【試乗】トヨタ コペン GR SPORT|ライトウェイトオープンカーの真髄を教えてくれるモデル
2022/07/25
▲2019年10月にトヨタブランドで登場したコペン GR SPORT。改めて試乗する機会を得たため、自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けするGRブランドに加わったスモールサイズ2シーターオープン
2代目コペンに初めて試乗したのが、今から8年ほど前になる。
初代はとにかくプラットフォームが優しすぎたのだが、この2代目ではフロアがカチッとした印象を持った。
そして今、8年の時を一気に超えて、トヨタブランドから登場した「コペンGR SPORT」に乗る機会を得た。願わない限りなかなか試乗する機会を得られないため、楽しみである。

8年前に比べどんな進化をしたのか? スポーツカーブランドのGR SPORTとしてどのように生まれ変わったのか? その素質はあったのだろうか……? 様々な意味で興味深いモデルである。
世界的に見て、量産車メーカーがこれほど長くスモールサイズの2シーターオープンモデルを作っていたという記憶はない。
しかも、バキバキのスポーツカーではなく、ほんわかな部分とシャープな部分とが混在する、非常に希なモデルといってよい。
オープンカーといえばスポーツカーと思う人も多いかもしれないが、コペンにおいては爽快に街中や山道を流すのに適したモデルといえるだろう。
そのコペンのGRブランドとなれば、それなりのモディファイも必要となるはずだが、いかがだろうか。
プリミティブ感をもったオープンスポーツ2シーター


コンパクトなパッケージングながら、精悍な雰囲気に仕上げているのはGR SPORTのデザイン力といえるであろう。
スポーツカーの雰囲気としては悪くはない。GR SPORTの特徴である効率を求めた四角い大きなグリルもバランスよくデザインされており、装着されるBBSのホイールも合っている。
そしてコペンの真価は、ルーフトップを開けた状態でこそ評価される。開閉ルーフトップは初代からコストをかけて作られており、当時「このモデルにして、どうしてこんなにこだわったんだろう?」と思ったぐらいだ。
当時の最高峰ともいえるソアラもハードタイプの開閉システムを使っていて、クーペとコンバーチブルを両立させた雰囲気だったが、コペンも同じようなコンセプトだったのだろう。
前置きが長くなってしまったが、出来が良くコストを優先に考えるダイハツがよく採用したなと思っていた品物だ。

オープンボディで箱根の峠を走らせてみた。
箱根の山を上るには、CVTということもあって若干の非力さは否めない。
しかし、スムーズによく回るエンジンのエグゾーストサウンドは、3気筒ながら高回転まで回すといい音色を奏でる。
また、パドルシフトを使ってのドライビングは切れが良く、CVTであってもスポーティに演出してくれることは間違いない。
一方で、コラム剛性が低いのはやや気になった点だ。
フロアの各部を補強していることも、コーナリングやアンジュレーション時のバイブレーションを抑制するサスペンションの動きからヒシヒシと伝わってくる。
ブレーキは2度踏みするとクリアランスが少なくなり、コントロール性が良くなる。
ステアリングを握りながら、ほほ笑みを隠せないほどリラックスできる。特に下りは思った以上に楽しくドライビングすることができる。

後日、改めて300kmほど街中や第三京浜を走らせる機会があったが、タイトな空間でも大人の秘密基地のようで、つい様々な操作をしたくなる。
ドライブしているうちにノスタルジックな感じすら覚えてくるが、車の基本的な挙動をドライバーに伝えてくれる。現代では稀有なモデルである。
CVTモデルでこれなのだから、MTモデルはもっと童心を揺さぶるような秘密基地感があるだろう。
このようなモデルにリアルに触れる世代が少なくなる一方だが、プリミティブ感をもったオープンスポーツ2シーターこそ、ライトウェイトオープンカーの真髄を教えてくれるかもしれない。

【試乗車 諸元・スペック表】
●660 GR スポーツ
| 型式 | 3BA-LA400A | 最小回転半径 | 4.6m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 3.4m×1.48m×1.28m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.23m |
| ミッション | CVT | 前トレッド/後トレッド | 1.31m/1.3m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 0.91m×1.25m×1.04m |
| 4WS | - | 車両重量 | 870kg |
| シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | 980kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.11m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブライトシルバーメタリック、ブラックマイカメタリック、トニコオレンジメタリック、ジョーヌイエロー |
||
| オプション色 |
パールホワイトIII、リキッドシルバーメタリック、マタドールレッドパール、クリアブルークリスタルメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3BA-LA400A |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | CVT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブライトシルバーメタリック、ブラックマイカメタリック、トニコオレンジメタリック、ジョーヌイエロー |
| オプション色 | パールホワイトIII、リキッドシルバーメタリック、マタドールレッドパール、クリアブルークリスタルメタリック |
| シート列数 | 1 |
| 乗車定員 | 2名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 4.6m |
| 全長×全幅× 全高 |
3.4m×1.48m×1.28m |
| ホイール ベース |
2.23m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.31m/1.3m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 0.91m×1.25m×1.04m |
| 車両重量 | 870kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 980kg |
| 最低地上高 | 0.11m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | KF | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 30リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 658cc | 燃費(WLTCモード) |
19.2km/L
└市街地:15.4km/L └郊外:20.4km/L └高速:20.6km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 64ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
92(9.4)/3200 |
| エンジン型式 | KF |
|---|---|
| 種類 | 直列3気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 658cc |
| 最高出力 | 64ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
92(9.4)/3200 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | レギュラー |
| 燃料タンク容量 | 30リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 19.2km/L
└市街地:15.4km/L └郊外: 20.4km/L └高速: 20.6km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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