【試乗】新型ホンダ シビックタイプR│良質なベースモデルの上に積み上げられた最良のセッティング
2023/05/25
▲自動車テクノロジーライター松本英雄氏が、シビックタイプRを公道試乗した際のレポートをお届けするただの飾りではないパーツ類
ホンダにおける歴代の「タイプR」は、そのどれを試乗しても自然と笑みがこぼれてくるモデルだ。年代によって流行のセッティングもあって、新しいタイプRがローンチされるたびに早く乗りたい衝動に駆られる。
タイプRはかつてNSXを筆頭に、インテグラ、アコード(ユーロR)があり、現在ではシビックのみに用意されているスポーツグレードだ。2022年に登場した6代目のFL5型のタイプRは先代のFK8型に比べるとエアロパーツが控えめで、大人が操るリアルスポーツハッチである。
ノーマルと比べても自然な雰囲気だが、ワイドトレッド化したフェンダーのフォルムはとても伸びやかで見るからに安定感がある。ちゃらちゃらしてない印象というべきであろうか。


エンジンフードから吐き出されるルーバーはレトロフィットではなく機能的なもので、いかに高速での空気の流れを考慮しているかが理解できる。このモデルに限っては、意味のある装飾品で満たされているのだ。
強いて言えばリアトランクリッドのスポイラーが大げさな感じもあるが、できるだけ性能に見合いながら目立たない装いもかしこまっていて、これもまた大人の装いである。
バケットシートは少々派手めであるが、すこぶるホールド性は高い。ポジションを細かく調整できて、いつも以上に足と手の位置を調整してしまう。

レスポンスの良さが光る
エンジンを始動すると2L ターボの330馬力にもかかわらず、排圧は低くエンジン音も先代に比べて抑えられている印象だ。反力の高いクラッチは高性能の証しだ。
シフトをニュートラルの状態でミートポイントを確認する。つながる部分はダイレクトで、クラッチの切れの良さも伝わってくる。ショートストロークのシフトを「コクリ」と1速に入れてスタートする。
高性能ユニットにして粘り強い。駐車場から路上への段差もバネレートは高いがダンパーも追従した減衰力でしなやかで収束が速い。これぞ本物のダンパーのセッティングである。
一般道は細かなシフトをしてギア比とエンジン特性を把握しながら流れに乗る。切れのいいクラッチとハイレスポンスのユニットは、MTに慣れている人であれば回転を上げなくてもスムーズで速いと感じるだろう。

馴染みの第三京浜を環八通りの内回りから入る。複合中速コーナーであってもトレースに迷いはない。
身体が振られることなくストレートへ。法定速度でも高速S字カーブの道路中央部を捉えながら抜けるのは慣れが必要だ。なぜならば締め上げられたサスペンションはいなしが少ないために敏感だからである。ストリートチューンとはいえ、わだちもあるので注意をはらいながら路面とのコンタクトを確実にする。

アクセルを踏んだ際の直進性も素晴らしい。これはタイプRに限った話ではないがシビックはエンジンとドライブ系のアライメントが最適だ。トルクステアやワンダリングも皆無である。
セッティングにあったボディ剛性と良質のバケットシートで、目線のバイブレーションが最小限に抑えられて疲れ軽減させる。良い車だと心に刻みながら首都高をひたすら走る。

ブレーキとアクセルの位置も完璧だ。ブレーキングしてエンジン回転をコントロールしながらヒール&トウでシフトダウン。優しくスムーズにできる。ブレーキがすこぶるリニアな特性だからこそできる。
本物を味わえた喜びをかみしめて車庫に入れ終えて、これが500万円というプライスは信じられないとただ感じたのである。2022年に発売したモデルの中で最高にファンであることに間違いない。
そしてこの原稿を執筆中に、シビックタイプRがドイツのニュルブルクリンク北コースで、FFモデル最速となるラップタイムを記録したというニュースに触れた。こういった試みからシビックタイプRのさらなる進化も期待したいところである。

▼検索条件
ホンダ シビックタイプR(6代目)×全国【関連記事】
【試乗車 諸元・スペック表】
●2.0
| 型式 | 6BA-FL5 | 最小回転半径 | 5.9m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.6m×1.89m×1.41m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.74m |
| ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.63m/1.62m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.92m×1.55m×1.15m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1430kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
チャンピオンシップホワイト、クリスタルブラック・パール、フレームレッド、レーシングブルー・パール |
||
| オプション色 |
ソニックグレー・パール |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 6BA-FL5 |
|---|---|
| 駆動方式 | FF |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | 6MT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | チャンピオンシップホワイト、クリスタルブラック・パール、フレームレッド、レーシングブルー・パール |
| オプション色 | ソニックグレー・パール |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 4名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | 5.9m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.6m×1.89m×1.41m |
| ホイール ベース |
2.74m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.63m/1.62m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 1.92m×1.55m×1.15m |
| 車両重量 | 1430kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.13m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | K20C | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆☆ |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 47リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1995cc | 燃費(WLTCモード) | 12.5km/L └市街地:8.6km/L └郊外:13.1km/L └高速:15km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 330ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/4000 |
| エンジン型式 | K20C |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1995cc |
| 最高出力 | 330ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
420(42.8)/4000 |
| 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆☆ |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 47リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 12.5km/L └市街地:8.6km/L └郊外: 13.1km/L └高速: 15km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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