【試乗】新型 BMW 1シリーズ|FR至上主義を卒業させてくれる、歓びが体現されたホットハッチ
2020/01/10
▲1シリーズとして初めてFF(前置きエンジン・前輪駆動)を採用した118iとM135i xDriveに、自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が試乗した(写真は118i)初の前輪駆動となった1シリーズ
前々からわかっていたことだが、BMWの1シリーズもFF化の波に飲み込まれてしまった。
BMWの走りの基本はFR、と信じていたファナティックには少々寂しいかもしれない。
何を隠そう、私もその一人である。
BMWはすでに、2シリーズのアクティブツアラーとグランツアラーでFFを採用している。
一方、先代の1シリーズのようなコンパクトボディのFRでは、フロントからリアへと動力が行き渡っているように感じられたものだ。
グッとリアから押されるトラクションは、もう新型車では味わうことはできないなぁと懐古的なことを考えながら、刷新したFFの新型1シリーズの試乗を迎えた。
最初に乗るのは、エントリーモデルである118iだ。
BMWの方程式に習った、1気筒あたり500ccのキャパシティをもった3気筒ターボユニットである。
4600回転で140馬力を発揮し、最大トルクは1500回転以下から2Lクラスをゆうに超えた実力をもつ。
BMWは3気筒ユニットの経験値を豊富に有しており、そのためか新たなプラットフォームとのマッチングはよい。
静粛性も振動も申し分のない様子だ。
▲3気筒とは思えないトルクフルなエンジン
▲FFにしたことで、これまでより車内空間が拡大したストレスを感じさせない乗り心地
3人乗車で神奈川県の大磯プリンスホテルから、箱根ターンパイクへと向かった。
7速DCTによるATは小気味よく、パワーバンドを捉えながら最適なセレクトでストレスがない。
採用されているツインクラッチシステムは、効率の良さが決め手になる。
こちらもギクシャク感がなく、よくできたツインクラッチ式のATである。
またFFのためフロントヘビーな乗り心地と思いきや、前後がバランス良くダンピングされ心地よい。
加速時でも、フロントが浮き上がったトラクション不足は皆無である。
フラッットな路面では、ボディ剛性も十分で完成度の高さに驚いた。
乗り心地と静粛性は大切だが、BMWにはドライビングした楽しさも重要である。
そこはアップダウンとワインディングの続く、箱根ターンパイクで図ることにしよう。
▲キドニーグリルが大きくなり見た目からも力強い印象を受ける
▲リアはテールライトが細くなったことでよりシャープに力強さを感じる3気筒エンジン
料金所をくぐると、トルクが決め手の長い上り坂だ。
3気筒特有のサウンドとともにグイグイと引っぱる。
全くパワー不足ではない。
エントリーモデルの118iではあるが、思いのほかサスペンションの粘りがフラットな姿勢を維持する。
これは安全性においても大切なスペックである。
下り坂でのブレーキングはさすがにフロントに荷重が集中しやすいが、ブレーキングを終えて負荷を加えたコーナーリングではヘ
ビーな印象はグッと少なくなる。
▲上り坂でも力強い走りを体感できる軽快さが愉しめる四輪駆動のM135i
連続して試乗した1シリーズのフラッグシップと言うべき M135i 楽しいxDriveにも試乗した。
これは300馬力を超える猛者で、四輪に動力を積極的に配分しないとプレミアム性すら損ねるじゃじゃ馬と化すに違いない。
グッと踏み込むと加速は素晴らしい。
フロントもしっかりと路面を捉えてスタビリティも万全だ。
フロントヘビーの要素すら忘れてしまう程、軽快で速い。
走りがあまりに愉しいので横置きエンジンということをすっかり忘れそうになるほど、入念にチューニングされたユニットだ。
ブレーキング時のストラットの剛性感もしっかりとしていて歪んだようにならないので、走りに徹していることが理解できる。
この2つのコンパクトシリーズを試乗していると、FR至上主義が薄れてしまう。
特にM135i xDriveは、もっと箱根を走りたくなった。
パワーを有効にスタビリティ高く四輪に伝えようとする意図によって、タイトなコーナーが連続すればするほど面白みが感じ取れる。
M135i xDriveは、そんなホットハッチ4WDなのである。
▲メッシュ状になったキドニーグリルがスポーティな雰囲気を引き立てる(M135i xDrive)
▲最大306psを発生させる2Lターボエンジン(M135i xDrive)【試乗車 諸元・スペック表】
●BMW 118i プレイ DCT
| 型式 | 3BA-7K15 | 最小回転半径 | 5.7m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.34m×1.8m×1.47m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.67m |
| ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.57m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1390kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1665kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.16m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイトIII |
||
| オプション色 |
メディテラニアン・ブルーメタリック、メルボルン・レッドメタリック、ミネラル・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、ストーム・ベイメタリック |
||
| 掲載コメント |
※納車時期を2019年10月以降の予定としているため、車両価格(税込価格)は消費税10%が適用された金額を掲載しております |
||
| 型式 | 3BA-7K15 |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 7AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | アルピン・ホワイトIII |
| オプション色 | メディテラニアン・ブルーメタリック、メルボルン・レッドメタリック、ミネラル・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、ストーム・ベイメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.7m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.34m×1.8m×1.47m |
| ホイール ベース |
2.67m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.57m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1390kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 1665kg |
