【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
カテゴリー: フォルクスワーゲンの試乗レポート
タグ: フォルクスワーゲン / SUV / FF / T-Cross / EDGEが効いている
2021/06/07
▲VWの最小SUVとして登場。ハッチバックから受け継いだ俊敏な走りに、ワンランク上を超えるラゲージ容量を持ち合わせたシティ派SUV。明るくポップなカラーなども用意されている素直な走りと広々とした使い心地はVWの真面目さを感じられる
SUVが売れているとちまたでいわれて久しいが、正確には「SUVクロスオーバー」のこと。無論、悪路走破性を重視したクロスカントリー4WDの本格SUVもあるが、むしろオフロードタイヤよりオールシーズンタイヤを履くモデルの需要が強い。もはや何の気なしにSUVといえば、FFのハッチバックとフロアまわりやパワートレインを共有しながら、同じくモノコックボディを採った「SUVクロスオーバー」のことなのだ。
そこに加え、BMWの初代X6あたりに端を発する「SUVクーペ」なるものが、近頃は欧州B・Cセグメントあたりにまで下りてきた。ここに紹介するT-Crossは欧州Bセグメント相当で、ひと回り大きいVW T-Rocや、通常時の3月初旬ならジュネーブでお披露目されたであろうルノー アルカナらSUVクーペとは異なる、「スモールSUV(クロスオーバー)」というわけだ。
前置きが長くなったが、SUVがすっかり細分化された今となっては、ただスモールなサイズであるだけでは市場で埋没してしまうため、「TさいSUV」とうたったキャッチコピーには、痛いほど納得できる。トゥアレグ>ティグアン>T-Rocと、徐々に小さくなるVWのSUVラインナップの末弟として、Tファミリーの一員を主張するいじらしさ。
でも、先代はクロス・ポロって言わなかったっけ? そうふと正気に返ると、スモールなSUVクロスオーバーとして究めたがゆえの、T-Crossの立ち位置の難しさを意識せざるを得なくなる。
ある調査によると、SUVはベースのハッチバックやセダンより概してトランク容量は2~3割強、ヘッドクリアランスは最大4cmほど、後席の足元スペースも約1cmほど、SUV化の恩恵を得て広くなるとか。T-Crossの455Lというトランク容量はポロの351Lをはるかに上回るし、6:4分割のリアシートは前後14cmのスライドが可能。
居住空間や実用性能はなるほど、ハッチバックより余裕がある。ドライバーズシートの着座感も明らかにハッチバックより座面高が高いが、見晴らしがいいというほどではない。ポロの、水平方向にシュッと伸びてボディカラー同色パネルがドアハンドルまわりまでエクステンドされたインテリアに対し、T-Crossのそれは、エアコン吹き出し口や8インチのタッチスクリーンといった要素や位置は同じまま、より立体感を強調したグラフィックや意匠といえる。よくいえば足元が広いが、悪くいえば縦方向に間延びした感もある。
▲全2グレード展開で価格はActiveが278万円~、Styleが303万円~。バックカメラなどは全車に標準搭載される。レーンキープや駐車支援システムなどは両グレードともにオプション
▲Styleには、オプションでドアミラーやホイールなどがアクセントカラーとなる専用の「デザインパッケージ(12万円)」が用意される。グッドサプライズはエンジンだ、3気筒1LターボのTSIに7速DSGとだけ聞くと、ポロやアウディ A1スポーツバックで既出のように思えるが、95ps/175N・mのDKL型よりハイチューンなDKR型の116ps/200N・m、つまりup! GTIと同じユニットが載せられているのだ。
1270kgと車重がハッチバックより増している分、約1割強のパワー増強はほぼ相殺といえるが。しかし、3気筒らしからぬ振動の少なさで、トルクは出尽くすものの5000rpmより上の領域での金属的なエグゾーストノートが楽しい、そんな盛り上げ上手な高回転型ユニットだ。
試乗車は「1st Plus」という18インチの初回仕様。抑え気味とはいえポロよりはロール量があったが、基本的にはフラットな乗り心地だ。DSGの低速域や前進後進スイッチ時の切り替えでスナッチはあるものの、走り出してしまえばスムーズ、そんなフィールは地続きだ。
▲インフォメントシステムはオプションでDiscover Mediaに変更可能。これは常時オンライン接続でのリアルタイム情報受信に対応し、音声操作やハンドジェスチャーなどが行える。Apple CarPlay やAndroid Autoは標準のシステムでも利用可能
▲シートはファブリックとレザーで構成され、デザインパッケージによってカラーを変更可能。Styleでは、よりホールド性の高いスポーツコンフォートシートが装備される
▲フルフラットにできるリアシートは、T-Rocにはない前後スライド機能付き。シートを倒すことでラゲージ容量は1281Lまで拡大できるWE CONNECTやWE CONNECT PLUS(前者は10年間、後者は3年間無償)というeSIMによる常時接続環境が前提の次世代インフォテイメントも搭載しているし、エントリーグレードのACTIVEでもADAS機能はオプションで付けられるので、ハッチバックよりこちらが好まれても何ら不思議はない。
トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーより全長とホイールベースは25mm長く、かつ横幅は5mm程度の拡大で味わえる、そんな入門ドイツ車としてT-Rocは一見、限りなくライト。だが、居住性や乗り心地など実用面でのサープラス性能や余裕については、スモールカー的に欲張っている。ただ、逆にSUVとしては冒険しないというか、然るべきエキセントリックさが結局「動的質感」に落ち着く点が、SUVクロスオーバーにあっても貫かれる「VWらしさ」といえる。
