【試乗】新型ポルシェ 911 GT3 RS|ウイングの巨大さに思わずのけぞった! これぞロードカー史上最強のモデルか!?
カテゴリー: ポルシェの試乗レポート
2024/02/17
▲ポルシェがこれまで培ってきたモータースポーツのテクノロジーを詰め込んだハイパフォーマンスモデル。公道走行は可能でも、むしろ競技専用車両である911 GT3 Rに近い存在といえる。4L水平対向6気筒エンジンの最高出力は525psを発生、さらに徹底した軽量化で車重は1450kgとなっているもはや“邪悪”なレベル!? 果たして公道を走っていいのだろうか……
ポルシェ 911 GT3 RS(992型)の写真が初めて公開されたとき、バカバカしいまでにでかいリアウイングに目を見張った。はたして実物に対面してみれば、わかっていてもその巨大さに思わずのけぞった。
市販ロードカー用ウイングとしてルーフより高い位置まで羽がそびえたのはポルシェ初らしい(そりゃそうだろう!)。こんなウイング、グループ5でしか見たことがない。後端はボディに収まるようスワンネック型ステーで工夫されたものの、見た目に激しく大きな突起物であることには違いない。もはや一般道を走っていい車になんて見えない!
リアウイングだけじゃないのだ。タイヤはサーキット用のように丸々と太っているし、切断されたフェンダーアーチでもってしてもそれを覆いきれないでいる。ルーフには刀のようにフィンが走り、ボディのそこかしこに多数の穴がうがたれた。これはもう迫力を超えて邪悪だ。公道になんて出てこないでおくれ、頼むから……。
▲そびえたつリアウイング! サーキットでしかお目にかかれないようなウイングを備えた後ろ姿はレーシングカーそのもの
▲GT3にもスワンネックのリアウイングは採用されているが、それよりも格段に大きく、強烈な存在感を放つ。リアウイングの上端はルーフよりも高い位置にある
▲メインウイングは固定式だが、油圧調節式のアッパーウイングエレメントを備えている。ドラッグリダクションシステムによって特定の条件下でウイングをフラットにできる
▲エアロダイナミクスの最適化を目指して採用されたのがワイドターボボディ。エアインテークパネルを備え、積極的にフロント部から空気の流れをコントロールするとともに、タイヤはフロント275/35ZR20、リア335/30ZR21のワイドサイズを収めている室内のイメージもまた、まんまレーシングカーだ。シートは2つ、リアにはカーボン製ロールケージが組んである。いかにも軽そうでしかも乗り心地の悪くないバケットシートに収まりボンテージプレイよろしくシートベルトを締める。息遣いが荒くなる。戦闘モードである。
ステアリングホイールには見慣れぬダイヤルが4つも備わっていた。ドライブモード、ESC/TC、PTV(電子制御LSD)、PASMである。さらに左側のステーにはポルシェの市販車初となるDRS(ドラッグリダクションシステム)の起動スイッチも備わった。インストルメンタルパネルを見れば、大きなタコメーターの左右にサスペンションの設定状況が表示され、センターディスプレイには各種のセッティング状態が映し出されている。オーナーはさぞかし大変だろう。この操作や確認方法を覚えるだけでも一苦労だ。
もっとも最新のゲームと同じで、これらの機能をじっくりと学ぶモチベーションさえあれば、徐々に使いこなせるようになることで、自分の腕前とともにサーキットのラップタイムも短くなっていくはず。そこにはゲーム感覚で楽しめる習熟のプロセスがあると言っていい。究極の趣味だ。
▲カーボン織目仕上げのCFRP製のフルバケットシートを運転席と助手席に採用。ヘッドレストには「GT3 RS」のレタリング刺しゅうが施されている。なお、オプションで電動18wayのアダプティブスポーツシートプラスも選べる
▲フロントシート後部にはロールケージがボディにボルトで固定されている。このロールケージは、追加料金なしのクラブスポーツパッケージではスチール製、有料オプションのヴァイザッハパッケージではCFRP製となる
▲インパネまわりのデザインはGT3を踏襲する。ブラックのレザー/Race-Texを採用したインテリアは、外観の厳つさと比べると運転席まわりは上質な雰囲気だが、ステアリングのダイヤルやメーターとディスプレイの表示がフツーではないことを強調する
▲4つも備わるダイヤル。右から順に「ドライブモード」「ESC/TC」「PTV」「PASM」となっているこれでもかと、911を速く走らせるための機能や装備がてんこ盛りである。エアロダイナミクスとシャシー&サスペンション制御の綿密な連動がGT3にはないRS独特の魅力だが、NAフラット6の心臓部もまたマニア垂ぜんの的である。4LエンジンはNAでついに525psに達したのだ。そこに専用のギア比をもつ7速PDKを組み合わせている。
ドライブモードをまずはノーマルにしてソーッと走り出す。シートを接着した分厚い鉄板にタイヤが付いているようなライドフィールは高性能911の証しだ。スタンダードなモデル(GT3)と比べると板の皮が一枚薄いような印象を持つ。そのぶん乗り心地は妙にガサつく。低速域のコンフォートさなど気にせずにセッティングされた感ありありだ。
ノーマルではなくスポーツモードにして足を固めた方が低速域でも乗り心地はかえっていい。鉄板フィールこそ力強さを増して硬質な突き上げを感じるが、それを強靭なサスペンションが受け止めてくれるため、不快なショックなどほぼ感じない。
見た目にも明らかなように、“下道”が得意な車ではない。平日の昼間、仕事で行き交う人々の視線も心なしか冷たいようだ。
高速道路に入る。90km/hを超えたあたりでようやく車もドライバーも落ち着き始める。ここでもスポーツモードがベターだ。ダウンフォースが最も強くなるデフォルトの空力セットでは、速度が上がっていくにつれて車体が沈み込む。路面に吸い付く。どんなコーナーでも速度を落とすことなくそのまま走っていけそうだ。ソリッド&フラットな感覚は量販(1000台以上)ロードカー史上最強ではないか。
加速フィールもまたGT3とは随分違った。早送りのマシンに乗っているかのようで、一心不乱に素早い操作が必要になってくる。フラット6は9000回転近くまであっけなく吹け上がり、パドルを使ってのアップシフトさえ慌ただしい。なるほど3ペダルのマニュアルギアボックスなぞもってのほか。
