【試乗】新型 ボルボ V60クロスカントリー|本場スウェーデン氷上ドライブ。デザインも走りも安全性も一切無駄がない!
カテゴリー: ボルボの試乗レポート
タグ: ボルボ / V60 / EDGEが効いている / 編集部 中兼雅之
2019/02/27

本場スウェーデンだからこそ実感した、ボルボの実力
『ルーレオ(Lulea)』、ボルボのお膝元であるスウェーデン、首都ストックホルムから飛行機で1時間程北上したボスニア湾沿いの場所に、その街はあった。フィンランド国境にも近く、運が良ければオーロラを見られるくらい北極圏に程近い場所なのである。
沖合の大小800個程の島を含み、中世の時代から重要な港町であったらしいが、現在でも鉄鉱石を輸送する重要な港があり、主要産業である鉄鋼業が8万人程の人口を支えている。
冬季は海が凍るため、沖合の島との行き来は氷上を自動車で移動することができる。氷が厚く、砕氷船が待機している程だ。
人気の観光スポットである『ガンメルスタードの教会街』はユネスコ世界遺産にもなっている。
成田からデンマークのコペンハーゲン、スウェーデンのストックホルムと、二度の乗り継ぎを経なければたどり着けない。今回、5日間の行程でもさほど余裕はなかった。
日本との時差は8時間、この季節は15時あたりから朝8時までは薄暗いままだ。海上が凍るほどだから、最低気温もマイナス20~30度あたりと、寒いというより痛いという感覚に近い。
ほぼアイスバーンの道での実力はいかに?



世界各国から自動車関連メディアが集結し、我々日本勢はイタリアチームらと行動をともにした。
現地に到着し試乗プログラムが始まる頃には辺りはすでに暗く、よくわらないまま新型V60クロスカントリーに乗り込み、ナビに従って一般公道に出た。
ほとんどの路面はアイスバーン化しているが、現地の方は慣れているのか結構飛ばしている。
北海道育ちの私は、雪道での運転には慣れていたはず。だが、初めての国で初めての車、辺りは完全に暗く激しい雪。
そのせいで視界は数メートル先がやっと見えるという、極めて悪い状況であることも重なって、出だしは相当に慎重にならざるを得なかった。

ところがしばらく運転しているうちに、こんな過酷な環境でも安心してコントロールできていることに気づく。
極めて自然に応答する操縦性が、初めての場所での運転の不安を払拭してくれたからだ。ストロークの長さが功を奏しているのか、何より乗り心地の良さにも大変驚かされたのである。
そして一般公道から一転、海の上であるはずの場所は厚い氷に覆われているわけだが、かなり広範囲に整地された特設コースが用意されており、思いっきりアクセルオンしながらコーナーを抜けていくことができた。

カウンターを当てながらの限界走行でも、ESC(電子制御の横滑り防止装置)の恩恵でスピンすることはなく、極めて安定していたのには意外だった。
そして仮にESCをオフにしたとしても、それなりにリニアに自然な応答をしてくれる。アクセル、ブレーキ、ハンドルのバランスさえ保っていれば、むしろ限界点がわかりやすくスピンを回避しやすい。(イタリア勢は調子に乗った挙句、スピンアウトして雪に突っ込んでいたけれど……笑)
新型の『V60 Cross Country』は、2LのT5ガソリンエンジンを搭載したクロスオーバーAWDだ。
ちょうど良いサイズのステーションワゴンで、車高がちょっと高め、という絶妙な位置付けは、実用性がかなり高い。
正直、欲しいと思った。今回試乗できなかったディーゼルモデルにも大いに期待したい。
ここ数年ほどで、世界中の数々の賞を総ナメにしてきたボルボ。日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーに2年連続で輝いたのは記憶に新しいと思うが、何より車自体に相当なポテンシャルがある証しだと思う。
SUVのXCシリーズもステーションワゴンのVシリーズも、基本的な走行性能はもちろん、スカンジナビアンデザインの秀逸さがさらに洗練されており、落ち着いたオトナが男女問わずに好みそう。一切の無駄がないのが好感がもてる。
そしてボルボといえば圧倒的な安全性能。決して過剰なスペックではなく、必要性から生まれた性能なのだとわかる。
世界中の自動車メーカーがお手本にするだけのことはあるなと、この国、この街に来て痛感した。さすが、ボルボである。





※カーセンサーEDGE誌 2/27発売号にも掲載されています
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