【試乗】新型 トヨタ MIRAI|日本が生んだ大人のサルーンは、世界初の技術とともに進化を続ける
カテゴリー: トヨタの試乗レポート
2021/06/04
▲フルモデルチェンジしたトヨタの燃料電池車「MIRAI」。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が試乗。その際のレポートをお届けする未来感のある悠々としたデザイン
大陸に比べ小さな島国・日本で、世界に先駆けた量産型の水素燃料電池自動車が2車種ある。ホンダのクラリティFUEL CELL、そしてトヨタの“MIRAI”である。
ホンダのリース販売のみに対して、商業的にユーザー所有の量産型として提供するのはトヨタ“MIRAI”のみだ。初代は動力のモーターをフロントに搭載した前輪駆動だった。
それに対して、個人的には「量産には向いているが特別なモデルとしてのプレミアム感が足りない」と少々感じていたのも事実だ。
当時、技術者に「なぜ後輪駆動にしなかったのか?」と質問したのだが、そのことがずいぶん昔のように感じる。そしてその際には、新たな素材や質感のパイロット的な要素も含んでいたことに、今後の期待感があったことを思い出す。
そのときの基準を大きく飛躍したプロジェクトが、堂々としたスタイリングでスタートしたに違いない。
目の前にあるMIRAIをじっくりと眺めると、やはり特別なモデルには後輪駆動がとてもよく似合うと感じる。乗り心地もステアリングフィールも前輪駆動では得られない、重厚感ある雰囲気をつくり出せるのだ。
そして、全体的にはより一層大きく堂々とした印象を受ける。
新型MIRAIは、「満を持して堂々とした未来感を携えたデザインで登場した」と言えるだとろう。その見た目は、次世代のクラウンを感じさせるエッセンスもあると言ってもいい。
インテリアの質感には違和感がなく、それがまた良質な雰囲気を一層高めている。また、センタークラスターにある、送風口と一体化したディスプレイのデザインは室内を広く大きく見せており、なかなか斬新だと感じた。
インテリアのみのインプレッションで終わりそうなので、そろそろ走り出すとしよう。今回は、都内一般道と首都高速、東名で走行した様子をお伝えする。


高級サルーンの礎をもとに
後輪駆動で安定した走りを生み出すトヨタ MIRAI Z
走り出しは上品。重厚感ある安定したトルクを内側に秘めたような滑らかなスタートだ。
少し踏み込んでも安定したトルクで、まさに高級サルーン。20インチのホイールであるが、しなやかだ。EVにもかかわらず静粛性がいい。先代は水素を供給する音が気になったのだが、新型はそんなに気にならない。
ほんの数キロ走っただけだが、遠くに走りたくなる。レクサス LSなどと同系のプラットフォームだけに、本物の堂々とした佇まいだ。
乗り込んですぐに、以前試乗したときよりもさらに、インテリアが上質なデザインになったことが分かる。
ステアリングを握ると、日本の心である車、クラウンの「乗りやすさ」が伝わってくる。
重量バランスも最適化されているため、ブレーキ時の姿勢やカーブでも以前とは比べ物にならない安定感だ。後輪駆動の恩恵と強靭な骨格がもたらしている事が分かる。
首都高速では、走りの本番を感じることができた。霞が関から入り、2号線のツイスティーなカーブをトレースした。以前は腰高なイメージだったが、それは皆無だ。
中速域で路面からのウネリと段差をしっかりと受け止めて車の姿勢を一定にする。加速すると、EVならではのシャープさはあるが、安心できる、弩級の“高級車感”がある力をためた加速だ。


車庫入れの際も、クラウンから培った“魔術”でとても入れやすい。ただ、カメラの解像度が低いのはいただけない。ここにはお金をかけてほしかったというのが本音である。
あくる日は、第三京浜から東名に向かった。
その際には、水素燃料のことを全く考えることなく運転をしていた。燃料について、忘れてしまえるほどの快適さだ。ちなみに、エコ、ノーマル、スポーツとモードがあるが、エコとノーマルでも十分なパフォーマンスを発揮する。
ブレーキもまた、制動によってとてもコントロールしやすかった。だからこそ優雅に落ち着いた運転ができるのだ。
「日本が生んだ成熟した大人のサルーン」が、世界初のテクノロジーとともに進化している。ということを実感できるモデルであることは、間違いないだろう。
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【試乗車 諸元・スペック表】
●Z
| 型式 | ZBA-JPD20 | 最小回転半径 | 5.8m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | MR | 全長×全幅×全高 | 4.98m×1.89m×1.47m |
| ドア数 | 4 | ホイールベース | 2.92m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.61m/1.61m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.81m×1.6m×1.14m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1930kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2205kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.16m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ブラック、ダークブルーマイカ |
||
| オプション色 |
プレシャスホワイトパール、プレシャスメタル、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII、プレシャスシルバー、フォースブルーマルティプルレイヤーズ |
||
| 掲載コメント |
※WLTCモード 燃料電池車 燃料消費率 135km/kg |
||
| 型式 | ZBA-JPD20 |
|---|---|
| 駆動方式 | MR |
| ドア数 | 4 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブラック、ダークブルーマイカ |
| オプション色 | プレシャスホワイトパール、プレシャスメタル、プレシャスブラックパール、エモーショナルレッドII、プレシャスシルバー、フォースブルーマルティプルレイヤーズ |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.8m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.98m×1.89m×1.47m |
| ホイール ベース |
2.92m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.61m/1.61m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 1.81m×1.6m×1.14m |
| 車両重量 | 1930kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 2205kg |
| 最低地上高 | 0.16m |
| 掲載用コメント | ※WLTCモード 燃料電池車 燃料消費率 135km/kg |
| エンジン型式 | 3KM | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 電気モーター | 使用燃料 | 電気 |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | 70リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | -cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 182ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
300(30.6)/3267 |
| エンジン型式 | 3KM |
|---|---|
| 種類 | 電気モーター |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | -cc |
| 最高出力 | 182ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
300(30.6)/3267 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | 電気 |
| 燃料タンク容量 | 70リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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