メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲マイルドハイブリッドのGLC 220 dをベースに、人気装備のみに厳選することで価格を抑えたエントリーグレード。パワートレインはベースモデル同様となる

日本マーケットの人気装備のみを厳選した“真のお買い得グレード”

メルセデス・ベンツラインナップにおいて最も人気のあるモデルのひとつがミドルサイズのSUV、GLCクラスだ。日本におけるカテゴリー人気ナンバー1のモデルでもある。そんなGLCに“コア(CORE)”と呼ばれる新たなグレードが追加された。

一言で言うと“お買い得なエントリーモデル”だ。けれどもモデル価格帯をできるだけ安く見せるために設定した事実上オーダーできないような“名ばかりの廉価グレード”ではない。日本人の好みを精査し、カラーバリエーションや標準装備品、オプションパッケージなどを厳選して輸入することで、GLCの魅力や本質を損なうことなく提供するという“真のお買い得”モデルである。

材料費高騰と円安のWパンチでこのところ高くなる一方の輸入車価格だったが、本来、このような商品企画を積極的に打ち出すことがインポーターの役割である。生産側でない企業の努力にはもちろん限界もあるけれど、ユーザーサイドに立った戦略を忘れないことは日本法人の重要な仕事だ。

モデル概要を報告しておこう。GLCとGLCクーペの220 d 4マチックがベースだ。最も人気のあるグレードで、最高出力197ps、最大トルク440N・mを発するISG搭載の2L 直4ディーゼルターボ+9AT+4WDシステムは従来のまま。
 

メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲ボディカラーは定番の人気色である、ポーラーホワイト、オブシディアンブラック、ハイテックシルバーの3色のみとなる

どうやってお買い得仕様に仕立てたか。

まずは輸入するボディカラーを人気色に絞った。黒、白、銀の3色だ。インテリアも人工レザーのブラック1種類に。ただし、AMGラインパッケージという唯一のオプションパッケージを選べば雰囲気をかなり変えることができる。オーディオは9スピーカーから5スピーカーにグレードダウンされた。

これまでGLCシリーズに適用されてこなかったトリムやホイールデザインがAMGラインの魅力だ。この他、オプションとして選ぶことができるのはパノラミックスライディングルーフだけという潔さ。これまでの多くのユーザー嗜好を盛り込んだ選択というわけだろう。仕様を限定することで本国へ発注する台数もあらかじめコントロールしやすくなる。その分、生産側との価格折衝幅も広がって、よりお買い得な価格が実現した。
 

メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲AMGラインパッケージにはメタルウィーブインテリアトリムが採用されている

“エントリー”を意識させぬ、過不足ない堅実な走り

試乗会会場に用意された実物を見ても、廉価グレードだとは思えない。ごく普通に人気カラーの個体だと見る人の目には映るはず。特にAMGラインパッケージなら、20インチでGLC初採用となる20本のスポークデザインのアルミホイールを履く。顔立ちはスターパターングリルに変わって、スポーツシートが奢られ、メタルウィーブインテリアトリムもGLC初だから、こうなるともうお買い得グレードには全く見えない。
 

メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲安全運転支援システム(レーダーセーフティパッケージ)やオフロードモードを備えた走行モード(ダイナミックセレクト)、MBUXなどもベースモデル同様
メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲AMGラインパッケージにはマルチスポークタイプの20インチアルミホイールを装着する

コアのAMGラインパッケージをテストした。第一印象は「幸せな家族がドライブを楽しんでいる様子が目に浮かぶ」というものだった。

その走りはとにかく堅実。動力性能に過不足なく、余計な演出も見受けられない。よくできたシャシーのおかげで軽快なドライブ感もあり、運転好きでも楽しめる。乗り心地も悪くなく、何より扱いやすいサイズ感がうれしい。要するに乗用車として、その昔のCクラスのように上等なのだ。

