【試乗】新型 ヒョンデ アイオニック 5 N|BEVの走りは盛り上がらないとお嘆きのあなたに! ハイパフォーマンスバージョン「N」がついにBEVに登場
カテゴリー: ヒュンダイの試乗レポート
2024/05/19
▲日本には2022年に導入されたBEV「アイオニック 5」、そのハイパフォーマンスモデルが2024年の東京オートサロンで日本初公開、6月より販売を開始する。モーターのパワーアップに加え、様々な先進装備を備えているよく出来たシミュレーターかのような“理想的な動き”
ヒョンデが展開する「N」シリーズは、たとえて言うならばメルセデスのAMG、BMWのMのようなハイパフォーマンスラインである。その最新作であるアイオニック 5 Nは、なんとN初のBEV。日本にもついに6月にやってくる。
スペックは見ただけで心躍ってしまった。何しろ電気モーターはフロント238ps(175kW)、リア412ps(303kW)の合計最高出力650ps(478kW)/最大トルク770N・mという高出力を誇る。ホイールGセンサーや6軸ジャイロセンサーを使って車両姿勢を検知し、前後輪の駆動力を自在にコントロールできるとうたわれているが、詳細を見るとそれだけにはとどまらず、N-eシフト、NブレーキリジェンにNドリフトオプティマイザーと、何やら楽しそうな制御が山盛りに搭載されている。本国から駆けつけた開発メンバーの「アイオニック 5 NはハイパワーEVではなくハイパフォーマンスEVです」という言葉に、さらに期待が高まる。
▲一定時間、モーターとバッテリーのパフォーマンスを最大化させるブースト(NGB)を装備。通常のシステム最高出力609ps(448kW)/最大トルク740N・mを650ps(478kW)/770N・mへと向上させる実際、クローズドコースで試したその走りは想像以上の面白さだった。Nモードに入れてアクセルを踏み込むと、強烈な加速感にまるでエンジンのようなサウンドが加わり、刺激的かつリニアな加速感を得ることができる。サウンドは宇宙船のようなものも含めて3種類が選べるが、どれもトルク感やパワーの伸びと見事に連携されていて、取って付けた感はなく、心地よい。N e-シフトにより8速DCTのような疑似変速も行なうが、その瞬間にはシフトショックまで出るという凝り性だ。
一方、減速時は大口径ブレーキに加えて強力な回生を行なうNブレーキリジェンによって、最大0.6Gもの減速度が得られる。アクセルを戻すだけで瞬時に減速度が立ち上がるから、うまく生かせば瞬時に姿勢変化を誘発できる。
続くターンインでは、優れた駆動力制御のおかげで車体がインに鋭く切れ込んでいくが、挙動はそれでも素晴らしく安定している。この切れ味とスタビリティの両立ぶりは、やはりBEVだからこそ実現できたものだろう。紛れもなく実際に車を運転しているのに、いい意味でよく出来たシミュレーターに乗っているかのような錯覚を覚えた、理想的な動きをしてくれるのだ。
Nドリフトオプティマイザーなる機能を使ってドリフト旋回も試みたが、ウエット路面でもグリップ限界は高く、加速も減速もきわめてダイレクトなだけに、正直言って誰でも簡単にドリフトできるというものではなかった。ただし、内燃エンジン車には不可能なその切れ味に慣れると、意のままのコントロールが可能になることは間違いなく、意欲を大いにかき立てられたのだった。
理屈っぽいことを言えば、内燃エンジン車の模倣を続けていていいのか? と思わないではないが、一方でBEVのうまみをフルに生かして、なんであれ純粋に楽しめる車を作るんだという熱がほとばしっているモデルである。アイオニック 5 N、BEVの走りはいまひとつ盛り上がらないなと感じている人は、試してみる価値のある1台だ。
▲空力性能を向上させるエアカーテンやアクティブエアフラップを備えた、ブラックのN専用フロントバンパーを装着
▲ベーシックモデル同様の独創的なパラメトリックピクセルを取り入れた個性的なスタイルに、リアディフューザーなどを備えた
▲N専用の21インチ鍛造ホイールを装着。前輪には4ピストン大口径ブレーキが備わる
▲ベーシックモデルとは異なるセンターコンソールを採用。サーキット走行時にドライバーの姿勢を維持するニーホールドのためのパッドが装着されている
▲ベンチレーション機能を備えたN専用バケットシートを標準装備
▲室内空間は3000mmという長いホイールベースを生かし広く快適。ベースモデル同様に後席にはリクライニング機能などが備わる
▲ラゲージ容量はベーシックモデル(527L)より少なくなるものの480Lを確保しているベースモデルとなるヒョンデ アイオニック 5の中古車市場は?

2022年にブランドの日本市場再参入に合わせて導入されたBEV。ピクセルデザインを取り入れた直線基調の個性的なスタイル、3000mmのホイールベースを生かした広い室内空間などを備える。ウインカーレバーをステアリング右側に配置するなど、日本市場に合わせた改良も行われている。ちなみに、2022-2023 インポート・カー・オブ・ザ・イヤー受賞モデルでもある。(写真は海外仕様)
2024年5月中旬時点で。中古車市場には7台ほどが流通。価格帯は330万~450万円となる。
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