【試乗】ポルシェ 911 カレラT(992型)|意のままに扱える「本物」が詰まったスポーツモデル
2025/02/01
▲自動車テクノロジーライター松本英雄氏が、ポルシェ 911 カレラTに試乗した際のレポートをお届け公道で至高のよろこびを味わえる「カレラT」
ポルシェほどドライバーを高揚させる車はない。その中でも911は特別だ。
911には様々なオプションもあるし、エントリーモデルからハイスペックモデルの「GT3RS」まである。21世紀に入ってから私が乗った911で最高と感じたのは、最も簡素な911と最もハイパフォーマンスの911だ。しかもMTに尽きる。
公道でポルシェを走らせるのに、ラップタイムは必要ない。では、何が必要なのか?
それは意のままに走らせるハンドリングによって路面を捉えて、最適なシフトポジションとシフトワーク、そしてブレーキとアクセルのコントロールをすることだろう。これがよろこびになる瞬間である。
「PDK」はたしかにドライブしやすいし速いだろう。しかし、それはプログラムされたシフトスケジュールによって可能になるという依存型の走りだと感じてならない。もちろん異論もあると思うが。
しかし「カレラT」だけは、それらを超越した仕様といっていい。



「カレラT」は「カレラ」と「カレラS」の中間に位置したモデルだが、軽量化とMTモデル、そして専用のサスペンションセッティングであることが何よりもうれしい。
出力こそカレラ同様だが385馬力は十分すぎるスペックだ。


エンジン、ステアリングともにダイレクト感は抜群
水平対向6気筒は完全バランスのユニットであり、マウントの剛性も上げることができるのでとにかく出力によるボディの動きがソリッドでわかりやすい。
しかも軽量のクランクとフライホイールによって、レスポンスはこの上ない。これはMTだからこそ実感できるものである。
アイドリングの回転を維持しながら繊細なクラッチワークを心がけてスタートする。低回転域からよどみなく高回転域まで移行できるのがMTの醍醐味だ。


スポーツクラッチによって切れが抜群に良い。だからこそシフトも確実に意思をくみ取れる。これぞ速度を上げなくてもわかるスポーツカーの神髄といえよう。
ステアリングフィールもダイレクトかつ剛性感は強烈だ。そしてサスペンションの動きは、アライメント変化を起こさない領域で細かく動く。
簡単にできるチューニングではない。これこそポルシェが送り出した正真正銘の人馬一体のモデルといえよう。ヒール&トゥも自分に合わせてアジャストしてくれたのでは? と思わせるほどジャストフィットだ。
また、ブレーキのコントロール性は最近乗ったMTモデルの中で群を抜いて素晴らしいフィールである。ブレーキを踏みながらブリッピングによるヒールとトゥの別々のコントロールがしやすいレイアウトだ。これはブレーキがリニアな制動力だからこそできるものである。

911というモデル自体が、現在では成功者の証しのような存在になっている。だが、本当はドライビングを楽しめて走らせることが最大の目的ではないだろうか。
コスメティックな派手さも必要だろうが、ポルシェ本来の性能は意のままのドライビングを享受することができる性能なのだと思う。
価格では得られないよろこびは、自在に扱えるMTにあるのだとカレラTに試乗させてもらい改めて感じた。Fantastic! に尽きる。
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【試乗車 諸元・スペック表】
●カレラT(2人乗り)
| 型式 | 7BA-992NC1 | 最小回転半径 | 5.2m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | RR | 全長×全幅×全高 | 4.52m×1.85m×1.3m |
| ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.45m |
| ミッション | 7MT | 前トレッド/後トレッド | 1.59m/1.56m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | △ | 車両重量 | 1545kg |
| シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ブラック、ホワイト、ガーズレッド |
||
| オプション色 |
ジェットブラックメタリック、ゲンチアンブルーメタリック、GTシルバーメタリック、カーマインレッド、クレヨン、アイスグレーメタリック、ルビースターネオ |
||
| 掲載コメント |
※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
||
| 型式 | 7BA-992NC1 |
|---|---|
| 駆動方式 | RR |
| ドア数 | 2 |
| ミッション | 7MT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | △ |
| 標準色 | ブラック、ホワイト、ガーズレッド |
| オプション色 | ジェットブラックメタリック、ゲンチアンブルーメタリック、GTシルバーメタリック、カーマインレッド、クレヨン、アイスグレーメタリック、ルビースターネオ |
| シート列数 | 1 |
| 乗車定員 | 2名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.2m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.52m×1.85m×1.3m |
| ホイール ベース |
2.45m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.59m/1.56m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1545kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | ※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 水平対向6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 64リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 2981cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 385ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/5000 |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | 水平対向6気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 2981cc |
| 最高出力 | 385ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/5000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 64リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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