バイト先のガソスタで一目惚れ!? 走る楽しさも交友関係も広げてくれるトヨタ 86
2025/09/08

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
ガソリンスタンドにやってきたお客さんの86に一目ぼれ!
市川晃さんが「乗ることが運命だった」と感じる車――トヨタ 86(ZN6)に出合ったのは偶然のことだった。
高校卒業後、市川さんはガソリンスタンドでアルバイトをするようになった。当時乗っていたのはスズキ ワゴンR。もちろん車は好きだったが、ワゴンRはそこまでこだわっていたわけではなかった。
ある日、たまたま給油に来た86を見て一目ぼれ。その86はガソリンスタンドに時々来るようになり、市川さんは働きながらいつも目で追っていたそうだ。しばらくして市川さんは思い切ってオーナーに話しかけてみた。
「この86、めちゃめちゃカッコいいですね」
これがきっかけで、オーナーが給油しに来たときなどに挨拶をするようになった。オーナーとはだんだんと仲良くなり、仕事が終わった後に車で遊びに行くようにもなった。一目ぼれした86の助手席で軽快な走りを堪能し、86に対する憧れはどんどん大きくなっていったという。
「86にほれたいちばんの決め手は顔つきです。そして休日に長野県・佐久の峠に連れて行ってもらって、走りにもほれ込みました。もともとFRスポーツに対する漠然とした憧れは持っていていつか乗ってみたいなとは思っていたのですが、86の気持ちよさを知り、『俺も絶対に乗る!』と心に決めたんです」

そこからの市川さんの行動は早かった。親に頭を下げて購入資金を借り、すぐに中古車を探し始めた。そして走行距離が3万8000kmという比較的少ない前期型の86 GTを見つけた。その中古車は仲良くなったオーナーと同じクリスタルホワイトパールだった。一目ぼれした仕様とはいえ、友人と同じ色の車に乗ることに抵抗はなかったのだろうか。
「僕はまったく逆の考え方で、『86と言ったらこの色しかない!』と思っていたので、条件のいいクリスタルホワイトパールの中古車が見つかったのは本当にうれしかったです。友達も『よかったじゃん』と言ってくれました」
市川さんが急いで行動した理由は憧れの86に一刻も早く乗りたかったからだが、実はもうひとつ理由がある。それはナンバープレート。市川さんが住んでいるエリアは2025年5月からご当地ナンバーである「南信州」に変わることが決まっていた。市川さんはそれが嫌で、「松本」ナンバーが取れる間にどうしても車が欲しかったのだという。親に無理を言ってお金を貸してもらったのもこれが理由だった。
晴れて86が市川さんの手元にやってきたのは2024年10月。そして話を伺った2025年6月の時点で走行距離は5万8000kmを超えていた。納車から8ヵ月で走った距離は2万km。かなりのハイペースで乗っていることになる。
「納車されたときはうれしいを通り越して感動しました。仕事をしている時間以外は86と一緒に過ごしたいと思って、通勤や街乗りはもちろん、仕事が終わった後に走りに行ったり、週末は遠出をしたり。カーライフを思い切り楽しんでいます。峠とかにも行きますが、正直に言ってまだ強さの方が大きいです。早く運転がうまくなりたいですね。でも、86に乗っていること自体が楽しいので、本気で峠を攻めようという感じにはなっていません」

市川さんは購入後に、フェンダーフィンや、マフラーなどを装着し、ステアリングも交換。
「実はこれ、友達の86と同じ仕様にしたんですよ。完全にパクりました(笑)。だって僕は普通の86ではなく、友達が乗っていた86に一目ぼれしたから。それに可能な限り寄せていきたいと思ったんです」

変な質問だけど……もしかして恋してる? と冗談で聞くと、「恋ではなくあくまで友情ですが、友達の86には完全にほれました。真似するなと言われなくて本当によかったです」と笑う。
86に乗ってから車を通して交友関係が広がった。同じ86乗りはもちろん、ロードスター乗りともお互いの車の良さやいじりたい部分などの情報交換をする機会が増えたという。この取材でも撮影の準備をしている短い時間で、市川さんは初対面のオーナーに話しかけていろいろと情報交換をしている。
本来は人見知りで、初対面の人に自分から話しかけたりするようなタイプではなかったという。情熱を捧げられるものが見つかり、性格まで変わった市川さん。そこまで入れ込める86は市川さんにとってどんな存在なのだろう。
「一言で表すなら、家族です。一生離れられない存在になっていますから」
乗り始めてまだ1年もたっていないが、すべてを注ぎ込む市川さんの思いに、86もしっかり応えてくれているはずだ。

▼検索条件
トヨタ 86(初代)
市川晃さんのマイカーレビュー
トヨタ 86(初代)
●年間走行距離/2.5万km
●マイカーの好きなところ/走りだけでなくカスタムが楽しめるところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/快適装備がゼロ
●どんな人にオススメしたい?/86のデザインが気に入った人。スポーツカー好き

自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL
【関連リンク】
この記事で紹介している物件
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
少しの不便さが気にならないほどデザインがいい! 90年代のカルチャーを体現するゴルフカブリオ(初代)
「憧れはハチロク」という彼女が乗るのはシックな内装のJA11型ジムニー
4ドアのGT-R仕様!? 若者が「令和のデートカー」として選んだ日産 スカイライン(R32型)
「勢いで買っちゃった」ハタチのファーストカーは日産 スカイラインGT-R(32型)
「九州の人気観光地ドライブならココ!」プジョー 3008で行く“旅のプロがオススメ”の絶景・ご当地グルメ・温泉満喫ツアー
のんちゃんRのR35 GT-Rは「私にいろんな縁を運んで来てくれる」ちょっと派手な最高の相棒
コスモオーナーが掲げる自動車関白宣言。「俺より先に逝くのは許さない!」
【神秘を巡る1500km旅】ルノー アルカナ、出雲へ行く
最新型ノアとヴォクシーの違いは? 買うならどっち? 新車&中古車価格は?トヨタ4代目ノアヴォクを徹底比較!
ジープ アベンジャーをマンガで解説! 人気の輸入コンパクトEVはどんな車?【人気車ゼミ】