【試乗】新型 三菱 エクリプスクロスPHEV|雨の中で際立ったラリー仕込みのグラベル制御技術
2020/12/10
▲2020年12月に発売された三菱 エクリプスクロスPHEVだが、一足先に試乗する機会を得ていた。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるサーキット試乗の模様をレポート大幅な変更が行われたエクステリア
三菱のクロスオーバーSUV、エクリプスクロスがマイナーチェンジを迎えた。
スポーティなハンドリングと雪上でのコントロール性能は、ラリーに対して一家言ある三菱車らしく、車が一回り小さく軽く感じさせるようなものであった。
デビュー当初は、このディメンションに1.5Lガソリンターボが組み合わされたが、非力とは感じさせなかった。
そして2019年には、個人的に待望であったディーゼルモデルも追加。これも剛性がある熟成したシャシーのおかげで、トルキーな動力性能でスポーティなドライビングが可能となったが、カタログモデルからは消えた。
そしてその代わりに2020年12月に登場したのが、エクリプスクロスPHEVである。
まずはエクステリアを見ていくと、フロントとリアに大幅な変更が行われていることがわかる。
フロントのダイナミックシールドは健在だが、力強さというよりも35mm伸ばしたフロントマスクのためか、シャープで軽快な印象だ。
リアバンパーとリアゲートのデザインも大きく変更されているが、105mmも延長されたのには驚かされる。
デザイン部門のトップが日産色の強い人に代わったからかどうかは定かではないが、日産車のハッチバック系の流れに類似するスタイリングだ。
フロントのシャープさに比べると、リアは重く重力に負けそうなデザインである。マイナーチェンジ前のエクリプスクロスの方がクーペのようなスタイリングで、軽快で個性が際立っていたのではと感じた。
同時に、発売された時の俊敏なスタイリングは失ってしまったとも感じた。


▲アウトランダーに続き、エクリプスクロスにもPHEVモデルが加わったヘビーウエットのサーキットで各モードをチェック
続けて走行性能のチェックに移ろう。
今回の試乗の舞台は、富士スピードウェイのショートコース、しかもあいにくのウエットな路面状況である。
同社のアウトランダーから受け継がれたPHEVシステムと、エクリプスクロスに与えられたAWD制御を、スポーツ走行を通じて堪能したのでお伝えしたい。
三菱のPHEVシステムの完成度は高く、静粛性には気を使い頑張っている。
ただし、ストレートでは静粛性を再確認できるが、加速時の高負荷でのエンジン始動時の振動や音には古さは否めなない。
エクリプスクロスPHEVにはノーマル、スノー、グラベル、そしてサーキットに最適なターマックの4つのモードが用意されている。
最初はノーマルモードで一周する。アクセルを踏んでいないとフロントが外に逃げてしまうため、細かくコントロールしてコーナーをクリアする。
前へ前へと積極的に進ませるようなセッティングではなく、安全にスムーズに走らせようとしていることが理解できる。
▲試乗会当日はあいにくの大雨。サーキットはかなりヘビーなウエットの状態であった次はせっかくのサーキットということで、ターマックモードにスイッチを切り替えた。
スタートでグッとアクセルを踏み込むと、積極的に前へと飛び出す前進気勢の状態となる。これは楽しそうだ。
しかし、タイトなコーナーでは車の動きがトリッキーで、じゃじゃ馬の4WDをコントロールしているようでステアリングの修正が多くなる。
ぜひ乾いた路面で試したく、逆に雨の日は遠慮した方がいいモードといえる。
そして最後はエンジニアオススメのグラベルモードだ。
「路面が結構なウエット状態なので、グラベルモードで試してほしい」という、エンジニアからの言葉を受けて走ってみた。
滑りやすい路面にもかかわらず、発進時にグッとアクセルを踏み込んでも、ステアリングのスタビリティが高い。
タイトな勾配の強い登りコーナーも、細かな制御によって旋回を行う。
中速コーナーは舵角を一定にし、アクセルコントロールでトレース、次のアプローチアングルを正確に捉える。
これはウエットのスポーツドライビングにはもってこいのモードだ。
ラリーで培った三菱のグラベル制御技術が、スタビリティのサポートになっているのである。
ウエットコンディションゆえに、性能の高さをより顕著に感じられる試乗であり、そのスタイリングからは想像できなかった、制御されたスポーツドライビングを堪能することができた。

【試乗車 諸元・スペック表】
●PHEV 2.4 P 4WD
※試乗車はプロトタイプのため、参考グレードを記載しております。
| 型式 | 5LA-GL3W | 最小回転半径 | 5.4m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.55m×1.81m×1.69m |
| ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.67m |
| ミッション | その他AT | 前トレッド/後トレッド | 1.54m/1.54m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | 1.89m×1.49m×1.19m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1920kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | 不明 | 最低地上高 | 0.19m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
ブロンズメタリック、ライトニングブルーマイカ、チタニウムグレーメタリック、スターリングシルバーメタリック、ブラックマイカ |
||
| オプション色 |
レッドダイヤモンド、ホワイトパール |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| 型式 | 5LA-GL3W |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 5 |
| ミッション | その他AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | ブロンズメタリック、ライトニングブルーマイカ、チタニウムグレーメタリック、スターリングシルバーメタリック、ブラックマイカ |
| オプション色 | レッドダイヤモンド、ホワイトパール |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
不明 |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.55m×1.81m×1.69m |
| ホイール ベース |
2.67m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.54m/1.54m |
| 室内(全長×全幅×全高) | 1.89m×1.49m×1.19m |
| 車両重量 | 1920kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | 0.19m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | 4B12 | 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | レギュラー |
| 過給器 | - | 燃料タンク容量 | 43リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 18.6km/L |
| 総排気量 | 2359cc | 燃費(WLTCモード) |
16.4km/L
└市街地:15.7km/L └郊外:16.8km/L └高速:16.5km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 128ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
199(20.3)/4500 |
| エンジン型式 | 4B12 |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | - |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 2359cc |
| 最高出力 | 128ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
199(20.3)/4500 |
| 環境対策エンジン | H30年基準 ☆☆☆☆ |
| 使用燃料 | レギュラー |
| 燃料タンク容量 | 43リットル |
| 燃費(JC08モード) | 18.6km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 16.4km/L
└市街地:15.7km/L └郊外: 16.8km/L └高速: 16.5km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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