【試乗】マツダ MAZDA3ファストバックとミニ ミニ ジョン・クーパー・ワークス|和洋ハッチバックに乗って感じた、対極に思えるモデルでも共通点があるのだと
カテゴリー: マツダの試乗レポート
2020/08/11
▲国は違えど同じような道をもつ国同士の車に試乗した。自動車テクノロジーライター・松本英雄がその様子をレポートする同じような道をもつ日本・英国製のハッチバックの車作りの違いとは?
かつて日本は、イギリスから援助を受けていた時代に「東洋の英国」と呼ばれたことがあった。日本は英国と同じ島国として国を守っている。
英国は丘が多く、曲がりくねったカントリーロードも、街中の道路も、なんとなくこじんまりとしていて、小型の車が似合う国である。
日本も同様に、タイトで細かく曲がりくねっている道が多いため、大きな車は便利とはいいがたい。
英国の道と似た日本であるが、車にはどのような違いがあるのか?
偶然にもマツダ MAZDA3とミニ ミニ ジョン・クーパー・ワークスという、和洋のハッチバックに乗る機会が訪れた。しかも、両車ともにMTモデルだ。
そこで、改めてこの2台に試乗し、和洋の車作りの違いについて感じてみることにしよう。


MAZDA3ファストバックはマイルドで大人のハッチバック

試乗するMAZDA3ファストバックのエンジンは、ガソリン圧縮点火を独自の点火コントロールによって実現した、スカイアクティブXという世界初の技術を採用している。
簡単に言うと、ガソリンとディーゼルの良い部分を取り混ぜたシステムで、ディーゼルエンジンのように火種がまったくない、ということではない。
小さな火種をコントロールして、燃料を無駄なく燃焼させることで、燃費性能と出力を高めている。
▲スカイアクティブX技術を搭載したガソリンエンジンMAZDA3ファストバックに試乗してみると、ワインディングの上りなどは、ハイブリッドシステムが組み合わされているので、スポーティなパフォーマンスを提供してくれた。
しかし、私がMAZDA3ファストバックで最も感じたかったのは、ワインディングよりも高速時の静粛性と燃費、加速時のパフォーマンスだ。
実際に高速道路に乗ってみると、シフトとアクセルの関係が非常にスムーズで、とても滑らかなMT車に仕上がっている。この特性は車の姿勢はもとより、同乗者がよい乗り心地と感じる部分である。
トルクステアも抑えられ、大人のMTハッチバックといったところだ。
▲内装も高級感漂う大人の佇まいだ保土ヶ谷バイパスから東名に向かう。中高速の静粛性は極めて高い。そしてゆったりとした乗り味も、ロングディスタンスに良さそうだ。大井松田のマウンテン区間も安心感がある。
こういうしなやかなセッティングは、路面が濡れていても安心感がある。
世界各地に通用するMAZDA3ファストバックのサスペンションとシャシーの性能、それに特別なエンジンの関係を知ることができた。
ハードな乗り心地で腕を試されるミニJCW

