【試乗】新型 BMW 5シリーズツーリング|安定感のある「ラグジュアリー」とスポーツカー顔負けの「Mスポーツ」を乗り比べ
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2021/03/19
▲2020年9月にマイナーチェンジを行った新型BMW 5シリーズツーリングワゴン。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートディーゼルエンジンの静粛性が向上
BMWのエグゼクティブモデルの5シリーズは、3シリーズから一気にフラッグシップを意識したコンポーネントに高めているのが特徴だ。2016年に登場した現行世代の5シリーズでは、炭素繊維とアルミ合金、鋼を使った強靭な7シリーズのプラットフォームを使用して骨格をつかさどっている。
今回、2020年にLCI(マイナーチェンジ)を施した5シリーズツーリングワゴンを、2グレード同時に箱根ターンパイクで試乗したので、そのときの様子を紹介したい。
初めに試乗したのは、「523d xドライブ ラグジュアリー エディション ジョイプラス」だ。こちらは2L 4気筒のディーゼルターボエンジンを搭載しており、8速ATを携えた装備が充実しているモデルである。
ドアを開けると上品なデザインのインテリアが出迎えてくれる。
ツーリングというワゴンタイプのモデルで、その中でも「ラグジュアリー エディション ジョイプラス」は、インテリアやボディカラーに特別な仕様を用いており、品の良さを感じさせる。
エンジンを始動させると、高音を抑えているのがうかがえる。しかし、いったんドアを閉めると、4気筒ディーゼルモデルとは思えない静粛性を感じとれるのだ。これは、LCI前よりも顕著に表れているようである。
▲キドニーグリルがワイドになり、印象を変えたフロントマスク
▲最新デバイスと上質さの調和が図られたインテリア
▲静粛性を増した2L 4気筒ディーゼルターボエンジン大きなトルクをしっかりと制御
早速、走らせてみる。安定している燃焼によって40Kg・mを超えるトルクは、2Lとは思えない加速へと誘う。このトルクはトランスミッションを介して動力につながるが、きめ細かいコントロールの8速ATとxDriveによって最適に路面に分散して、大きなトルクによって起こる挙動の不安定さを払拭している。
サスペンションが上下に大きく動き、アンジュレーションをソフトに吸収するのが「ラグジュアリー エディション ジョイプラス」の特徴だ。そして、BMWならではともいえる、意のままのハンドリング性能がおおらかにボディを安定させて、ワインディングであってもドライバーと同乗者に心地よさを演出する。
リアゲートの開口部が広いにもかかわらず、ミシリともしない。さすがフラッグシップに照準を合わせたプラットフォームだ。
ツーリングのスタイリングはリアから見ると、堂々としたスポーティな雰囲気が伝わってくる。上り坂の箱根ターンパイクも全くといっていいほどストレスのない動力性能である。
ただし、踏み込んだときに、エンジンのノイズとトルクの頭打ちが気になるという人もいるかもしれない。しかし、そこまでエンジンを回さなくても十分満足のいく性能だ。
▲広い開口部にゆとりある荷室空間を備えるワゴンモデルを昇華させたMスポ
▲3L 直列6気筒ガソリンエンジンを搭載する「540i xドライブ Mスポーツ 4WD」続いて、「540i xドライブ Mスポーツ 4WD」を試す。コースは同様にワインディングの往復だ。こちらは3L 直列6気筒エンジンを搭載する。BMWはこの直列6気筒に関して、最もノウハウをもっている自動車メーカーといえることもあり、期待が膨らむ。
Mスポーツだけあって、乗り込む前からでもひしひしとそのポテンシャルが伝わってくる。メーカーが純正で送り出すワゴンタイプの中では、スポーティな装いと品の良さのバランスが絶妙なモデルである。
ホイールとタイヤはフロント245/40R19、リア275/35R19を装着。このリアにパフォーマンスを置いたセッティングからもわかるとおり、後軸に動力分配を高めて走らせる意図を感じ取ることができる。
エンジンをスタートさせると、6気筒のハーモニックな快音がキャビン内でも理解できる。これだけでも顔がほころんでしまう。
▲上り坂でも軽快な動きを発揮Dレンジに入れてスタートさせる。走り出しはとてもダイレクトな印象だ。アクセルと路面とのコンタクトが、ディーゼルモデルに比べてレスポンスが良いと感じた。
ATのセッティングはスポーティで、車の性能を引き出せている。ロールを抑えて最適なギアをセレクトし負荷をかけておけば、スタビリティはスポーツカー顔負けのロードホールディングとなる。6気筒でもノーズは軽く、ボディの大きさよりも小さく感じられた。
ツーリングであっても、フロントとリアのバランスがとてもいい。340馬力を生かしきるバランスといえる。
上りはもっと楽しめる。アクセルをコントロールしてリアに荷重をかけながら、カーブの一つ一つを丁寧に楽しくドライブできる。ありそうでない設定だ。
肩肘張らないスタイリングは街中でもカッコイイ装いでいて、山間部でも素晴らしいロードホールディングは、車に詳しい方御用達の1台になりうるモデルだ。
▲それぞれ特色の出た2モデルであった【試乗車 諸元・スペック表】
●BMW 5シリーズツーリングワゴン 523d xドライブ ラグジュアリー エディション ジョイプラス ディーゼルターボ 4WD
| 型式 | 3DA-JP20 | 最小回転半径 | 5.8m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.98m×1.87m×1.5m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.98m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.63m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1840kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2115kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブラック |
||
| オプション色 |
ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブルーストーンメタリック、グレイシャー・シルバーメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、ピュア・メタル・シルバーメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、ファイトニック・ブルーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、アルビット・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3DA-JP20 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブラック |
| オプション色 | ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブルーストーンメタリック、グレイシャー・シルバーメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、ピュア・メタル・シルバーメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、ファイトニック・ブルーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、アルビット・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.8m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.98m×1.87m×1.5m |
| ホイール ベース |
2.98m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.63m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1840kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2115kg |
