プジョー 3008(2代目)▲これぞフランス車、というアバンギャルドなデザインのプジョー 3008(2代目)。新型が登場したが、従来型もまだまだ魅力的!

隠れたヒット車、プジョー 3008(2代目)に注目

そういえば、フランス車ってSUV少なくない? いえ、ちゃんとありますよ。デビュー以来、着実に人気を獲得してきたクロスオーバーSUV、プジョー 3008が。

その3008が2025年7月、8年ぶりにフルモデルチェンジして3代目となった。内外装の先鋭的なデザイン、マイルドハイブリッドとピュアEVという思い切ったパワートレインなどが話題だ。
 

プジョー 3008(2代目) ▲2025年7月に登場したプジョー3008(3代目)。写真はアリュール ハイブリッド

新型も人気になりそうだが、その一方で先代となる2代目3008も気になるところ。中古車市場をチェックしてみると……。おっ、かなりオトクな状況になってきているじゃないですか!

ということで今記事ではプジョー 3008(2代目)に注目。概要を改めて振り返るとともに中古車市場をリサーチ、オススメのモデルを探してみたい。
 

プジョー 3008(2代目) ▲SUVらしさを強調しすぎない品の良さも3008の魅力(写真は2代目)
 

モデル紹介:個性はデザインだけにあらず

2017年3月に登場した2代目のプジョー 3008は、モノフォルムでややミニバンっぽいスタイリングだった初代からイメージを一新し、洗練された都会のクロスオーバーSUVに生まれ変わった。
 

プジョー 3008(2代目) ▲3008(2代目)で4WDとなるのはプラグインハイブリッド車のみ

プジョー 3008(2代目)の訴求ポイントは大きくふたつ。ひとつ目はやはり先鋭的かつエレガントな外観、内装のデザインだ。切り立ったフロントグリル、水平になったボンネット、流麗なラインを描くリアセクションはSUVらしい力強さとクーペの精悍さを併せもつもの。

そのうえで野生動物の牙を思わせる造形のヘッドライト、爪で引っかいた跡をモチーフとしたテールランプなどフランス車らしい個性がふんだんに演出されている。楕円形状のステアリングとその上に配置されたメーターパネル、横一列に並ぶトグルスイッチなど、インテリアもまた斬新なデザインだ。
 

プジョー 3008(2代目) ▲i-Cockpitと名付けられた個性的なインテリア。ファブリックやメタルなど異なる素材を巧みに使い分けている

もうひとつの特徴は、しなやかな乗り味。ふんわり浮いているような感覚だが決して柔らかすぎず、ましてやハードでもない。ハンドリングにも路面からのインフォメーションがしっかりと感じ取れる。エアサスではない一般的な金属バネ&サスペンション形式で、この乗り味を実現しているのはさすがプジョーというところ。

パワーユニットはデビュー当初、1.6Lガソリンターボを設定。決してパワフルではないが、必要十分かつ扱いやすい特性のエンジンだ。デビューから数ヵ月遅れて、トルクフルな2L ディーゼルターボが追加された。

さらに、2021年7月には前後にモーターを備え、最高出力300ps/最大トルク520N・mという驚異的なスペックを発揮するプラグインハイブリッド4WD車も追加されている。
 

プジョー3008(2代目)に設定された主なグレードは下記のとおりだ。

アリュール
シンプル装備のベーシックグレード。「LEDパッケージ」の設定あり

GTライン(~2020年12月)・GT(2021年1月~)
スポーティなデザインの内外装を備えたグレード

GT ブルーHDi ディーゼルターボ
ディーゼルエンジンとスポーティな内外装を採用するグレード

GT ハイブリッド4 4WD
1.6Lガソリンターボエンジン+2基のモーターを備え、4WDとしたプラグインハイブリッド

駆動方式は「GT ハイブリッド4 4WD」を除いてFFのみ。

SUVなのに二輪駆動という割り切りはいかにもフランス車らしいところだが、「アリュール」以外のグレードには路面状況に応じて駆動力を変化させる「アドバンスドグリップコントロール」が装備されている。一般的に出くわす程度の未舗装路なら何の問題もないだろう。
 

プジョー 3008(2代目) ▲「アドバンスドグリップコントロール」は路面状況に応じて駆動力の制御を切り替えるもの

約8年間のモデルライフを通じて行われた主な変更は下記のとおり。

・2018年7月:2L ディーゼルターボ車のトランスミッションを8速ATへと変更(従来は6速)
・2019年5月:1.6L ガソリンターボエンジンを高効率化するとともにATを8速化(従来は6速)
・2021年1月:フロントまわりなど外装、内装デザインを変更。プラグインハイブリッド車を追加
・2021年7月:パノラミックサンルーフ、パークアシストなど従来、オプションだった装備を標準化
 

 

新型(3代目)との差異:正統進化だが従来型のメリットも

新型3008と2代目はよく似ているように見える。しかし実際に並べてみると、ボディサイズも外観デザインも全く違っていて、大まかなデザインのイメージのみが共通していると分かる。“キープコンセプト”という言葉があるが、これほど先代のイメージをうまく残しつつ、新鮮味もあるデザインを実現した新型は珍しい。
 

プジョー 3008(2代目) ▲プジョー3008(2代目)。写真はGT ブルーHDi ディーゼルターボ
プジョー 3008(2代目) ▲プジョー3008(3代目)は、クーペの美しさとSUVの力強さを融合したファストバックデザインが特徴

