パナメーラ ▲ポルシェ初の4ドアセダンとして2009年に登場した初代ポルシェ パナメーラ

4ドアボディと911並みの超スポーツ性能が悪魔合体?

2009年に登場した初代ポルシェ パナメーラは、それまでは一貫してスポーツカーを製造してきたドイツのポルシェ社が初めて作った4ドアセダン。

ポルシェ自身は初代パナメーラのキャラクターを「4ドアグランツーリスモ」「4シータースポーツカー」「4ドア4シーター・スポーツクーペ」など、様々なフレーズを使って説明していましたが、要するに5m級の4ドアボディに、ポルシェならではの超絶スポーツ走行性能を組み合わせたという、それまでなかったカテゴリーの1台です。
 

パナメーラ▲全長5mに迫る4ドア車ゆえ、車内はとにかく広大で、特に後席の余裕は十分以上
 

そんな初代ポルシェ パナメーラは、最安グレードでも新車価格1021万円だった超高級車ですが、その中古車平均価格は少しずつ下降傾向にあり、2025年6月時点で317万円までダウン。そして個別の物件を見てみると、走行距離6万㎞以下の個体であっても総額約250万円から探せる状況になっています。

この記事では、そのように「現実的なプライス」となってきた初代ポルシェ パナメーラの中古車のお得な買い方とオススメグレードについて、集中的に研究してまいります。
 

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ポルシェ パナメーラ(初代)
 

モデル概要:全長5mに迫るサイズのスーパー4ドアグランツーリスモ

日本では2009年3月に予約受注がスタートした初代ポルシェ パナメーラは、全長4970mmの4ドアボディにテールゲートを組み合わせた4ドアセダン。スリーサイズは全長4970mm×全幅1931mm×全高1418mmとなかなかの巨体ですが、いざ走らせれば「ポルシェ 911」にも近い運動性能を披露するという1台です。

当初の日本仕様のパワーユニットは、S PDKと4S PDK 4WDに搭載されたのが最高出力400psの4.8L V8自然吸気で、ターボ PDK 4WDは同500psの4.8L V8ターボを搭載。トランスミッションはいずれも7速PDK(DCT)。駆動方式はS PDKがFRとなるものの、他の2グレードはいずれもフルタイム4WDです。
 

パナメーラ▲こちらが初代ポルシェ パナメーラ
パナメーラ▲便宜上「4ドアセダン」と記しているが、厳密には、リアの荷物スペースは独立式ではなくテールゲートを開けてアクセスするタイプゆえ「5ドア」ということになる
パナメーラ▲初代パナメーラの運転席まわり。シフトレバーを取り囲むように、走行モード選択ボタンや車高調整ボタンなど、多くのスイッチ類がずらりと並んでいる
パナメーラ▲リアシートはゆったりとした独立式。それゆえ乗車定員は5名ではなく4名となる
 

翌2010年2月には最高出力300psのベーシックな3.6L V6自然吸気ユニットを搭載する3.6および3.6 PDKと、その4WD版である4 PDK 4WDを追加。そしてその後も2011年には最強グレードのターボS PDK 4WD(4.8L V8ツインターボ/最高出力550ps)と、自然吸気エンジンの最強グレードであるGTS PDK 4WD(4.8L V8自然吸気/最高出力430ps)を追加。

そして2013年4月にはマイナーチェンジを実施し、デザイン変更や装備内容のブラッシュアップを行うとともに、S PDKと4S PDK 4WDのパワーユニットを刷新。それまで4.8L V8自然吸気だった両グレードのエンジンは、マイナーチェンジを機に最高出力420psの3L V6ツインターボに変更されました。
 

パナメーラ▲より後方に傾斜したフロントウインドウや大型化したエアインテークなどを採用した2013年4月以降の後期型
 

これ以降も2014年4月にプラグインハイブリッド車であるS eハイブリッドを追加するなどしながら、2代目パナメーラが登場する2016年7月まで販売が続けられた――というのが、初代ポルシェ パナメーラの大まかなモデル概要です。
 

 

中古車状況:平均価格はこの1年で50万円ほど順調にダウン

初代ポルシェ パナメーラの中古車平均価格は、2024年7月時点で368万円であったのに対し、2025年6月時点で317万円に。急激かつ大幅に下がっているわけではなく、中古車の価格推移としてはある意味望ましい「順調に少しずつダウンしている」という形になっています。

個別の物件を見てみると、最安物件の価格は総額約150万円で、走行6万km以下の物件でも総額250万円付近から見つけることができる状況になっています。
 

パナメーラ
 

この1年間の中古車流通量は、増加傾向というよりは約150~180台の間を行き来している状態ですが、それでも2025年6月時点の延べ掲載台数は166台となっていますので、「選びやすさ」については特に問題ないと考えていいでしょう。

それでは次章以降、具体的な狙い方とオススメグレードを見てまいります。
 

パナメーラ
 
 

中古車のオススメ①:価格重視で選ぶなら総額200万円台の3.6 PDK

価格重視で、つまりなるべく安価な予算で初代ポルシェ パナメーラを入手したいと考える場合、想定すべき価格帯は、2025年6月時点での中古車平均価格317万円よりもいくぶんお安い「総額100万円台」または「総額200万円台」ということになるでしょう。

