【海外試乗】新型 ポルシェ パナメーラ|より快適な足を手に入れた、軽快でスポーティなラグジュアリーセダン
カテゴリー: ポルシェの試乗レポート
2024/04/08
▲2023年11月に発表された3代目となるスポーティなラグジュアリーセダン。走りの質感を向上させつつも、セダンらしいコンフォート性にも注力している。なお、国内でも予約を開始しており車両本体価格は1424万~2954万円となる注目のサスペンションは未体験のフラットさ
パナメーラが8年ぶりに3世代目へとフルモデルチェンジした。2009年にポルシェ初の4ドアサルーン(正確にはリアにハッチゲートがある)として初代がデビュー。およそ15年の歴史を重ねてきた。2019年にはポルシェ初のBEV「タイカン」がデビューしているが、同じ4ドアであるこの2つのモデルにはパワートレイン以外にどんな性格の違いがあるのか。そんなことに思いをはせながら、スペイン南部、アンダルシア州の州都セビリアで行われた新型パナメーラの国際試乗会に参加してきた。
▲フロントのナンバー上部にエアインテークが追加されるなど、シリーズの特徴を継承しつつよりスポーティなスタイルとなっている。こちらはベーシックグレードのパナメーラ
▲最新ブランドデザインを採用するインテリア。パッセンジャーディスプレイはオプションとなる試乗の出発地点である市内のホテルには、ベースモデルのパナメーラが用意されていた。
プラットッフォームは先代の「MSB」の改良版である「MSB w」だ。ボディサイズは全長5052mm、全幅1937mm、全高1423mm。ホイールベース2950mmで先代とほぼ変わらない。エクステリアでは、フェンダーの峰が911や718のように高くなり、運転席からの景色はさながらスポーツカーのようだ。4つのモジュールが特徴的なLEDヘッドライトのエッジが鋭くなり、全体的にシャープさが強調されている。ナンバープレートホルダーの上に新たに追加されたエアインレットは、先代とのわかりやすい識別点だ。ちなみに、ワゴン版である「スポーツツーリスモ」はこの3世代目では設定されないようだ。
インテリアはタイカンにはじまった最新のデザイントレンドを踏襲する。メーターはひさしのない自立型の12.6インチディスプレイで、オプションでヘッドアップディスプレイやパッセンジャーディスプレイも用意されている。オートマチックトランスミッションのセレクターレバーは、ステアリングの右側奥に移設された(右ハンドル仕様では逆の配置になる)。センターコンソールにはエアコンまわりの物理スイッチのみが残され、とてもスッキリとした印象になった。
リアシートは身長約180cmの大人でも十分にくつろげるスペースがある。ベースは4シーター仕様で、オプションで4+1席を選択することも可能。荷室容量は「パナメーラ/パナメーラ4」が494~1328L、「パナメーラ ターボ E-ハイブリッド」が421~1255L。後席は40:20:40の分割可倒式となっている。
パナメーラと四輪駆動のパナメーラ4に共通のエンジンは、2.9LのV6ターボ。ブーストアップなどの改良により先代比で23ps/50N・mアップの最高出力353ps/最大トルク500N・mを発揮。トランスミッションは8速PDKを組み合わせる。ホテルを出発して少し市街地を流すと、低速域でのPDKの変速の滑らかさ、素早さに驚いた。言われなければトルコンATかと思うほどスムーズだ。開発者に聞いてみたところ、どうやら新型では911と共通のものを使っているという。
乗り心地も良好。市街地の石畳の道でもショックを大幅に吸収してくれ、高速区間では抜群の直進安定性をもってひた走る。そして、ワインディングロードに入ると全長5m超の車であることを感じさせないくらい軽快に、それでいて操舵に対して意のままに動く。足回りには、ポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)を備える2チャンバー、2バルブ技術のエアサスペンションを標準装備する。これによってダンパーの伸び側と縮み側とを別々に制御し、コンフォートとスポーツとの振り幅を拡大している。
