【海外試乗】新型 ボルボ EX30|サステナビリティに注力するコンパクトSUV! 加速はコンパクトらしからぬ上品さ
カテゴリー: ボルボの試乗レポート
タグ: ボルボ / クロスオーバーSUV / 2WD / EX30 / EDGEが効いている
2023/12/18
▲ボルボ史上最も小さなSUVスタイルのBEV。リサイクル/バイオ素材を最大限に活用した内外装や、メーター表示を含めたほとんどの機能をセンターディスプレイに集約したシンプルなインテリアを備えた、ボルボの電動化を加速させるモデルだコンパクトながら一充電走行距離は560km
元々、ボルボにはインテリアの質の高さ、北欧らしい実用的なデザインと堅実なクオリティ感はあったと思う。現行XC90以降のレザーやウッド、アルミニウムといった素材による控えめなのにゴージャスな雰囲気の内装を思い出してみてほしい。それに加え、カーボンフットプリント(オーナーの手元に渡って使用されている間だけでなく、原料や素材の仕入れから工場での生産、廃車後のリサイクルといったライフサイクル全般に渡る環境負荷の量)を極力減らすことをコンセプトに成立したBEVが、2023年11月に発売、2024年2月にデリバリーを開始する「ボルボ EX30」だ。
まずは内装の思い切りの良さに息をのむ。配線やハーネスの使用量を減らすため、操作スイッチ類や電装関連は、すべて車内の中央付近に集められている。縦型センターディスプレイはテスラが先んじたレイアウトとはいえ、EX30は素材もレイアウトももっと攻めている。ドアパネルにスピーカー配線を回り込ませずとも、いい音を楽しめるよう、複数のスピーカーユニットをひとつにまとめたハーマンカードンのサウンドバーをダッシュボードに装備。
また、インテリアの部材の約30%を再生素材とし、ダッシュボード下部やドアパネルといった視線や手指の触れる部分のトップレイヤーは、堂々とリサイクル素材を用いた。「ミスト」というトリムではフラックスという亜麻のファイバーが加飾パネルやドアに張られ、「ブリーズ」では窓枠サッシを砕いて再生したプラスチックで花こう岩のような雰囲気を再現している。あえて表面を美化するのでなく、再生を経たローマテリアルの素材感の率直さが、このインテリアのモダンさで、あらがいがたい強さをにじませていることは間違いない。
▲BEV専用モデルとして設計されており、コンパクトサイズながら長いロングホイールベースが特徴となるエクステリアについてもリサイクル素材を積極的に採用。製造に使用される全スチールの約17%、全アルミの約25%をリサイクルから調達しているという。VOLVOというロゴだけがクロームだが、これとて通常の手法でなく、環境インパクトの少ないプロセスで仕上げられているという。豪華さを強調するようなクロームモールの類は一切ないにも関わらず、凛とした佇まいはさすがで、ミニマルな面構成はインテリアに通じるところがある外観だ。顔つきは流行りのグリルレスだが、無表情のようでいて、一方でスリットや開口部による微妙な愛嬌も感じられる。「あざと可愛い」どころか、意志の強さが際立つ。
全長4235×全幅1835×全高1550mmという、コンパクトだが余裕のある外寸もいい。「シングルモーター」仕様の後輪駆動で、272ps/343N・mを発揮する駆動モーターは、意外にもXC40やC40らに積まれる自社開発のものではなかったが、ラゲージスペースや後席の足元が狭いことは一切ない。むしろ、平均的なCセグメントハッチバックの基準をわずかに上回る広さを感じさせる。
ダッシュボード中央に位置する12.3インチの縦長センタースクリーンには、サイドミラーの調整からお世話になる。車両設定に関するショートカットキーは最下段に並べられ、いずれも2~3レイヤーで呼び出せるが、慣れは必要。リアハッチゲートの開閉もハザードランプも、物理ボタンではなくスクリーンをタッチして操作する。おそらく、いざ運転をしはじめたらよく使うことになりそうなのは、ワンペダルドライブとコースティング重視のドライブモード切り替えだと思われる。
▲センターディスプレイに全機能を集約したため、物理スイッチはほとんどない。サウンドバーは5つのスピーカーをひとつのコンポーネントにまとめ、ダッシュボード上部に配置ステアリングコラム右側から突き出た、ギアセレクターを下げると、Dレンジに入ったことがセンタースクリーンの最上段に表示される。まずはバルセロナの街中を通常モードで、続いてワンペダルモードで走った。アクセルペダルの踏み込み量に対するトルクの立ち上がりが強すぎず、停止までアクセルだけでもっていける後者の方がずっとイージーだと感じた。たとえ渋滞してノロノロと進むような状況でも、数m分だけひと足し、そういうアクセルワークを受けつける扱いやすさだ。
トルクがあるのは当たり前なので、踏み出しの「加速の上品さ」が今どきのBEVの必須条件と思われるが、ゼロからの微妙な領域の磨かれ方、さらにバイパス道路ぐらいの速度域まで高周波数ノイズを抑えた静粛性はコンパクトカー離れしている。高速道路に入ると、さすがに120km/hあたりから風切り音がやや気になるが、フロアや足元からのノイズ、あるいはタイヤから伝わる微振動は巧みに抑えられている。このサイズ感でBEVらしいスムーズさと静けさ、しっとりとしてしなやかな乗り心地もちゃんと備わっているのだ。
ステアリングは、40km/hぐらいまではかなり応力が軽いと感じたが、ドライビング・ダイナミクスの設定で重くすることはできる。それでも人によっては軽いかもしれないが、操舵角は大きめでもゲインのつき方が自然でドライバーの操作に忠実、かつたっぷりめに反応してくれるボルボらしさは健在だ。1800kg超の車両重量とはいえ、2650mmという長すぎないホイールベースのおかげだろう、コンパクトらしい適度なキビキビ感すらあるハンドリングだ。試乗車は19インチホイールを装着していたが、日本仕様のシングルモーターは20インチになる予定。この試乗時とは乗り心地が多少異なるかもしれないが、ハンドリングや乗り味には好条件と予想する。
