【試乗】新型 アルピーヌ A110|さらに磨き上げたエンジンで、“曲がる前”から心躍るスポーツカーだ!
カテゴリー: アルピーヌの試乗レポート
2022/08/19
▲ミッドシップレイアウトを採用したコンパクトなフレンチスポーツ。初のマイナーチェンジは内外装の変更点はほとんどないものの、パワートレインなどを改良。走りの個性をより強めたグレード体系となっている成熟したパワートレインとシャシー
グローバルデビューから5年と少し、日本デビューからでもすでに4年が経つとはまるで思えないほど、アルピーヌ A110のある風景は新鮮だ。不人気だから、というわけでは決してない。日本での販売は好調に推移しており、斯界ではトップレベルにドライビングファンなスポーツカーとして評価されている。
それでもなお、新鮮味があるということは(中身が本格的であると同時に)、クラシックモデルから受け継いだA110のデザインコンセプトが、もはやタイムレスな価値をもつに至ったということの証拠だろう。
それゆえ、今回のマイナーチェンジでもデザイン面に手を加えることはなく、もっぱらパワートレインとシャシーの成熟に注力したようだ。わかりやすいところではエンジン性能の向上である。
▲グランドツーリングを楽しむためのグレード「GT」。俊敏性と快適性を両立させたアルピーヌシャシーに300psの高スペックなエンジンを組み合わせている
▲GTはブラウン基調のインテリアを採用。レザーシートやFOCAL製スピーカーなどを備えたエレガントな仕立てマイチェン以降のグレード構成は3つ、ノーマル、GT、Sとなる。ノーマルグレード用のエンジンスペックは従来と同様(252ps/320N・m)だが、GTとS用には新たに300ps/340N・mというより高スペックにチューンされた4気筒ターボエンジンが積まれた。
すでに電気モーター&バッテリー仕様のモデルを発表し、将来的にはBEVブランドとなることを宣言したアルピーヌだが、日産開発の4発を最後まで磨き上げて使うつもりなのだろう。スペックだけではわからないエンジン性能の醍醐味が、今回のマイチェンにおける最注目ポイントとなった。
▲サーキットでのパフォーマンスを追求したS。スプリングレートの強化やダンパーのチューニングなど強化した足回りに、300psのエンジンを組み合わせる。こちらは限定モデルのS アセンション
▲SのインテリアはSabelt製軽量モノコックバケットシートなどを備えた、スポーティな仕立てとなる事実、300psエンジン仕様に乗ってみれば、最高出力の向上などよりもむしろ、中回転域からのいっそう伸びやかで力強いパフォーマンスに驚かされる。目に見えない大きな力でぐいぐいと引っ張られているような感覚が常にあって、“曲がる”前から心躍らされるのだ。DCTミッションを強化することによって、最高出力の向上はもちろんのこと、トルクカーブをより攻撃的にチューニングすることが可能となった。
もっとも、そんなことはA110のスポーツカーとしての完成度の高さの前では、いまだひとつの語るべき特徴でしかない。相変わらずシャシーは引き上げられたエンジン性能をものともしない強靭さで、適切に設計された足回りをよく支え、よく動かす。荷重移動のしやすさ(と乗り心地)という点でアシの硬いSをワインディングロードで目いっぱい楽しむことは難しいけれど、おそらくGTならばもう少し扱いやすいだろう。Sはトラックで本領発揮するグレードである。
A110のもうひとつの魅力は類まれなグランドツーリングカーでもあるということ。これまたSでは少々きついけれど、その名もGTであれば長距離ドライブも難なくこなすはず。Sでももちろん耐え難いというわけではなく、300、400kmのドライブであればアッという間に感じさせてくれることは間違いない。
不満もある。相変わらず低速域でのエンジンサウンドはポロポロと無粋で軽自動車並みの情けなさだ。あまりにも貧弱で、そこだけいつも気分が滅入る。もう少し何とかならないものだろうか……。
総合的な魅力という点で、各方面にて絶賛の続くアルピーヌ A110。マイナーチェンジでスタイリングに変化なしということと、エンジン性能が上がったとはいえ全体的なスポーツカーの魅力は前期モデルとさほど変わらなかったこと、つまり中古車で探しても最新グレードとほぼ同じ“ドライビングファン”を経験できるという点で、探せば600万円台から見つかるA110は、超オススメのモデルであると言っていい。
▲前後重量配分は44:56。タイヤの接地性に優れたダブルウィッシュボーンサスペンションを採用する
▲Sは最低地上高が4mm低められ(欧州参考値)、車両の重心が最適化されているという
▲S アセンションにはモデル初のカーボン製フロントスプリッターとリアスポイラーが装着される
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
アルピーヌ A110の中古車市場は?

1970年代にラリーでも活躍した往年の名車A110の後継として、2017年にワールドプレビューを果たした2シーターミッドシップ。ボディの96%にアルミを用いることで軽量化を実現し、走る楽しさを極めたフレンチコンパクトスポーツだ。
中古車は現状すべてマイナーチェンジ前のモデルとなり、25台程度が流通している。物件の平均価格は約770万円だが、600万円台から探すことが可能。ハイパフォーマンスなSは800万円台、GTカーのリネージは700万円台が中心。Sとリネージは、乗り味が違う。走りを楽しむスポーツカーゆえに、ここは好み優先でグレードを選ぶことをオススメしたい。
▼検索条件
アルピーヌ A110× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●GT
| 型式 | 7BA-DFM5P4 | 最小回転半径 | 5.8m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | MR | 全長×全幅×全高 | 4.21m×1.8m×1.25m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.42m |
| ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | -m/-m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1130kg |
| シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブラン グラシエ |
||
| オプション色 |
ブルーアルピーヌM、ブラン イリゼM、グリ トネールM、ノワールプロフォンM、ブルーアビスM、グリ トネール マット、オランジュ フーM |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 7BA-DFM5P4 |
|---|---|
| 駆動方式 | MR |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | 7AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブラン グラシエ |
| オプション色 | ブルーアルピーヌM、ブラン イリゼM、グリ トネールM、ノワールプロフォンM、ブルーアビスM、グリ トネール マット、オランジュ フーM |
| シート列数 | 1 |
| 乗車定員 | 2名 |
| ミッション 位置 |
コラム |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.8m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.21m×1.8m×1.25m |
| ホイール ベース |
2.42m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
-m/-m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1130kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | M5P | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 45リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1798cc | 燃費(WLTCモード) |
14.1km/L
└市街地:9.6km/L └郊外:15km/L └高速:16.7km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 300ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
340(34.6)/2400 |
| エンジン型式 | M5P |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1798cc |
| 最高出力 | 300ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
340(34.6)/2400 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 45リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 14.1km/L
└市街地:9.6km/L └郊外: 15km/L └高速: 16.7km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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