そして結論から申し上げると、この価格帯でのオススメグレードは最高出力300psの3.6L V6自然吸気エンジンを搭載する3.6 PDKで、それを総額200万円台で狙ってみるのが得策となります。
 

パナメーラ▲初代パナメーラのエントリーグレードに相当する3.6 PDK
 

総額100万円台から200万円台の予算でも様々なグレードを狙うことはできますが、3.6 PDK以外の流通量はかなり少なめです。それでも、4.8LのV8自然吸気エンジンを搭載する前期型のS PDKまたは4S PDK 4WDを見つけることはできるのですが、この価格帯で狙えるS PDKまたは4S PDK 4WDは、走行距離がけっこう延びてしまっている場合が多いものです。

そしてS PDKまたは4S PDK 4WDはオプションのエアサスペンションが装着されている場合が多く、これは、壊れてしまうと修理にけっこうなお金がかかる代物です。その点、3.6 PDKはシンプルな金属バネのサスペンションを採用していますので、余計な出費がかさむリスクを減らすことができます。

ということで「狙い目は3.6 PDK」ということになるのですが、総額100万円台の3.6 PDKは、かなりの多走行物件である場合がほとんどです。中古車のコンディションは走行距離だけで判断できるものではありませんが、やはり多走行物件の中からナイスな1台を見つけるのは至難の業というか、プロ並みのテクが必要です。

そのため、ここはシンプルに「総額200万円台で、なるべく状態と整備履歴が良いものを探す」というのが得策となるのです。
 

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ポルシェ パナメーラ(初代)×3.6 PDK×総額300万円以下
 

中古車のオススメ②:もうちょい足せるなら総額300万円台の後期型3.6 PDK

総額200万円台の3.6 PDKは、吟味を重ねたうえで選ぶのであれば悪くない選択かと思いますが、正直、予算をもうひと声増やして「総額300万円台」で探してみる方が、より満足のいく結果となる場合が多いでしょう。

まず総額200万円台ではなく300万円台で物事を考えてみると、選べる物件の走行距離は確実に短くなります。もちろん実際の走行距離は物件によりけりで、前述したとおり、中古車のコンディションというのは走行距離だけでは測れないものです。とはいえ、やはり走行距離は短めであるほうが望ましいのは確かであり、また一般的に内装のコンディションも走行距離短めな物件の方が、そうではない物件よりも良好な場合が多いといえます。

そして総額300万円台の予算であれば、同じ3.6 PDKでも、2013年4月以降の後期型を見つけることができるようになります。
 

パナメーラ▲リアまわりのデザインが全体的に変更された後期型3.6 PDK
 

3.6 PDKの場合、後期型であってもエンジンは前期型と同一ですが、内外装デザインは変更されており、さらにバイキセノンヘッドライトやマルチファンクションステアリングホイール、オートマチックテールゲートなどが全車標準採用となったのもポイントです。

「価格重視であると同時に、コンディションも重視したい」と考える人は総額300万円台の予算をイメージしながら、後期型で状態&整備履歴良好な3.6 PDKをチェックしてみてください。
 

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ポルシェ パナメーラ(初代)×後期型(2013年4月~)×3.6 PDK×総額400万円以下
 

中古車のオススメ③:モアパワーを望むなら後期型S PDKまたは4S PDK 4WD

ここまでは、シンプルな金属バネのサスペンションが標準となる3.6 PDK(最高出力300psの3L V6自然吸気ンジン搭載グレード)を推してまいりました。その方向感は決して的外れではないと考えますが、とはいえ、「せっかくパナメーラを買うのであれば、やはりもっと強力なエンジンの魅力を堪能したい!」と考える人もいらっしゃるでしょう。

もしもそう考えるのであれば、狙い目は総額320万~370万円付近の後期型S PDKまたは4S PDK 4WDです。
 

パナメーラ▲こちらが3L V6ツインターボに変更された2013年4月以降の後期型4S PDK 4WD
 

前述したとおりS PDKおよび4S PDK 4WDの前期型は、最高出力400psの4.8L V8自然吸気ユニットを搭載していましたが、2013年4月以降の後期型は3LにダウンサイジングされたV6ツインターボユニット(最高出力420ps)に変更されました。

この3L V6ツインターボが非常に強力かつ痛快なユニットであることに加え、排気量が4.8Lから3Lになったことで、いわゆる自動車税は大幅に安く済むのです。そして中古車価格も前述のとおり総額320万~370万円付近と、この種の超プレミアムな車としてはかなり手頃な水準です。

後期型のS PDKまたは4S PDK 4WDには「中古車の流通量が極端に少ない」という弱点もあるのですが、もしもご自宅からそう遠くない場所で状態の良い後期型S PDKまたは4S PDK 4WDが見つかったならば、それはこのうえなく素敵な買い物になることでしょう。
 

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ポルシェ パナメーラ(初代)×後期型(2013年4月~)×S PDK×総額400万円以下

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ポルシェ パナメーラ(初代)×後期型(2013年4月~)×4S PDK 4WD×総額400万円以下

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ポルシェ パナメーラ(初代)
文/伊達軍曹 写真/ポルシェ
※記事内の情報は2025年7月24日現在のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。