Q3 ▲新型となる3代目のアウディ Q3が公開されましたが、日本では現行型として販売され続ける2代目も、まだまだ十分以上に魅力的な存在。そんな2代目アウディ Q3の中古車状況は今、どうなっているのでしょうか? あらためて狙い方を考えてみましょう!

アグレッシブな造形に変わる3代目も魅力的ではあるが

人気コンパクトSUV「アウディQ3」の新型が2025年6月、本国で初公開されました。

新型Q3はこれまで以上に筋肉質でダイナミックな造形へと変貌し、ガソリンターボエンジンや48Vマイルドハイブリッド機構付きエンジンの他、プラグインハイブリッドがラインナップされたことも話題となっています。
 

Q3▲こちらが2025年6月16日に世界初公開された3代目アウディ Q3。欧州では2025年10月に発売される予定だが、日本市場への導入時期は未定
 

そんな新型Q3のことも気にならないではないのですが、日本でも欧州でもまだまだ現役である2代目アウディ Q3の中古車状況は今、どうなっているのでしょうか?

そのモデル概要をあらためて振り返ってみるとともに、直近の「上手な狙い方」を検討してみることにしましょう。
 

▼検索条件

アウディ Q3(2代目)
 

モデル概要:全長4.5m級のプレミアムコンパクトSUV

2代目アウディ Q3は、2020年8月に登場したコンパクトSUV。ボディサイズは全長4490mm×全幅1840mm×全高1610mmで、ホイールベースは先代比で75mm延長。その分だけ、居住空間は従来型以上に余裕あるものとなっています。

リアシートは前後スライドやリクライニングが可能で、荷室容量は5人乗車時で530Lという十分な数値。リアシートを格納すれば最大1525Lまで拡大可能となり、フロア下にリアパーセルシェルフ(キャビンと荷室の隔壁)を格納することができます。
 

Q3▲こちらが2代目アウディ Q3
Q3▲リアコンビネーションランプはLED方式で、ヘッドランプと対になるデザインが採用されている
Q3▲3本スポークのレザーマルチファンクションステアリングやバーチャルコックピット、MMIナビゲーションなどは全車標準装備
Q3▲リアの3分割可倒式シートは前後調整とリクライニングが可能
Q3▲荷室容量は5名乗車時でも530Lと、十分なスペースが確保されている
 

当初のパワーユニットは、「35 TFSI」に搭載された最高出力150ps/最大トルク250N・mの1.5L直4ガソリンターボと、「35 TDI」に搭載された同150ps/同340N・mの2L直4ディーゼルターボの2種類。トランスミッションはともに7速Sトロニック(DCT)で、駆動方式は「35 TFSI」がFF、「35 TDI」がフルタイム4WDとなります。

2024年12月にはディーゼルターボエンジン搭載モデルのアップデートを行い、それまでの「35 TDIクワトロ」に代えて「40 TDIクワトロ」を導入。こちらの2Lディーゼルターボエンジンは前期型よりも43psおよび60N・m強力な最高出力193ps/最大トルク400N・mに変更されています。
 

Q3▲2代目アウディ Q3公道試乗時の様子
 
 

中古車状況:平均支払総額は横ばいだが、流通量は順調に増加中

2023年中は比較的順調な下落ペースを維持していた2代目アウディ Q3の中古車平均支払総額ですが、2024年以降は一時上昇傾向に。その後再びダウントレンドに入り、直近は「400万円ちょい」といった水準で停滞しています。

しかしながらこれは平均支払総額ですので、実際の市場では総額200万円台後半から300万円台前半の物件も多数流通しています。

クラウンクロスオーバー▲2024年7月~2025年6月までの中古車支払い総額推移
 

また、延べ掲載台数は2025年に入ってから順調に増加しており、まもなく300台を突破しそうな勢い。

そのため2代目アウディ Q3の中古車状況は、総じて「決して爆安ではないが、比較的狙いやすい状況ではある」と言えるでしょう。
 

クラウンクロスオーバー▲2024年7月~2025年6月までの延べ掲載台数推移
 
 

中古車のオススメ①:価格重視で選ぶなら35 TFSI アドバンスト
想定予算:総額270万~320万円

価格重視で、つまりなるべく安価な予算で2代目アウディ Q3を入手したいと考える場合は、総額270万~320万円付近の価格帯がターゲット。このゾーンで、まずまずいい感じの物件が40台ほど流通しています。

2代目Q3としては格安といえる総額260万~320万円のゾーンでも様々なグレードを狙うことはできますが、2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載する35 TDI系の流通量は若干少なめで、この価格帯でのメインは最高出力150ps/最大トルク250N・mの1.5L直4ガソリンターボエンジンを搭載する35 TFSI系になります。
 

Q3▲総額300万円付近の価格帯で中心になるのは、2Lのガソリンターボエンジンを搭載する35 TFSI系
 

そして35 TFSI系は「35 TFSI(ベースグレード)」と「35 TFSI アドバンスト(上級グレード)」「35 TFSI Sライン(スポーティな最上級グレード)」の3種類に分かれているのですが、この価格帯では、ベースグレードとSラインの流通量はかなり希少。そのため実際は、上級グレード(というか事実上の標準グレード)である「35 TFSI アドバンスト」の一択になります。

35 TFSI Sラインと比べた場合の35 TFSI アドバンストは、「合成皮革のスポーツシートなど、スポーティな装備は付いていない」というのが若干の弱点にはなりますが、車の基本に関わる部分で35 TFSI Sラインよりも劣っているのは、「アウディドライブセレクト(モードに応じてエンジンやギアチェンジの特性、パワーステアリングのアシスト量などが変化する機構)」が標準装備ではないことぐらい。