▲パフォーマンスフラッグシップとなるパナメーラ ターボ E-ハイブリッド。519ps/770N・mの4L V8ターボにモーターを組み合わせた総出力は680psを発揮する。リチウムイオンバッテリーの容量は25.9kWh午後のセッションは、セビリアの市街地から西へ約50kmのところにあるモンテブランコサーキットにて行われた。ここでは、最上位グレードとなるプラグインハイブリッドモデルの「ターボ E-ハイブリッド」に試乗する。総出力は680ps、トルクは930N・mを発揮。0→100km/h加速3.2秒はまさにスーパーカーだ。ちなみに、ポルシェはこの新型パナメーラからターボモデルのクレストをゴールドからメタリックグレーに変更する。その名はTurbonite(ターボナイト)。接尾語の「ite」は石の意味だ。
サーキットでは、その速さはもちろんだが、E-ハイブリッドモデルにオプション設定される新開発の「ポルシェアクティブライドサスペンション」の体験がメインだった。これは新しいアクティブショックアブソーバーに、前後アクスルのそれぞれに配置された電動式の油圧ポンプを接続したもので、ボディの動きに応じてダンパー内に瞬時に適性なオイル流量を発生させ、最大毎秒13回の姿勢制御が可能という。要はスタビライザーをなくして、四輪を独立して制御するものだ。油圧ポンプは400Vシステムによって駆動するため、E-ハイブリッドモデルのみの設定となっている。
このシステム装着車には、乗降性を高めるため車高を上下させる機能が備わる。ドアを開けると、瞬時に車高が55mm上がり、閉めればスンと下がる。あまりにも速く動くので驚いた(おそらく街中で使えば、多くの人の目を引くことになると思う)。そして走行中は走行モードダイヤルで「ハイブリッドモード」を選択すると起動する。すると、加速時のフロントリフトやブレーキング時のノーズダイブをなくし、コーナリング時にはまるでバイクが内側に倒れ込むように内輪側を沈みこませ外輪側をもち上げるアクティブチルトコントロールまでを駆使して常にボディを水平に保つ。テストで波板の上を50km/hで走行すると、スタンダードモデルでは上下の揺れがどんどん大きくなり乗員は大変な思いをするが、このシステム装着車はほとんど動かず何事もないかのように走る。パイロンスラロームなども試したが、これまで味わったことのない未体験のフラットさだった。
冒頭の疑問を開発者に投げかけてみたところ、「タイカンはスポーツカー、いわば4ドアの911です。そしてパナメーラはよりコンフォート性を高めたラグジュアリースポーツカーなのです」と答えた。コンフォートとスポーツのはざまであくなき技術の追求が続いている。
▲パナメーラ ターボ E-ハイブリッド。マトリクスLEDヘッドライトを標準装備、オプションとして照射位置を車線に合わせて変更する高解像度HDマトリクスLEDライティングシステムも用意される
▲パナメーラ ターボ E-ハイブリッド。ターボモデルのエンブレムやロゴにはTurbonite(ターボナイト)が用いられている
▲サイドのウインドウラインを一新し、よりセダンらしいデザインとなった
▲レザーだけでなく、Race-Texマイクロファイバーや市松模様のテキスタイルなど、レザーフリーな素材をオプションで用意する
▲後席は独立2座を標準とし、オプションで3座仕様も選択可能先代となるポルシェ パナメーラ(2代目)の中古車市場は?

2016年のモデルチェンジで登場した2代目。スポーツカーのパフォーマンスとラグジュアリーセダンの快適性を両立させる、スポーツカーブランドのラインナップにふさわしい4ドアセダン。ハイブリッドやターボなど多彩なキャラクターを揃えているのもポルシェらしい。
2024年4月前半時点で、中古車市場には140台ほどが流通。販売期間が長くグレードも多いため、価格帯は570万~2500万円と幅広い。グレードによる流通量の偏りも比較的少ない。
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