まず、ボディサイズでは2代目が全長4450mm×全幅1840mm×全高1630mmであるのに対して、新型は全長で+115mm、全幅で+55mm、全高で+35mm大きくなった。プラットフォームごと一新されたのだ。特に全幅の違いは大きく、新型は極端に狭い道を運転するときにやや扱いにくさを感じるかも。
 

プジョー 3008(2代目) ▲3008(3代目)の荷室容量は520L。座席2列目を倒した状態で1480Lとなる
プジョー 3008(2代目) ▲2代目もスタイル重視のように見えるが荷室キャパシティは十分に確保され、シートアレンジもよく考えられている

外観では切り立ったフロントマスクや複雑なパターンを描くフロントグリル、傾斜したリアハッチなどに先代との共通項を見いだせるが、新型は全体としてスッキリした未来感あるデザインとなった。“個性的”“先鋭的”という意味では先代に負けず劣らず、というところだ。

パワーユニットは今回、新たに1.2Lガソリンターボエンジンの48Vマイルドハイブリッドと、ピュアEVの2本立てとなっている。ガソリンエンジンについては大幅な排気量ダウンとなっているが、モーターによるアシストが力強く働くおかげで痛痒は感じない。ピュアEVについては2025年7月現在でまだリリースが始まっておらず、年内発売予定となっている。ちなみに、ディーゼルエンジンが追加される予定は今のところなさそうだ。

新型はまさに正統進化で高級感がさらにアップしたのは間違いないが、取り回しの良さやバリエーション豊富なパワーユニットなど、従来型だけの魅力もある。もちろん中古車市場でリーズナブルに手に入る点でも、従来型は有利だ。
 

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中古車状況:流通量も価格も安定的

ここからはプジョー 3008(2代目)の中古車概況を見ていこう。

まず、中古車平均総額については経年とともに緩やかな下降線をたどる、ごく一般的な推移となっている。2025年6月時点で約305万円となっている。
 

プジョー 3008(2代目) ▲2024年7月~2025年6月のカーセンサー中古車平均総額の推移

新車当時の価格が354~710.5万円なので、リーズナブルな水準であることは間違いない。パワーユニット別分布ではガソリン車が全体の4割弱、ディーゼル車が5割弱、プラグインハイブリッド車が1割強となっている。

さらに、年式分布では生産終了直前の2024年式のボリュームが最も多い。よって、中古車平均価格がおおよそ300万円となっていることのオトク感が一層よく分かる。

また、中古車流通量についても常時350台前後と選択肢は十分にある状況。最近の推移では2024年末に流通台数が少し減ったものの、それ以降は持ち直している。新型(3代目)が登場したことで、今後増えていく可能性もあるだろう。
 

プジョー 3008(2代目) ▲2024年7月~2025年6月のカーセンサー延べ流通台数の推移
 

オススメの狙い方①:価格重視なら総額100万円台から狙える前期型のガソリン車

輸入SUVとしてはリーズナブルな価格帯で、カジュアルに乗れるのも3008(2代目)の魅力。価格重視で選ぶなら2021年のマイナーチェンジ前のガソリン車、「アリュール LEDパッケージ」や「GTライン」あたりが狙い目だ。

最も安い価格帯では総額110万円台から、走行距離5万km以内の物件に絞っても総額160万円台から狙うことができる。例えば2020年式・走行距離4.6万kmの「アリュール LEDパッケージ」・バックカメラなどのオプション装着車で価格は総額157.5万円。新車当時の価格は396.1万円だから、240万円近くもオトクに手に入る計算だ。
 

プジョー 3008(2代目) ▲こちらは「GTライン」の外観。「アリュール」は一部外観のメッキパーツなどが省略され、ホイールのデザインも異なる

ちなみに、新車価格が最も安価だったグレードは「アリュール」だが、こちらは受注販売であり、中古車市場でもごくわずかな台数しか流通していない。そのため「アリュール LEDパッケージ」や「GTライン」あたりが本命となる。

特に「GTライン」は「アドバンスドグリップコントロール」や「アダプティブクルーズコントロール」など上位グレードと同等の豪華装備がつくオトクなグレード。初めてのフランス車としてもぴったりのモデルだろう。
 

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プジョー 3008(2代目)× 前期型(~2020年12月)× アリュール LEDパッケージ

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プジョー 3008(2代目)× 前期型(~2020年12月)× GTライン
 

オススメの狙い方②:走り重視なら予算を少し上げて人気のディーゼル車

プジョー3008(2代目)がヒット作となった理由のひとつに、ディーゼルの存在があったのは明らか。1.6Lガソリンターボはクセがなく扱いやすいエンジンだが、やや迫力に欠けるのも事実だ。

2Lディーゼルターボの方がパワーもトルクも、また燃費性能も優れていた。実際、中古車市場でもガソリン車よりディーゼル車の方が多く流通し、狙いやすくなっている。

ただ、新車時のラインナップにおいてディーゼルは最上級に位置づけられていた。そのため中古車市場でも価格帯は総額135万円~とガソリン車より若干高めとなっているが、動力性能や装備内容の違いを考慮すると十分納得できるものだろう。
 

プジョー 3008(2代目) ▲ディーゼルは最高出力177~180psと、トルクだけでなくパワーもあるエンジンだった

価格の一例を挙げると、2018年式・走行距離4.7万kmの「GT ブルーHDi ディーゼルターボ」で総額184.8万円。ちなみに、2018年7月以降の物件はATが8速化されており、パワーフィールがスムーズ。3008(2代目)のエレガントな世界をより一層楽しめるはずだ。
 

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プジョー 3008(2代目)×ディーゼル

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プジョー 3008(2代目)
文/田端邦彦 写真/プジョー
※記事内の情報は2025年7月29日時点のものです。
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。