では、イギリスが誇るホットハッチのミニJCWに乗り替えてみよう。
乗ってすぐ感じたのは、ハードこの上ないサスペンションセッティングだ。キュンキュンスイスイと街中から峠まで、ダイレクトなハンドリングを提供する。
しっかりとステアリングを握らずに、アクセルを踏んだものならば、トルクステアでどこ行くかわからないようなじゃじゃ馬である。
高速のタイトなコーナリングは、路面にピタリと吸い付く。重めのステアリングは高速コーナで一度舵角を決めれば、後はハンドリングを信じて曲がればいい。
そうした一体感を生み出すのがMT車の特徴である。ヒール&トーでのシフトダウンも気持ちがいい。
エンジンも重厚感があって国産車にはないエグゾーストノートだ。箱形形状のミニであるが、空力は思った以上によくスタビリティも高い。
▲揺さぶられる体を包むシートのホールド性は良好だ
▲231psを発揮する直4ターボユニットしかし、正直言って高速をずっと走っているのは疲れる。
眠気覚ましに新東名を御殿場で下り、箱根を経由し山越えをした。やはりタイトな道が最高にマッチする英国車である。
ドイツ車と持ち味は違うが、個性が際立つMTであることには間違いない。
自分の腕を確かめたいなら、MAZDA3ファストバックよりも断然JCWの6MTだろう。やんちゃな車を乗りこなし、重厚感があっていいモノを所有していることが、ステイタスとなるのだ。
残念なことにJCWの6MTは、カタログモデルから消滅してしまった。高級FFハイパフォーマンス英国車を乗りこなしたいならば、中古車でしか手に入らないので調べてみるのもいい。
乗り味は対極な両車だが、車作りには共通する部分もある
さて、今回乗った2台を振り返ってみよう。
MAZDA3ファストバックは、ステアリングが軽く取り回しが良好。乗り心地も大人な雰囲気で利便性に富んでいると言える。これは万人に受け、オールラウンドに使えるといった日本車らしい味付けであった。
一方、ミニJCWは少々ステアリングが重く、コーナーもびしっと曲がるなんとも英国の小型車らしい、性能重視な作り方がされていた。英国ではストップ&ゴーが少なく、スピードレンジが高いのでこのような作りになっているのだ。
乗り心地は両極端な2台ではあったが、タイトな道をスイスイと走れてしまうという、車作りにおいて共通する点もあった。
圧倒的に支持率が少ないMTにも、情熱をもった専用のセッティングを行っているのだ、ということがわかった。これは素直に嬉しく思う点であった。
MTは、エンジンなどの素性がよくわかる。これを機にMT車に興味をもっていただければ幸いだ。
【試乗車 諸元・スペック表】
●MAZDA3ファストバック 2.0 X Lパッケージ
| 型式 | 3AA-BPEP | 最小回転半径 | 5.3m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.46m×1.8m×1.44m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.73m |
| ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.58m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1420kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
||
| オプション色 |
ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 3AA-BPEP |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 6MT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ |
| オプション色 | ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.3m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.46m×1.8m×1.44m |
| ホイール ベース |
2.73m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.58m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 1.82m×1.49m×1.16m |
| 車両重量 | 1420kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.14m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | HF-VPH | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | スーパーチャージャー | 燃料タンク容量 | 51リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1997cc | 燃費(WLTCモード) |
17.4km/L
└市街地:14.1km/L └郊外:17.6km/L └高速:19.2km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +10%達成車 |
||
| 最高出力 | 180ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
224(22.8)/3000 |
| エンジン型式 | HF-VPH |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | スーパーチャージャー |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1997cc |
| 最高出力 | 180ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
224(22.8)/3000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 51リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 17.4km/L
└市街地:14.1km/L └郊外: 17.6km/L └高速: 19.2km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +10%達成車 |
●ミニ ジョン・クーパー・ワークス 3ドア
| 型式 | CBA-XRJCWM | 最小回転半径 | 5.3m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 3.88m×1.73m×1.43m |
| ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.5m |
| ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | -m/-m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1260kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ペッパーホワイト、チリレッド |
||
| オプション色 |
ムーンウォークグレー、ミッドナイトブラック、サンダーグレー、ホワイトシルバー、レベルグリーン、ホワイトシルバーメタリック、スターライトブルー、ソラリスオレンジ、エメラルドグレー、ラピスラグジュアリーブルー |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | CBA-XRJCWM |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 3 |
| ミッション | 6MT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ペッパーホワイト、チリレッド |
| オプション色 | ムーンウォークグレー、ミッドナイトブラック、サンダーグレー、ホワイトシルバー、レベルグリーン、ホワイトシルバーメタリック、スターライトブルー、ソラリスオレンジ、エメラルドグレー、ラピスラグジュアリーブルー |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 4名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.3m |
| 全長×全幅× 全高 |
3.88m×1.73m×1.43m |
| ホイール ベース |
2.5m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
-m/-m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1260kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | B48A20B | 環境対策エンジン | H17年基準 ☆☆☆ |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 44リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 14.5km/L |
| 総排気量 | 1998cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 231ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
320(32.6)/4800 |
| エンジン型式 | B48A20B |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1998cc |
| 最高出力 | 231ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
320(32.6)/4800 |
| 環境対策エンジン | H17年基準 ☆☆☆ |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 44リットル |
| 燃費(JC08モード) | 14.5km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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