【試乗】新型 BMW 5シリーズ|電動化してもBMWらしさは健在! シリーズ初のBEVは高速で抜群のスタビリティを発揮!
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2024/02/07
▲新型5シリーズは全モデルを電動化しシリーズ初のBEV「i5」をラインナップする。内燃機関モデルはマイルドハイブリッドのみとしている。写真は最上級グレードとなるMパフォーマンスモデルのi5 M60 xDriveBEVとマイルドハイブリッドで全モデル電動化
BMWのミドルクラスセダン、5シリーズが約7年ぶりに8世代目へとフルモデルチェンジした。
5シリーズは、1972年に初代がデビューして以来、「ノイエ・クラッセ」(英語でニュー・クラス)のコンセプトのもと、その時代における現代的なデザイン、革新的な技術、パワフルなエンジン、快適な乗り心地とダイナミックな運動性能の実現を目指したモデルだ。またエクステリアデザインにおいては、ダブル・キドニー・グリルやCピラーを斜めに跳ね上げたようにデザインされた「ホフマイスター・キンク」をはじめとするトレードマークを長年にわたって受け継いでいる。ちなみに、1文字目の数字がシリーズを示し、2桁目の数字がエンジンの性能を示すネーミングルールが初めて適用されたのも5シリーズ。以降、1975年に3シリーズ、1976年に6シリーズ、1977年に7シリーズがこのルールにのっとってネーミングされるようになった。
8世代目となる新型の最大のトピックは、5シリーズに初のBEVが導入されたことだ。同時にガソリンとディーゼルの内燃エンジン搭載車もラインナップするが、これらには5シリーズ初の48Vマイルドハイブリッドシステムの採用で電動化を図っている。
最大のライバルであるメルセデス・ベンツが、内燃エンジン車の「Eクラス」とBEV専用のプラットフォームを採用する「EQE」といった別のシリーズを展開するのに対して、BMWは、共通のプラットフォームでBEVと内燃エンジン車を作り分け、そしてBEVをシリーズのフラッグシップに据える戦略をとっている。
日本に導入されるモデルは、最上級グレードの「i5 M60 xDrive」と「i5 eDrive40」という2種類のBEVに加えて、ガソリンの「523i」とディーゼルの「523d」となっている。
ボディサイズは、全長5060mm、全幅1900mm、全高1515mm、ホイールベース2995mmと、床下にバッテリーを収納する必要もあり先代よりもサイズアップしている。エクステリアデザインはキドニー・グリルを垂直方向に拡大し、ツインヘッドライトを現代的に解釈した最近のBMWのトレンドを取り入れたもの。Cピラーのホフマイスター・キンクには、数字の5をエンボス加工したパネルを取り入れている。
インテリアデザインは、現行型7シリーズ譲りのもの。メーター表示を行う12.3インチとコントロール系統を集約した14.9インチの2つを組み合わせた、ドライバーに向かって傾斜するカーブド・ディスプレイを採用する。ステアリングの形状はフラットボトムタイプになった。先代モデルに比べてスイッチ類は大幅に削減されているものの、使い勝手にも配慮し、フローティング式のセンターコンソールにはスタート・ストップボタンをはじめ小さなシフトノブ、そしてインフォテインメントシステムを操作する大型のダイヤルが配置されている。パネル中央からドアトリムにかけては、立体的なクリスタル面をもったBMWインタラクションバーが配されており、走行モードに応じてアンビエントライトの色が変化するといったギミックが用意されている。
▲i5 M60 xDriveのエクステリアは、カーボンリアスポイラーをはじめとしたM専用パーツでスポーティに仕立てられている
▲カーブド・ディスプレイの採用により、スイッチ類が少なくすっきりしたインテリア。i5 M60 xDriveのステアリング左側にはブースト機能のパドルが備わるまず、最上級グレードの「i5 M60 xDrive」に試乗した。パワートレインは、前輪に最高出力261ps(192kW)を発揮する電気モーターを、後輪に最高出力340ps(250kW)を発揮する電気モーターを組み合わせた四輪駆動のMパフォーマンスモデルだ。システムトータルでの最高出力は601ps(442kW)、最大トルクは795N・m。駆動用リチウムイオンバッテリーの総容量は83.9kWhで一充電あたりの走行可能距離は455km(WLTCモード)となっている。
およそ600ps/800N・mというスーパーカー並みのパワーを誇るものの、そこはBMWらしく急加速するような過激な演出はされていない。ゆっくりとアクセルペダルを踏み込めばそれに呼応するようにジェントルに走る。もしお望みとあらば、ステアリングに備わるMスポーツ・ブースト機能を使って、0→100km/h加速3.8秒という猛烈な加速も味わえる。
サスペンション形式は、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがエアサスペンション。マイルドハイブリッドモデルはリアがマルチリンクとなる。
Mパフォーマンスモデルだけあって、荒れた路面などシーンによっては硬いと感じるスポーティな仕立てとなっていた。本領を発揮するのは高速道路で、重量バランスや駆動制御のよさを存分に生かし抜群のスタビリティを発揮する。速度域があがるほどに安定感が増していくようだ。
▲ガソリンエンジンを搭載する523i。ベーシックなExclusive(写真)とスポーティなMスポーツをラインナップ
▲2L 直4ターボエンジンはターボシステムやバルブ制御を高精度化、48Vマイルドハイブリッドシステムとの組み合わせで、低燃費かつダイナミックな走りを実現しているもう1台、ガソリン仕様の523iにも乗った。最高出力190ps(140kW)、最大トルク310N・mを発揮する新世代のモジュール式2L 4気筒ターボエンジンは、48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたもの。i5から乗り替えて感じるのは、その軽さだ。車両重量はi5 M60 xDriveが2360kgに対して523iは1760kg。実に600kgもの差があるため、まったく違う車に乗っている印象をうける。4気筒エンジンで200ps以下と聞くと、物足りなく感じてしまうかもしれないが、実際にはそんなことはない。BMWらしい乗り味は健在で、また一定の条件下でステアリングから手を離しての走行が可能な「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」や、最先端の運転支援システム「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」を標準装備しており、燃費も14.4km/L(WLTCモード)とグランドツアラーとしても優秀だ。
