【試乗】新型 ポルシェ 911 カレラT|MTで楽しみたい、911の魅力をピュアに体現する「T」!
カテゴリー: ポルシェの試乗レポート
2023/12/04
▲カレラとカレラSの中間に位置するライトウェイトスポーツモデル。ベーシックなカレラ同様の適度なパフォーマンスに軽量化やスポーティな装備を組み合わせることで、ピュアな走りが楽しめるモデルとなっているぜい肉をそぎ落としたスポーティなセットアップ
現行型のポルシェ 911(992型)に、新グレードのカレラTが追加された。「T」は“ツーリング”を意味するもので、1968年に当時のツーリングカーレースへの参戦を念頭に、内装などを簡略化したレーシングカーのベース車ともいえるグレードとして初代911に設定されたことに端を発する。
そのコンセプトをいまに受け継ぎ、現代的な解釈を加え「ぜい肉をそぎ落とした、特にスポーティなセットアップ」な仕様として、先代(991型)のときに「T」が復活する。多くのポルシェファンは、その軽快な走りの楽しさを増加させるコンセプトを歓迎し、718ケイマンT、718ボクスターT、マカンTなど、「T」はいまやポルシェの人気グレードのひとつとなっている。
新型911 カレラTでは、遮音材とリアシートを省き(オプションで4座仕様も選択可)、軽量ガラスや軽量バッテリーを採用したことでダイエットに成功。MT(マニュアルトランスミッション)とPDKを選択できるが、MT仕様の車両重量は1470kg(DIN)で、標準のカレラ(PDK仕様)よりも35kg軽い。カレラTのPDK仕様ではMT仕様に比べて+35kgとなるため標準車と同じ重量となる。付け加えるなら、MT仕様であれば筆者の所有する911 カレラ(997型 PDK仕様)より20kgも軽いのだから、現代の車としては相当に軽いと言えるだろう。
▲エクステリアのアクセントとしてトリムなどにグレーを用いることで、他グレードとの差別化が図られている
▲ボディカラーはソリッドとメタリックが各4色、パイソングリーン(写真)を含む5色のスペシャルカラーが用意される。110種類以上の色調を揃えたカラーオプション「ペイントトゥサンプル」も利用可能エクステリアでの標準車との違いは、ロゴやデカールなどを除けば、ドアミラーカバーやリアリッドグリルのトリムストリップなどにダークグレーの配色を採用。フロントガラスも、最上部をグレーに着色。スポーツエグゾーストシステムのテールパイプは、ハイグロスブラックで塗装されている。
エンジンは、カレラと同じ3L 水平対向ツインターボで、最高出力385ps、最大トルク450N・mを発生。7速MTまたは8速PDKを組み合わせる。リミテッドスリップリアディファレンシャルを備えたポルシェトルクベクトリング(PTV)、スポーツクロノパッケージとPASMスポーツサスペンションも標準装備し、車高は標準より10mm低い。通常はカレラS以上のモデルにしか装備されないリアアクスルステアリングもオプションで装着可能となっている。
911 カレラTの専用装備として、フロントは20インチ、リアは21インチのチタニウムグレー カレラSホイールに、フロント245/35、リア305/30サイズのタイヤ(ピレリ Pゼロ)を装着。GTスポーツステアリングホイール、スポーツエグゾーストシステム、スポーツシートプラスが標準装備となっている。
▲インテリアのデザインはカレラなどと同様。マットブラックとハイグロスブラックの装飾が施される
▲シフトストロークが短くスポーティな7速MTを搭載試乗車は色鮮やかなパイソングリーンのMT仕様だった。991型の前期モデルでは違和感のあった7速MTも、代を重ねるごとに洗練度が増しており、街乗りなどでも頻繁に使う2~5速のあたりはさすがポルシェというべき節度感、操作フィールを実現している。7速はクルージングギアとして高速道路を100km/h+αでゆったりと流す際に使うのがいいだろう。
足回りも標準車に比べて車高が10mm低く、タイヤサイズが1インチアップされているものの、ものすごく硬いという印象はない。カレラの延長線上にあり、適度に引き締められていて街乗りも快適にこなせる。
もし、このモデルを購入するなら個人的には間違いなくMTを選ぶ。しかし、純粋にサーキットなどでの速さを求めるなら、MTはやめた方がいい。実際にポルシェが発表しているスペックを見ても、0→100km/h加速はMTが4.5秒なのに対してPDKは4秒。0→200km/h加速は、MTが15.1秒に対して、PDKは14.2秒と1秒近くもの差がある。これでは、ラップタイムの比較ではまったく勝負にならないだろう。
今時のハイパワーカーは軒並500psオーバーとなり、それを支えるために4WD化するのが常識となった。例えば、911シリーズでもカレラ4 GTSなどの車両重量は1620kgにもなる。カレラT(MT仕様)比で150kg増だ。
そうした中でカレラTは、1470kgという軽量なボディに385psの適度なパワー(といっても十分に速い)を組み合わせ、自らの手足と3ペダルをシンクロさせてキコキコとギアチェンジすることを楽しむ、速さというよりもそういった感覚的なものや一連の所作を楽しむ車なのだと思う。
911は今年、生誕60周年を迎えた。変わらぬスタイリングと適度なボディサイズ、水平対向エンジンをリアに配置することによる気持ちよさや運転の楽しさとデイリーユースに使える快適性をバランスさせている。それが初代からずっと変わらないのが911の美点だ。カレラTは、いまそれを最もピュアに体現しているモデルといえるかもしれない。
▲カレラと同じ最高出力385ps/最大トルク450N・mの3L水平対向ツインターボエンジンを搭載
▲フロント20インチ/リアは21インチのチタニウムグレーのカレラSホイールを装着
▲4-wayスポーツシートプラスを標準装備。フルバケットシートがオプションで用意される