日本のWLTCモードで560kmとなる一充電走行距離は、上位セグメントのBEVに対抗できるどころか凌ぐ場面もあるだろう。バッテリーやインバーターの温度管理も最新鋭で、充電前にバッテリーを温め最適化するプリコンディショニングも行うなど、さすが寒い北欧ならではの機能も備わっている。補助金で実質500万円アンダーとなる車両価格(559万円)も含め、日本でどう受け入れられるか注目すべき1台となるだろう。
▲ボディカラーはクラウドブルー(写真)を含め、ナチュラルテイストな5色を用意
▲ヘッドライトのトールハンマーはBEVらしくピクセルを分割した“デジタル表現”が用いられている
▲スクエアデザインのステアリングには、スポーク部に各種機能を操作するスイッチが備わる
▲PVC製の窓枠など廃棄物を粉砕したリサイクル素材を用いた「ブリーズ」のダッシュボード
▲シート地は「ブリーズ」が再生プラスチックを含む3Dニット、「ミスト」がリサイクルポリエステルを含むウール混紡素材となるライバルとなるBMW iX1の中古車市場は?

2023年2月に登場した3代目となるコンパクトSUV「X1」に設定されたBEVモデル。前後に1基ずつのモーターを搭載する4WDモデルで、オンロードを重視した軽快な走りと、街中でも使い勝手の良いサイズが魅力だ。リチウムイオンバッテリーは、このクラスでは標準的な66.5kWhを搭載、一充電走行距離は465km(WLTCモード)となる。エレガントなxLineとスポーティなM Sportという、2つのデザインラインを用意する。
2023年12月上旬時点で、中古車市場には25台前後が流通中。価格帯は550万~620万円となる。xLineとM Sportの流通比率はほぼ同じ。2023年登場というまだ新しいモデルであることから全物件がまだ走行距離1万km未満と、今ならコンディションをあまり気にせずボディカラー(半数以上がホワイトだが)や装備などで選ぶことができる。
▼検索条件
BMW iX1× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●ウルトラ シングルモーター エクステンデッド レンジ
| 型式 | - | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | MR | 全長×全幅×全高 | 4.24m×1.84m×1.55m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.65m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | -m/-m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1790kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2065kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.18m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
クラウドブルー、オニキスブラックメタリック、モスイエロー、クリスタルホワイト、ヴェイパーグレーメタリック |
||
| オプション色 |
- |
||
| 掲載コメント |
※Googleアプリ/サービスは購入後4年間無償です |
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| 型式 | - |
|---|---|
| 駆動方式 | MR |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | クラウドブルー、オニキスブラックメタリック、モスイエロー、クリスタルホワイト、ヴェイパーグレーメタリック |
| オプション色 | - |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.24m×1.84m×1.55m |
| ホイール ベース |
2.65m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
-m/-m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1790kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2065kg |
| 最低地上高 | 0.18m |
| 掲載用コメント | ※Googleアプリ/サービスは購入後4年間無償です |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 272ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
343(35)/4500 |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 272ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
343(35)/4500 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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