「SUVクロスオーバー」な車においては様々な価値観が行き交うが、「らしさ」を見失わない1台は、そうそうあるわけではないのだ。
▲テクノロジーパッケージには、スマホのワイヤレスチャージパッドも付属する
▲エンジンはコンパクトハッチバック「up!」のスポーツ仕様であるGTIのと同型。レスポンスの軽快さと燃費の良さを両立している▼検索条件
フォルクスワーゲン T-Cross × 全国先代に当たるクロスポロ(2代目)の中古車市場は?

ポロベースのコンパクトSUVとして、2010年から2018年まで発売されていた。ポロのようなドライビングフィールながらSUVの広い視認性や拡張性など、T-Crossに受け継がれた要素を多く持ち合わせている。現在の中古市場では、良条件物件は60万円ほどから探すことができる。車両本体価格80万円前後から、バックカメラやTV付きナビを搭載したモデルが多く見られる。黒や白色といったカラーの他に、イメージカラーのオレンジなども多く流通している。
▼検索条件
フォルクスワーゲン クロスポロ(2代目) × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●TSI 1st プラス
| 型式 | 3BA-C1DKR | 最小回転半径 | 5.1m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.12m×1.76m×1.58m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.55m |
| ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.53m/1.51m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1270kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、エナジェティックオレンジメタリック、ライムストーングレーメタリック、マケナターコイズメタリック、フラッシュレッド、リーフブルーメタリック、ダークペトロール |
||
| オプション色 |
- |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3BA-C1DKR |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 7AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、エナジェティックオレンジメタリック、ライムストーングレーメタリック、マケナターコイズメタリック、フラッシュレッド、リーフブルーメタリック、ダークペトロール |
| オプション色 | - |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.1m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.12m×1.76m×1.58m |
| ホイール ベース |
2.55m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.53m/1.51m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1270kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | DKR | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 40リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 19.3km/L |
| 総排気量 | 999cc | 燃費(WLTCモード) |
16.9km/L
└市街地:13.2km/L └郊外:17.1km/L └高速:19.1km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 116ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
200(20.4)/3500 |
| エンジン型式 | DKR |
|---|---|
| 種類 | 直列3気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 999cc |
| 最高出力 | 116ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
200(20.4)/3500 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 40リットル |
| 燃費(JC08モード) | 19.3km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 16.9km/L
└市街地:13.2km/L └郊外: 17.1km/L └高速: 19.1km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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