▲軽量化のためリアシートはレス仕様に。オプションで後席を取り付けることも可能▼検索条件
ポルシェ 911 カレラT× 全国ポルシェ 911(992型)の中古車市場は?

初代登場から60年を迎えた、ポルシェを代表するRRのスポーツカー。近年は走行性能だけでなく快適性も向上しており、ボディサイズの拡大と相まってGTカーとしての優れた資質を見せる。8世代目となる現行の992型は2019年に登場している。ベーシックモデルからレーシングモデルまでバリエーションは豊富だ。なお、現行モデルでMT仕様が選べるのは、カレラTに加え、カレラGTS、GT3/GT3 ツーリングパッケージ、S/T(1963台限定)のみとなる。
2023年11月下旬時点で、中古車市場には190台程度が流通。価格帯は1300万~5000万円ほどと、今現在はどのグレードでも新車時とそれほど変わらない相場を維持している。MT仕様の場合、カレラT以外だとハイパフォーマンスモデルのみで、GTSやGT3で10台程度が流通しているだけなのでかなりの希少仕様の物件と言えるだろう。
▼検索条件
ポルシェ 911(992型)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●カレラT
| 型式 | 7BA-992NC1 | 最小回転半径 | 5.2m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | RR | 全長×全幅×全高 | 4.53m×1.85m×1.29m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.45m |
| ミッション | 7MT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.56m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | △ | 車両重量 | 1480kg |
| シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ブラック、ホワイト、レーシングイエロー、ガーズレッド |
||
| オプション色 |
ジェットブラックメタリック、ゲンチアンブルーメタリック、アゲートグレーメタリック、GTシルバーメタリック、アベンチュリングリーンメタリック、カーマインレッド、クレヨン、シャークブルー、アイスグレーメタリック、アークティックグレーメタリック、ルビースターネオ |
||
| 掲載コメント |
※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
||
| 型式 | 7BA-992NC1 |
|---|---|
| 駆動方式 | RR |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | 7MT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | △ |
| 標準色 | ブラック、ホワイト、レーシングイエロー、ガーズレッド |
| オプション色 | ジェットブラックメタリック、ゲンチアンブルーメタリック、アゲートグレーメタリック、GTシルバーメタリック、アベンチュリングリーンメタリック、カーマインレッド、クレヨン、シャークブルー、アイスグレーメタリック、アークティックグレーメタリック、ルビースターネオ |
| シート列数 | 1 |
| 乗車定員 | 2名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.2m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.53m×1.85m×1.29m |
| ホイール ベース |
2.45m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.59m/1.56m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1480kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | ※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 水平対向6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 64リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 2981cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 385ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/5000 |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | 水平対向6気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 2981cc |
| 最高出力 | 385ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/5000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 64リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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