【試乗】新型マツダ CX-60│破格プライスも乗り味はまだまだ。CX-8のような進化に期待したいラージサイズSUV
2023/06/26
▲自動車テクノロジーライター松本英雄氏が、公道試乗した際のレポートをお届け新開発のFRプラットフォーム
今から6年ほど前だろうか。マツダの要の技術者と話をしていたときに、今後どういう方向性のプラットフォームが必要かと聞かれたことがあった。
マツダはグランツーリスモに憧れがある、だからこそそのサイズに合ったFRのプラットフォームがあれば、プレミアムブランドに名乗りを上げるひとつの下地ができるんじゃないかと提案した。

おそらくそのときにはFRの構想はあったのだろう。ひそかに期待していた。
そしてこのたび満を持して、マツダの言う「ラージサイズFRプラットフォームモデル」が登場した。それがマツダ CX-60である。


CX-60には発売間もない時期から乗せてもらっていた。ボディサイズは「ラージサイズ」とはいえどBMWでいえばX3、メルセデスだとGLCといったところだ。
もっともCX-60は、これらよりも20mm程度長くして堂々とした雰囲気だと営業的にアピールできるスペックである。

試乗したフィールは正直言ってまだまだ粗削りな部分がある。
例えば、乗り心地。これはしなやかさに欠けていてマツダのラージサイズでいうならばフラッグシップにふさわしくない。

3.3Lの6気筒ディーゼルエンジンも希薄で6気筒の恩恵を受けていない。
ハイブリッド技術とのコンビネーションもギクシャク感が否めない。特にエンジン停止後の再始動はびっくりするほどの振動で、プレミアム感を狙う現代の量産車とは思えない完成度である。

気に入って購入する方もいらっしゃるだろうが、このCX-60の動力性能と乗り心地は様々なモデルと比べれば一瞬で理解できよう。
マツダがこれまでFFプラットフォームモデルを育てたことはとても理解できる。特にCX-8はすごく好きで成熟度がとても理解できるモデルだ。マツダのSUVの中で、最も満足度の高いモデルであることは間違いない。



しかし、CX-60はお世辞にも褒めたい点が見当たらない。強いて言うならばスペックはプレミアム感がある。
加えてインテリアは高級風の雰囲気があるとは思う。ただ、これでは高級とは言えない。
プレミアムSUVとしてはかなり抑えられた価格
せめて新東名高速で遠くに行けば良いかと思ったが、とにかく疲れる。
サスペンションとシートのマッチングもいまひとつで、一点一点に魂を注いだのかもしれないが、すべてにまとまり感がないのである。


最も価値ある点といえば価格であろうか。6気筒ディーゼルターボハイブリッドモデルで600万円弱の価格は、欧州の同じようなモデルからすれば乗用車1台分ほど安い。破格と言っていいだろう。
そうしてサイズとスペックと価格で付加価値を付けてユーザーを取り入れようとしたのかもしれない。ただ、表面的なことではなく本質的な部分で性能を表してほしい。フラッグシップモデルにそぐわないモデルであることがとても悲しいのである。
CX-8が年を追うごとに円熟味を増していったように、CX-60も今後の改良モデルを期待したい。

▼検索条件
マツダ CX-60(初代)×全国【試乗車 諸元・スペック表】
●3.3 XDハイブリッド プレミアム モダン ディーゼルターボ 4WD
| 型式 | 3CA-KH3R3P | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.74m×1.89m×1.69m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.87m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.64m/1.65m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.91m×1.55m×1.22m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1940kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.18m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ソニックシルバーメタリック、プラチナクォーツメタリック、ジェットブラックマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
||
| オプション色 |
ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、ロジウムホワイトプレミアムメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3CA-KH3R3P |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ソニックシルバーメタリック、プラチナクォーツメタリック、ジェットブラックマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
| オプション色 | ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、ロジウムホワイトプレミアムメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.74m×1.89m×1.69m |
| ホイール ベース |
2.87m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.64m/1.65m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 1.91m×1.55m×1.22m |
| 車両重量 | 1940kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.18m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | T3-VPTS | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | 軽油 |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 58リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 3283cc | 燃費(WLTCモード) |
21km/L
└市街地:18km/L └郊外:21.2km/L └高速:22.4km/L |
| 燃費基準達成 | R12年度燃費基準 95%達成車 |
||
| 最高出力 | 254ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/2400 |
| エンジン型式 | T3-VPTS |
|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 3283cc |
| 最高出力 | 254ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/2400 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 軽油 |
| 燃料タンク容量 | 58リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 21km/L
└市街地:18km/L └郊外: 21.2km/L └高速: 22.4km/L |
| 燃費基準達成 | R12年度燃費基準 95%達成車 |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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