さらに、「ベーシックパッケージ」というセットオプションが付いている物件であればアウディドライブセレクト付きとなり、このパッケージが付いている中古車も多いため、実質的には「35 TFSI アドバンストでも何ら不満なし」となる場合が多いでしょう。

そんな35 TFSIアドバンストは、総額260万~320万円付近のゾーンでも走行2万km台程度の物件を普通に見つけることが可能。なるべく安価に2代目アウディ Q3を入手したい人にとっては、かなり悪くない選択肢であるはずです。
 

▼検索条件

アウディ Q3(2代目)× 35 TFSI アドバンスト
 

中古車のオススメ②:「クワトロ」狙いなら35 TDI クワトロ アドバンストまたはSライン
想定予算:総額290万~390万円

フルタイム4WDの2代目アウディ Q3を狙いたい場合は、2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載する35 TDI クワトロ系または後期型である40 TDIクワトロ系がターゲットになります。

とはいえ、2024年12月の一部仕様変更で誕生した40 TDI クワトロ系は中古車の流通量がまだきわめて少ないため、実質的には前期型である35 TDI クワトロ アドバンストまたは35 TDI クワトロ Sラインの二択になります。
 

Q3▲2代目Q3の場合、アウディ独自のフルタイム4WDシステム「クワトロ」はディーゼルターボ車のみに採用されている
 

35 TDI クワトロ アドバンストと35 TDI クワトロ Sラインの違いは、ガソリンターボエンジン搭載グレードの場合と同じく「スポーティな装備類の有無」であり、必要な装備は両グレードとも普通に充実しています。そのため、どちらを選ぶかは好みと予算の問題でしかありません。

流通量はどちらも同じぐらいであり、中古車価格も、両者ともおおむね同じぐらい。新車価格が高かったSラインの方がアドバンストより若干高いという傾向はありますが、大差はありません。

それでも「35 TDI クワトロ アドバンストは総額300万円前半が狙い目で、35 TDI クワトロ Sラインは総額300万円半ばが狙い目」という違いはありますので、予算的に安価であることを重視したいのであれば、選ぶべきは35 TDI クワトロ アドバンストでしょう。

しかし、このぐらいの価格帯の輸入車を狙う場合は「多少予算をプラスしてでも自分好みの1台を買った方が、後々の総合的な満足度は高くなる」ということもしばしばあります。そのため、もしもあなたが「スポーティな感じ」を好む人であるならば、少し高めであることを承知で35 TDI クワトロ Sラインを狙ってみるのも大いにアリです。
 

▼検索条件

アウディ Q3(2代目)× 35 TDI クワトロ アドバンスト

▼検索条件

アウディ Q3(2代目)× 35 TDI クワトロ Sライン
 

中古車のオススメ③:走行1万km以下の新車に近い中古車を探す
想定予算:総額320万~560万円

2代目アウディ Q3の特徴のひとつに「超低走行物件の数が多い」というのがあります。

2025年7月下旬現在、2代目Q3の中古車は約220台が流通していますが、そのうちの約120台、つまり約55%が「走行1万km以下」なのです。そういった、ほとんど新車(と言えなくもない)中古車を、パッケージオプションを付けた場合の新車価格よりも断然お安い予算で狙ってみるというのも、なかなか悪くない話です。
 

Q3▲流通全体の6割近くが走行1万km以下となる2代目アウディ Q3。価格次第ではかなりお買い得かも
 

走行1万km以下の2代目アウディ Q3の中古車価格は、もちろん個体により千差万別ですが、グレードごとの大まかな傾向は下記のとおりです。

  流通価格帯(総額) 注目価格帯(総額) 流通量
35 TFSI アドバンスト 320万~510万円 360万円前後 多い
35 TFSI Sライン 400万~570万円 440万円前後 多い
35 TDIクワトロ アドバンスト 390万~500万円 450万円前後 少なめ
35 TDIクワトロ Sライン 470万~560万円 480万円前後 まずまず
40 TDIクワトロ Sライン 510万~550万円 - 希少
  流通価格帯(総額) 注目価格帯(総額) 流通量
35 TFSI アドバンスト 320万~510万円 360万円前後 多い
35 TFSI Sライン 400万~570万円 440万円前後 多い
35 TDIクワトロ アドバンスト< 390万~500万円 450万円前後 少なめ
35 TDIクワトロ Sライン 470万~560万円 480万円前後 まずまず
40 TDIクワトロ Sライン 510万~550万円 - 希少

どのパワーユニット、どの仕様を選ぶかは人それぞれの好みと予算感次第ですが、もしも価格の面だけでいうのであれば、35 TFSI アドバンストのお手頃っぷりが光っています。そしてこの価格帯の35 TFSI アドバンストには「コンビニエンス&アシスタンスパッケージ」というセットオプションが装着されている場合が多いため、装備面での不満を感じることもほぼないはず。

現行世代の充実した内容をもつ低走行ドイツ車に興味がある方は、ぜひ走行1万km以下の2代目アウディ Q3 TFSI アドバンストにご注目ください。
 

▼検索条件

アウディ Q3(2代目) × 走行距離1万km以下

▼検索条件

アウディ Q3(2代目)
文/伊達軍曹 写真/アウディ、篠原晃一
※記事内の情報は2025年7月22日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。