| 最低地上高 | 0.16m |
| 掲載用コメント | ※納車時期を2019年10月以降の予定としているため、車両価格(税込価格)は消費税10%が適用された金額を掲載しております |
| エンジン型式 | B38A15A | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列3気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 50リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 16.8km/L |
| 総排気量 | 1499cc | 燃費(WLTCモード) |
13.7km/L
└市街地:10.7km/L └郊外:14.2km/L └高速:15.1km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +5%達成車 |
||
| 最高出力 | 140ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
220(22.4)/4200 |
| エンジン型式 | B38A15A |
|---|---|
| 種類 | 直列3気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1499cc |
| 最高出力 | 140ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
220(22.4)/4200 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 50リットル |
| 燃費(JC08モード) | 16.8km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 13.7km/L
└市街地:10.7km/L └郊外: 14.2km/L └高速: 15.1km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 +5%達成車 |
●BMW M135i xドライブ 4WD
| 型式 | 3BA-7L20 | 最小回転半径 | 5.7m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.36m×1.8m×1.47m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.67m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.57m/1.56m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1580kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1855kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.16m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルピン・ホワイトIII |
||
| オプション色 |
メディテラニアン・ブルーメタリック、メルボルン・レッドメタリック、ミネラル・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ミサノ・ブルーメタリック、ストーム・ベイメタリック |
||
| 掲載コメント |
※納車時期を2019年10月以降の予定としているため、車両価格(税込価格)は消費税10%が適用された金額を掲載しております |
||
| 型式 | 3BA-7L20 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | アルピン・ホワイトIII |
| オプション色 | メディテラニアン・ブルーメタリック、メルボルン・レッドメタリック、ミネラル・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、ミサノ・ブルーメタリック、ストーム・ベイメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.7m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.36m×1.8m×1.47m |
| ホイール ベース |
2.67m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.57m/1.56m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1580kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | 1855kg |
| 最低地上高 | 0.16m |
| 掲載用コメント | ※納車時期を2019年10月以降の予定としているため、車両価格(税込価格)は消費税10%が適用された金額を掲載しております |
| エンジン型式 | B48A20E | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 50リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 13.6km/L |
| 総排気量 | 1998cc | 燃費(WLTCモード) |
12km/L
└市街地:8.9km/L └郊外:12.2km/L └高速:14km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 達成車 |
||
| 最高出力 | 306ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/4500 |
| エンジン型式 | B48A20E |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1998cc |
| 最高出力 | 306ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
450(45.9)/4500 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 50リットル |
| 燃費(JC08モード) | 13.6km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 12km/L
└市街地:8.9km/L └郊外: 12.2km/L └高速: 14km/L |
| 燃費基準達成 | H27年度燃費基準 達成車 |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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