリッドモデルのGLC 200 dと2Lターボを積むプラグインハイブリッドモデルのGLC 350 eをラインナップしている。
2025年5月中旬時点で、中古車市場には100台程度流通、支払総額の価格帯は700万~1150万円となる。GLC 350 eも40台程度が流通している。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ GLC(現行)【試乗車 諸元・スペック表】
●220 d 4マチック コア (ISG) AMGラインパッケージ ディーゼルターボ 4WD
型式 | 3CA-254605C | 最小回転半径 | 5.5m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.73m×1.89m×1.64m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.89m |
ミッション | 9AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.64m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1970kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | 0.18m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ポーラーホワイト |
||
オプション色 |
オブシディアンブラック、ハイテックシルバー |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3CA-254605C |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 9AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ポーラーホワイト |
オプション色 | オブシディアンブラック、ハイテックシルバー |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
コラム |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.5m |
全長×全幅× 全高 |
4.73m×1.89m×1.64m |
ホイール ベース |
2.89m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.64m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1970kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.18m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | 654M | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | 軽油 |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 62リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 19.1km/L |
総排気量 | 1992cc | 燃費(WLTCモード) |
18.1km/L
└市街地:14.3km/L └郊外:18.5km/L └高速:20.1km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 197ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
440(44.9)/2800 |
エンジン型式 | 654M |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1992cc |
最高出力 | 197ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
440(44.9)/2800 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | 軽油 |
燃料タンク容量 | 62リットル |
燃費(JC08モード) | 19.1km/L |
燃費(WLTCモード) | 18.1km/L
└市街地:14.3km/L └郊外: 18.5km/L └高速: 20.1km/L |
燃費基準達成 | - |
【関連リンク】
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GLC 220 d 4マチック (ISG搭載モデル) AMGラインパッケージ ディーゼルターボ4WD MP202501 ドライバーズパッケージ
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支払総額881.1万円
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