【試乗】新型 ジープ ラングラー ルビコン│極限の状況下でも、まるで守護神をまとっているかのような安心感を得られる
2019/08/21
▲昨年11月にフルモデルチェンジしたジープ ラングラー。今回は新たに追加されたグレードの「ルビコン」に、自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が試乗した際の模様をレポートするこれこそまさに“本物”のオフローダーだ
新型ジープ ラングラーの販売状況を見ると、日本は世界的に見ても特別に好調だという。
すべてを刷新してハイテクを導入してはいるものの、歴史ある本物の性能にこだわっているということが、日本での人気が絶えない理由のひとつだろう。特にラングラーはそれを象徴するモデルといえる。
今回は、その中でもトップレンジにあたるグレード「ルビコン」に、専用のオフロードコースと公道にて試乗する機会を得たので報告したい。
ルビコンは、ジープブランドの中でも最もタフな走破性を目指したモデルだ。
30年以上前からリアルオフローダーに愛されている、BFグッドリッチ製のマッドテレーンタイヤ(通称:マッテレ)を標準装着する。
ぬかるんだ泥濘地でも大きな岩の転がるロックセクションでも、驚くほどのグリップ力を発揮し、溝への泥詰まりを抑制するセルフクリーニング性も高い。
▲こちらが装着されているマッドテレーンタイヤ。過酷なオフロードでの使用を想定して設計されているこれだけでも十分に本格的な装備だが、まだまだ序章にすぎない。
ルビコンが“本物”だという証しとして、ギア比まで変更してあることがあげられる。
ローレンジのギア比が2.717から4.000まで引き下げられており、これでもかというほど低速でのトルク特性を重視していることがわかる。
ここまでローギアード化されていると、アイドリングのクリープだけでもどんどん走破できる。
さらにファイナルギアも引き下げられてローギア化されており、とにかくオフロードでの性能ありきのスペックなのだ。
市販車のオフロードモデルとして、どれほど“本気”のモデルなのかということを性能が示している。
エンジンは、従来から採用している扱いやすい3.6L V6を搭載。オフロードモデルとして確実な性能を重要視するには、信頼性の高い従来のスペックを持ち越すのがよいのだ。
どんな場面でも不安を感じることはない
▲試乗したのは本格的なオフロードコース。ラングラー ルビコンの性能を知るにはぴったりだ車に乗り込みエンジンをスタートさせる。
静粛性はとても高く、堅固なフレームを採用しているのに振動も気にならない。
前後左右の車輪が浮いてしまうようなシーソー地形でも、ルビコンにとっては朝飯前のフラットワークにすぎない。
傾斜20度を超えるキャンバー走行でも不安は一切ない。
▲写真では少々わかりにくいが、実はこの状況、車内にいると恐怖を覚えるような角度なのだ。それでもラングラー ルビコンは、ものともせずに進んでいくそして何よりもタイヤの位置が把握しやすい。運転席のウインドウから顔を出しやすくし、容易に路面の状況を把握できるということが、ジープの何よりの設計要件のひとつである。
少々ぬかるんだヒルクライムでも、アクセルペダルに足をちょんと乗せていれば、あとはマッテレの威力と駆動・動力伝達系の性能高さをもって何事もなく上っていく。
大きく波打っているような場所で、左右のタイヤに高低差が出るようなシーンでも、トレッドが広いため車体が安定している。
▲窓枠の位置が低くなっているため、このように車の足元を直接確認しながら進むことができる車の性能だけに任せず、操ることを楽しむ
では、一般道や日常での使い勝手はどうだろうか。
ヒルディセントコントロールのような走破性を最大限に発揮する機能は使わないにしろ、とにかく視認性がよく、普通の車では見えにくいものも見やすい。
また、前後のオーバーハングが極端に短いため、車庫入れが容易だというのもポイントだ。
ラングラーはドアの長さが短いので、狭い場所でも乗り降りしにくいということは少ない。この大きさのモデルとしては非常に扱いやすい部類に入るだろう。
一般道で試乗すると、取り回しの良さに驚く。高速道路は、お世辞にも安定性が高いとは言えないが、ゆるく曖昧なステアリングフィールは、一昔前の車のように性能に任せるよりも操る楽しみを見つけることができる。
極限の性能をもたらすモデルに、オールラウンダー性は必要ない。
「これに乗っていればどんな場所でも遭難することはない!」というような、守護神をまとったような雰囲気が、人々を魅了させているのかもしれない。
極限状態でも、ゆっくりならば道を選ばない。ラングラー ルビコンに乗れば、一気にユーザーまでもがタフなイメージへと早変わりするだろう。


【試乗車 諸元・スペック表】
●アンリミテッド ルビコン 4WD
| 型式 | ABA-JL36L | 最小回転半径 | 6.2m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.87m×1.9m×1.85m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 3.01m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.6m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 2050kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | 2325kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.2m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブラッククリアコート、スティンググレークリアコート |
||
| オプション色 |
ブライトホワイトクリアコート、パンプキンメタリッククリアコート |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | ABA-JL36L |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブラッククリアコート、スティンググレークリアコート |
| オプション色 | ブライトホワイトクリアコート、パンプキンメタリッククリアコート |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 6.2m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.87m×1.9m×1.85m |
| ホイール ベース |
3.01m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.6m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2050kg |
| 最大積載量 | 2325kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.2m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | G | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | 81リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 9km/L |
| 総排気量 | 3604cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 284ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
347(35.4)/4100 |
| エンジン型式 | G |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 3604cc |
| 最高出力 | 284ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
347(35.4)/4100 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | レギュラー |
| 燃料タンク容量 | 81リットル |
| 燃費(JC08モード) | 9km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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