少し速度域の高くなったストレートで試しにDRSをオン。スーッと浮くように車体が前へ出て行く。見えないスリップストリームについたかのようだった。
もうこれ以上の感想文は公道を走っている限り、GT3 RSについては無理というもので、いつかはサーキットで……、と思いつつ再び街中を静々と走る。おとなしく走っていても禍々しいのか、やはり道ゆく人たちの視線は冷たい。
子供たちだけが喜んでくれたのが不幸中の幸いである。
▲大きな穴がうがたれたフロントフードにはフィンが設けられ、フロントバンパーはスポイラーが取り払われ、空気の流れを上下に分割するフロントスプリッターを装備。その造作はすべて機能性を追求した結果だ▼検索条件
ポルシェ 911 GT3× 全国ポルシェ 911(992型)の中古車市場は?

ポルシェ不動の主力モデルといえる911は、2019年に登場した992型で8世代目。世代が替わるたびに、走行性能はもちろんのこと、快適性も向上しており、ボディサイズの拡大と相まってGTカーとしての優れた資質を見せる。グレードの展開も豊富で、ベーシックモデルからハイパフォーマンスモデル、そして競技専用車両までラインナップ。中古車市場でも好みに応じた選択が可能なバラエティさも魅力。
2024年2月下旬時点で、中古車市場には180台程度が流通。価格帯は1450万~5000万円と、新車時からの相場下落はほぼしていない。その中でGT3系は20台ほどしか流通していない希少グレードで、車両本体価格も3300万円~となっている。GT3系を探しているのであれば、即断即決が必要となる。
▼検索条件
ポルシェ 911(992型)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●GT3 RS PDK
| 型式 | - | 最小回転半径 | -m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | RR | 全長×全幅×全高 | 4.58m×1.9m×1.32m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.46m |
| ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.58m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 1450kg |
| シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブラック、ホワイト、レーシングイエロー、ガーズレッド |
||
| オプション色 |
GTシルバーメタリック、シャークブルー、アークティックグレーメタリック、アイスグレーメタリック |
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| 掲載コメント |
※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
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| 型式 | - |
|---|---|
| 駆動方式 | RR |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | 7AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | ブラック、ホワイト、レーシングイエロー、ガーズレッド |
| オプション色 | GTシルバーメタリック、シャークブルー、アークティックグレーメタリック、アイスグレーメタリック |
| シート列数 | 1 |
| 乗車定員 | 2名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | -m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.58m×1.9m×1.32m |
| ホイール ベース |
2.46m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.58m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1450kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | ※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 水平対向6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | 64リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 3996cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 525ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
465(47.4)/6300 |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | 水平対向6気筒DOHC |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 3996cc |
| 最高出力 | 525ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
465(47.4)/6300 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 64リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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