【試乗】新型 フォルクスワーゲン ゴルフR|エンスージアストもうなる、優雅で韋駄天なスーパーハッチバック
2023/01/31
▲2022年10月に日本でデビューしたされたフォルクスワーゲン ゴルフR。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けするゴルフRの登場から20年以上が経ち、どのように進化したか
フォルクスワーゲンには、数々の“R”モデルがある。そして、その中で忘れもしないのが、先陣を切って2003年に日本に登場した4代目 ゴルフベースの、“ゴルフR32”であり、これがRの始まりといっていい。
挟角のV型6気筒3.2Lユニットはレスポンスよく重厚感もあって、それでいて緻密な雰囲気も漂っていた。
また、独自の4WDシステムの4MOTIONは、スポーティなトルク配分でキビキビと積極的なハンドリングを実現した。
そして、このR32から「DSG」を採用。ツインクラッチの2ペダルMTシステムで、現在では同社の様々なモデルに採用されている。
余談だが、初めに日本に登場したGolf R32は3ドアMTのみであったが、縁あってDSGモデルにも試乗したことがある。正直申し上げて、ぎくしゃく感は否めなかった。
今回試乗する8代目ゴルフのRもまたDSGを採用しているが、どのように進化しているのだろう?
もちろん搭載されるエンジンにも注目だ。
ゴルフにRが設定されたのは、6代目から。つまり、ゴルフRとしては3代目となるわけだが、登場以来、搭載されるハイパワー4気筒ユニットは進化してきた。
登場した2010年当初も、最高出力256ps /最大トルク33.7kg・mと十分なスペックをもっていたが、進化した最新のEA888Evo4ユニットは、320ps/42.8kg・mまで高められている。恐るべしEA888ユニットだ。
前置きが長くなってしまったが、試乗インプレッションをお届けしよう。
ここまで完璧な4気筒ユニットは見当たらない


エンジンはRといえども以前のものよりとても静かで、アイドリング状態では「嵐の前の静けさ」とでもいうような雰囲気だ。
Dレンジに入れて発進する。先代に比べてスタートはさらにスムーズで、20年の間にDSGもここまで進化したのだと感慨深くなる。
切れのいいシフトアップとスムーズさは極めて連続的で、エンジンとの統合制御による緻密なシフトプログラムはきめ細やか。どこから踏んでも電光石火のごとく最適なギアをセレクトする。
ジェントルなエンジン特性も相まって、フラッグシップグレードにふさわしい心地よいドライバビリティの高さを感じることができる。

続けて、アップダウンが激しくタイトなコーナーが連続する箱根芦ノ湖スカイラインを走る。ここは、スポーツATとエンジンの特性が理解できるシチュエーションだ。
モードはスポーツで、そのままDレンジで走らせてみる。上りの負荷が高い状態でアクセルを踏んでいくと、路面にトルクが伝わるギアポジションをちゃんとホールドしてくれるため、安心感がある。
サスペンションはしなやかで、路面から押し上げられるようなタイトコーナーでも追従性は素晴らしい。
アライメント変化を最小限にしてハンドルは正確無比。ステアリングを切りながらさらに負荷を与えても、リアのトルクベクタリングが最適にしてくれるのか、無理なく吸い付いているようにコーナーを抜けることができる。
4MOTIONも進化しているようだ。左右のトルクが可変するリアデフのおかげで、連続するコーナーをスムーズかつ安全にトレースすることができる。
負荷をかけながらステアリングの舵角を最小限にとどめて道をトレースすれば、ドライバーは新しいゴルフRのポテンシャルが理解できよう。

エンジンもスムーズでここまで完璧な4気筒は他では見当たらないかもしれない。ちょうど試乗前に乗っていた、車両価格1000万円オーバーのメルセデスAMGの4気筒ユニットと比べても劣らぬほど良い。
残念ながら、日本のメーカーにはこのユニットに勝てる4気筒はない。
「内燃機関を終了する」と、一度はアナウンスしたフォルクスワーゲンではあるが、底知れぬノウハウは健在だ。

一般道の静粛性に加えて高速でのスタビリティの高さ、シャシー剛性が高いから成せる的確なサスペンションの追従性。そして、身体の振れをも抑え、ドライビングにも専念できる、まさにジェントルなスーパーハッチバックだ。
新型ゴルフRは、20年という歳月をかけ、フォルクスワーゲンのすべてを結集して作ったモデルなのである。
様々なモデルに乗り込んできた年を重ねたエンスージアストも文句のつけようがない、優雅で韋駄天なハッチバックであることに間違いはない。



▼検索条件
フォルクスワーゲン ゴルフ(現行型)×R×全国【試乗車 諸元・スペック表】
●R 4WD
| 型式 | 3BA-CDDNFF | 最小回転半径 | 5.1m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.3m×1.79m×1.46m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.62m |
| ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.54m/1.52m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1540kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、ラピスブルーメタリック |
||
| オプション色 |
- |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3BA-CDDNFF |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 7AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、ラピスブルーメタリック |
| オプション色 | - |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.1m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.3m×1.79m×1.46m |
| ホイール ベース |
2.62m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.54m/1.52m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1540kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | DNF | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 56リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1984cc | 燃費(WLTCモード) | 12.3km/L └市街地:8.7km/L └郊外:12.5km/L └高速:14.7km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 320ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/5350 |
| エンジン型式 | DNF |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1984cc |
| 最高出力 | 320ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/5350 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 56リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 12.3km/L └市街地:8.7km/L └郊外: 12.5km/L └高速: 14.7km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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