従来のCクラスに相当するイマドキの乗用車がGLCなのだから、メルセデスに言わせれば“そんな車作りは当然”ということだろう。けれども当たり前のことを当たり前にできないことも多くなった昨今、“良い車を買ったなぁ”と最初のひと転がりで思わせることがどれだけ難しいことか。そんなことを軽々とやってのけるメルセデスは、なんだかんだ言ってやっぱり“一味違う”。

試しにAMGラインパッケージ非装着のコアにも乗ってみた。なるほど内外装の見栄えはAMGラインパッケージに比べてよりシンプルで、あっさりとしているように見える。けれども安モノだという感じはまるでない。個人的にはむしろこれくらい抑えた方がスマートだと思う。

乗り味もさほど変わらない。むしろエンジンサウンドがおとなしく、さらに落ち着いた印象があった。何しろAMGラインパッケージを選ぶと一気に約76万円もプライスが上がってしまう。自分が買うならAMGラインパッケージ非装着か。いや、ホイールデザインは20本スポークの方が圧倒的にかっこいい。そのあたりがちょっと悩ましい。

ちなみにクーペは見た目の印象どおり、走りがより軽快になる。アシのセットが変わり、重心高も下がるから。スポーティな見た目と走りがお望みであればクーペをぜひ。

見た目も乗り味もお買い得グレードであることをドライバーに意識させることが全くなかった。むしろ“これが良い”と思わせる。車を作らない側の商品企画がいかに重要であるかを教えてくれた1台でもあった。
 

メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲AMGラインパッケージにはスターパターングリルと開口部の大きなフロントバンパーが備わる
メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲AMGラインパッケージはフロントにスポーツシートを備える
メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4MATIC コア▲エンジン単体で最高出力197ps/最大トルク440N・mを発揮する2Lディーゼルターボエンジンを搭載

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メルセデス・ベンツ GLC 220 d 4マチック コア
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文/西川淳 写真/井上誠

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

メルセデス・ベンツ GLC(現行)の中古車市場は?

メルセデス・ベンツ GLC

日本でも人気のミドルサイズのベストセラーSUV。キープコンセプトでまとめられた2代目となる現行型は2023年に登場、Sクラスと同様の先進運転支援システムなどを備える。2Lディーゼルターボエンジンを搭載するマイルドハイブリッドモデルのGLC 200 dと2Lターボを積むプラグインハイブリッドモデルのGLC 350 eをラインナップしている。

2025年5月中旬時点で、中古車市場には100台程度流通、支払総額の価格帯は700万~1150万円となる。GLC 350 eも40台程度が流通している。
 

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メルセデス・ベンツ GLC(現行)
文/編集部、写真/メルセデス・ベンツ日本

【試乗車 諸元・スペック表】
●220 d 4マチック コア (ISG) AMGラインパッケージ ディーゼルターボ 4WD

型式 3CA-254605C 最小回転半径 5.5m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.73m×1.89m×1.64m
ドア数 5 ホイールベース 2.89m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.63m/1.64m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1970kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.18m
マニュアルモード
標準色

ポーラーホワイト

オプション色

オブシディアンブラック、ハイテックシルバー

掲載コメント

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型式 3CA-254605C
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ポーラーホワイト
オプション色 オブシディアンブラック、ハイテックシルバー
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.5m
全長×全幅×
全高
4.73m×1.89m×1.64m
ホイール
ベース
2.89m
前トレッド/
後トレッド
1.63m/1.64m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1970kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.18m
掲載用コメント -
エンジン型式 654M 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 62リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 19.1km/L
総排気量 1992cc 燃費(WLTCモード) 18.1km/L
└市街地:14.3km/L
└郊外:18.5km/L
└高速:20.1km/L
燃費基準達成 -
最高出力 197ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
エンジン型式 654M
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1992cc
最高出力 197ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
440(44.9)/2800
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 62リットル
燃費(JC08モード) 19.1km/L
燃費(WLTCモード) 18.1km/L
└市街地:14.3km/L
└郊外: 18.5km/L
└高速: 20.1km/L
燃費基準達成 -