車両価格は、i5 M60 xDriveが1548万円で523i Exclusiveが798万円。お値段は約2倍でパワーは3倍。見た目は同じ5シリーズながら中身はまったくの別物といえる。それにしてもBMWジャパンは、ライバルに比べて安価な、なかなか戦略的な値付けをしているようだ。ぜひ比較検討してみることをオススメする。
▲光ファイバーを用いてキドニー・グリルをライトアップするBMW アイコニック・グローが備わる
▲i5 M60 xDrive はアルカンターラ/ヴェガンザ・コンビネーションのスポーツシートを装着
▲ボディサイズの拡大などにより後席も快適
▲i5 M60 xDriveのラゲージ容量は523iより30L少ない490Lとなる
▲サイドスカートなど下まわりにブラック系統のパーツを用いることでスポーティさを演出する。写真は523i▼検索条件
BMW i5× 全国ライバルとなるメルセデス・ベンツ EQEの中古車市場は?

電気自動車専用プラットフォームを用い、独特のスタイリングに仕立てられた従来のEクラスに相当するBEV。日本では2022年9月に発表されたモデル。後輪駆動のベーシックモデルで航続可能距離は624km(WLTCモード)となる。
2024年1月中旬時点で、中古車市場には45台ほどが流通。ほとんどの物件がAMGラインパッケージとなる。価格帯は720万~1000万円。年式が新しく走行距離が短い物件が多いので、今ならボディカラーや装備などの好みで選んでも良いだろう。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ EQE × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●M60 xドライブ 4WD
| 型式 | ZAA-42FK89 | 最小回転半径 | 5.8m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5.06m×1.9m×1.51m |
| ドア数 | 4 | ホイールベース | 3m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.63m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 2360kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2635kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.14m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイト、Mカーボン・ブラックメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ミネラル・ホワイトメタリック、ファイトニック・ブルーメタリック、オキサイド・グレーメタリック、Mブルックリン・グレーメタリック、ケープ・ヨーク・グリーンメタリック |
||
| オプション色 |
タンザナイト・ブルーメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック、フローズン・ディープ・グレーメタリック |
||
| 掲載コメント |
※交流電力量消費率 WLTCモード 205Wh/km 市街地モードWLTC-L 215Wh/km 郊外モードWLTC-M 202Wh/km 高速道路モードWLTC-H 204Wh/km |
||
| 型式 | ZAA-42FK89 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 4 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | アルピン・ホワイト、Mカーボン・ブラックメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ミネラル・ホワイトメタリック、ファイトニック・ブルーメタリック、オキサイド・グレーメタリック、Mブルックリン・グレーメタリック、ケープ・ヨーク・グリーンメタリック |
| オプション色 | タンザナイト・ブルーメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック、フローズン・ディープ・グレーメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.8m |
| 全長×全幅× 全高 |
5.06m×1.9m×1.51m |
| ホイール ベース |
3m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.63m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2360kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2635kg |
| 最低地上高 | 0.14m |
| 掲載用コメント | ※交流電力量消費率 WLTCモード 205Wh/km 市街地モードWLTC-L 215Wh/km 郊外モードWLTC-M 202Wh/km 高速道路モードWLTC-H 204Wh/km ※一充電走行距離(WLTCモード)455km |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 601ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
795(81.1)/- |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 601ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
795(81.1)/- |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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