| 最低地上高 | 0.14m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | B47D20B | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | 軽油 |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 66リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 17.4km/L |
| 総排気量 | 1995cc | 燃費(WLTCモード) | 15km/L └市街地:13.2km/L └郊外:13.7km/L └高速:17km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 190ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
400(40.8)/2500 |
| エンジン型式 | B47D20B |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1995cc |
| 最高出力 | 190ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
400(40.8)/2500 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 軽油 |
| 燃料タンク容量 | 66リットル |
| 燃費(JC08モード) | 17.4km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 15km/L └市街地:13.2km/L └郊外: 13.7km/L └高速: 17km/L |
| 燃費基準達成 | - |
●BMW 5シリーズツーリングワゴン 540i xドライブ Mスポーツ 4WD
| 型式 | 3BA-JT30 | 最小回転半径 | 5.8m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.98m×1.87m×1.5m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.98m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.6m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 1900kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2175kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイト |
||
| オプション色 |
ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブルーストーンメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、ピュア・メタル・シルバーメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、ファイトニック・ブルーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、アルビット・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、カーボン・ブラックメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3BA-JT30 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | アルピン・ホワイト |
| オプション色 | ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブルーストーンメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、ピュア・メタル・シルバーメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、ファイトニック・ブルーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、アルビット・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、カーボン・ブラックメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.8m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.98m×1.87m×1.5m |
| ホイール ベース |
2.98m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.6m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1900kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2175kg |
| 最低地上高 | 0.14m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | B58B30C | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 68リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 11.8km/L |
| 総排気量 | 2997cc | 燃費(WLTCモード) | 10.5km/L └市街地:7.5km/L └郊外:10.6km/L └高速:12.5km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 340ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/5200 |
| エンジン型式 | B58B30C |
|---|---|
| 種類 | 直列6気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 2997cc |
| 最高出力 | 340ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/5200 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 68リットル |
| 燃費(JC08モード) | 11.8km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 10.5km/L └市街地:7.5km/L └郊外: 10.6km/L └高速: 12.5km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
【関連リンク】
この記事で紹介した車
BMW
5シリーズツーリング 523d xドライブ Mスポーツ エディション ジョイプラス ディーゼルターボ 4WD 後期 4WD EXナッパP 全席ヒ-タ-茶革2年保証
本体価格428.0万円
支払総額440万円
あわせて読みたい
’07 フェラーリ F430|空力とヘリテージが息づくV8ミッドシップ【名車への道】
【今が狙い目!】昨年2024年登場のメルセデス・ベンツ Eクラス(6代目)の中古車平均価格が1年間で約70万円ダウン!オススメの買い方・選び方を紹介
X3が3代目なら200万円代前半で狙える? BMWの人気プレミアムSUV、中古車相場やオススメの狙い方を解説
’73 シトロエン DS|独自のデザインと乗り心地、そのすべてに“哲学”がある【名車への道】
新型T-Rocが海外で発表されたけど初代なら100万円台で買える? 日本にぴったりのコンパクトSUV、中古車相場やオススメの狙い方を解説!
素敵なフラッグシップワゴン、ボルボ V90が値下がりして200万円台から狙える! どんな買い方がオススメ?
新型デリカミニが発表されたけど初代の中古車価格は? 三菱の遊べる軽SUV、オススメの狙い方を解説
【悲報】レクサス ISが“ほぼ”生産終了。絶望したあなたに贈る「代わりにコレ、どうですか?」5選
先代BMW 1シリーズが120万円から狙えるが買っても大丈夫? 買うならどんな物件がオススメ?
【悲報】日産 GT-R(R35型)が生産終了……今こそ中古車状況をチェック&賢い狙い方を考察!









