【試乗】 新型 BMW i4 M50|M8クラスのパワーを秘めたM系BEV
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2022/11/17
▲既存の4シリーズグランクーペをベースとした、初めて“M”を名乗るBEV。最高出力544psなど、スペック的にはM8レベルに迫るひとつひとつの動作に雑味がない
BMWはよくいえば慎重な、悪くいうと優柔不断なBEV戦略を取っている。iXのように完全オリジナルデザインのBEVをデビューさせた一方で、iX3のように既存のモデルと同じ格好(兼用プラットフォーム)を使ったモデルも併存させている。
選ぶ方としては種類が多ければ多いほど嬉しいけれど、その分、新しい乗り物としてのBEVのイメージは抱きづらい。もっとも誰もがいきなり冒険したいとは思わない。ユーザーの気持ちをくんだ二面戦略と思った方がいいだろう。
▲特徴的なキドニーグリルにはセリウムグレーのパネルが貼られている
▲M専用エアロパーツや、専用チューンのアダプティブMサスペンションを装着というわけで、このi4 M50も4シリーズグランクーペの形をしたフルバッテリー駆動のBEVだ。性能スペックを見るとMのイニシャルに似つかわしい、否、もはやM8レベルというべきスペックを備えた電気モーター+バッテリーを抱え込んでいる。
MのBEV、とはいうものの、価格や装備を見れば、ガソリン車のラインナップでいうところのMパフォーマンスモデルと同レベルの位置付けだと言っていい。スペック性能では確かにM4を大きく上回っているけれど、ICE(内燃機関)とBEVとの間には単純に性能のスペック差だけでは測れないパフォーマンス特性の差があると思った方がいい。
なんてことは頭では理解しているのだ。それでいて、ひとたびi4 M50 の加速パフォーマンスを体感してしまうと、あぜんとするほかない。次からはもう不用意にアクセルペダルを踏み込むまいと、すぐさま脳にインプットする。正直にいうと、そんな“笑ってしまうほどの加速”を何度も試してみようという気にはならない。一度きりで十分。そこがエンジン付きの車とは違ったデジタルな諦観であろう。何度試しても同じ結果、それがEVらしさというものだ。最近のコンピューター制御バリバリのエンジン付き2ペダル車もたいていそうなのだけれど。
▲インフォメーション・ディスプレイとコントロール・ディスプレイを組み合わせたBMWカーブド・ディスプレイを備える街乗りのパートナーとしては最高の部類だろう。静かなことはもちろん、スタンダードの4シリーズグランクーペに比べて明らかにどっしりとした乗り心地だ。街中での快適性は4シリーズグランクーペシリーズの中でも随一だと思われる。それでいてインストルメントパネルのグラフィック以外は見慣れた4シリーズというのだから、心地よい違和感に包まれて走る感覚だ。何か特別な車を手に入れたという満足感がある。
EVとしては常識的なアッと驚く加速性能などより、一体感と剛性感に優れていることがより印象的だった。
バッテリーを構造物としても活用するレイアウトが、前後重量の理想的な配分と車体のしっかり感アップに寄与したのだと思う。それゆえ、一つ一つの動作に雑味がない。“パーフェクトスムーズ”という表現がよく似合う車だ。
逆にいうと、その雑味のなさこそ、BMW製エンジンの快感に慣れ親しんだ身には少々物足りなく思えたりもする。騒音と振動のあるストレート6が恋しい気分になってしまうのだ。
完全にバランスされたドライブフィールを4シリーズグランクーペのカタチで味わってみるという未来への第一歩を楽しむか、それともノスタルジックにストレート6にこだわり続けるか。今のところBMWは両方の受け口を用意してくれているのだった。
オプションでバケットタイプのMスポーツシート(写真)が用意されている
▲床下にバッテリーが搭載されているため、ベースモデルよりわずかに床面が高い
▲ラゲージ容量は通常で470L、後席を倒せば最大1290Lまで広がる
▲車体右側後方に急速充電用のポートを設置、普通充電用は左側前方となる▼検索条件
BMW i4 M50× 全国
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
BMW iXの中古車市場は?

他社に先がけ、2011年に電動モデルのサブブランドであるBMW iを立ち上げたBMW。電動化だけでなく、CFRPによる軽量化、リサイクル材の採用などによる「持続可能なモビリティ」を目指した車作りが行われている。i4よりも少し早く登場した最新フラッグシップEVであるiXは「2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の一次選考で上位10モデル(10ベスト・カー)に選出された。
iXの中古車物件は15台前後が流通中で、価格帯は870万~1200万円となる。
▼検索条件
BMW iX× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●M50 4WD
| 型式 | ZAA-32AW89 | 最小回転半径 | 5.9m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.79m×1.85m×1.46m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.86m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.61m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 2240kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2515kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.13m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイト |
||
| オプション色 |
ミネラル・ホワイトメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンレモ・グリーンメタリック、サンセット・オレンジメタリック、ブルックリン・グレーメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック |
||
| 掲載コメント |
※交流電力量消費率(電気自動車)WLTCモード 173Wh/km 市街地モード 177Wh/km 郊外モード 167Wh/km 高速モード 175Wh/km |
||
| 型式 | ZAA-32AW89 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | アルピン・ホワイト |
| オプション色 | ミネラル・ホワイトメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンレモ・グリーンメタリック、サンセット・オレンジメタリック、ブルックリン・グレーメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.9m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.79m×1.85m×1.46m |
| ホイール ベース |
2.86m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.59m/1.61m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2240kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2515kg |
| 最低地上高 | 0.13m |
| 掲載用コメント | ※交流電力量消費率(電気自動車)WLTCモード 173Wh/km 市街地モード 177Wh/km 郊外モード 167Wh/km 高速モード 175Wh/km ※一充電走行距離 WLTCモード 546km |
| エンジン型式 | HA0001N0 | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | -リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 544ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
795(81.1)/- |
| エンジン型式 | HA0001N0 |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 544ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
795(81.1)/- |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | -リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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