Gクラス ▲直近登場した200台限定の Gクラスの特別仕様車は、なんと3500万円超え! とてもじゃないけど買えないということで、その1/3ぐらいの予算感で、同じくらい満足が得られそうなSUVを探してみましょう!

欲しいのはやまやまだが、さすがに3500万円超は……

メルセデス・ベンツ Gクラスの非常に魅力的な特別仕様車が2025年9月8日、発売された。

200台限定となる特別仕様車「メルセデスAMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)」は、最高出力585psの4L V8ターボを搭載する「メルセデスAMG G63」がベースのスペシャルモデル。ボディカラーは3種類の同車限定色を含む4種類のマットカラーで、車名どおり各所にブラックのアクセントを追加。そしてGクラスとしては初採用となる「AMG専用ブラックエグゾーストシステム」や、通常は有償オプションとなる「AMGナイトパッケージ」を標準装備し、ホイールにはブラックカラーの「22インチAMGホイール<鍛造>」を採用している。

さらにインテリアも、通常はオプションとなる4種類のツートーンカラーをボディ色に応じて設定し、同車限定装備の「MANUFAKTURオープンポアブラックアッシュウッドインテリアトリム」や 、Gクラスとしては日本初採用の「MANUFAKTURフルレザーパッケージ」等々が標準で採用された。
 

Gクラス▲こちらが200台限定の「メルセデスAMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)」。写真のボディカラーはMANUFAKTURオパリスホワイトマグノ(マット)
Gクラス▲こちらは、外装色がMANUFAKTURオパリスホワイトマグノ(マット)である場合のツートーン内装色となる「MANUFAKTURプラチナホワイト/ブラック」
 

なんとも魅力的な内容であり、シンプルに「欲しい!」と思うわけだが、そのお値段はなんと3535万円。諸費用等を含めれば、おそらくは郊外に戸建て住宅が買えそうな金額になるだろう。

……ということで絶望するしかないわけだが、しかし中古車市場をくまなく見渡せば、もしかすると「メルセデスAMG G63ブラックアクセントエディション(ISG)」にある程度近い個性と魅力をもつ車を、おおむね3分の1ぐらいの予算で見つけられるのかもしれない。

そんなモノが本当にあるかどうか現時点ではわからないが、絶望ばかりしていても仕方ない。とにかく、探してみることにしよう。
 

 

代わり候補①|メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目) G350d マヌファクトゥーアエディション
→想定予算:980万~1500万円

AMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)の代わりは、本来であれば通常のGクラスではなく、メルセデスAMG Gクラス(G63)からチョイスしたいところではある。しかしそうすると、とてもじゃないが「3分の1ぐらいの予算」では収まらなくなるため、ここはひとつ通常のGクラスで良しと考えるべきだろう。

そう考えたときに候補として挙がってくるのが、2020年7月に発売された特別仕様車「マヌファクトゥーアエディション」だ。
 

Gクラス▲2代目Gクラスの特別仕様車であるG350d マヌファクトゥーアエディション
 

マヌファクトゥーアエディションはG350dとAMG G63に設定されたが、G350dの同エディションは、カタログモデルには設定のない「ダイヤモンドホワイト」と「ジュピターレッド」をボディ色に採用し、サイドミラーやフロント/リアスカート、ホイールアーチ等々にブラックのアクセントを追加。

そしてヘッドライトやフロントウインカー、リアコンビランプにはブラックのスモーク加工を施し、足元はブラックペイントの20インチAMGマルチスポークアルミホイールを組み合わせたという1台。

さらにインテリアも、カタログモデルでは選べないブラックアッシュウッドのトリムを採用し、ナッパレザーシートにはベンチレーターとリラクゼーション機能を追加。またその他、減衰力を連続可変制御する「アダプティブダンピングシステム」が装備されているというのもマヌファクトゥーアエディションの特徴だ。
 

Gクラス▲ブラックアッシュウッドのトリムがシャープかつ上質な印象を与えるG350d マヌファクトゥーアエディションのインテリア
 

これであれば、さすがにメルセデスAMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)ほどの怒涛のパワーは味わえないものの、けっこう近いニュアンスのゴージャス世界観を、総額1300万円前後の予算で堪能できるだろう。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目) × G350d マヌファクトゥーアエディション ディーゼルターボ 4WD
 

代わり候補②|初代Gクラスの素敵な限定車各種
→想定予算:750万~1400万円

乗り心地などの点においては2代目Gクラスの方が有利だが、初代ならではの硬派な世界観も、それはそれでかなり魅力的。そして初代モデル末期にいくつか登場した素敵な特別仕様車であれば、AMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)に近い世界観を味わえるはず。

そう考えたときにまず候補となるのは、初代Gクラス最後の特別仕様車となった「G350d ヘリテージエディション」と「G550 デジーノマグノエディション」だろう。
 

Gクラス▲こちらはG350d ヘリテージエディション
Gクラス▲そしてこちらはG550 デジーノマグノエディション
 

G350d ヘリテージエディションは、2018年4月に発売された日本限定の特別仕様車。ベースとなったのは車名どおりG350dで、ブラックペイントを施した18インチ5ツインスポークアルミホイールや、クローム部分をオブシディアンブラックにする「ナイトパッケージ」でドレスアップ。そしてボディカラーは、それまで特に人気の高かった5色(プロフェッショナルブルー/インペリアルレッド/マラカイトグリーン/ブルーブラック)がラインナップされた。

そしてインテリアも、さすがにAMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)ほど特徴的ではないが、前後席にシートヒーター付きの本革シートを採用する他、「Heritage Editionプレート」が装着されているのが特徴となる。
 

Gクラス▲ブラックのモノトーンではあるが、前後の本革シートはシートヒーターが標準装備となっている
 

中古車価格は総額950万~1400万円といったところ。流通量が少ないのが玉にキズではあるが、好みのボディカラーと巡り合えた場合には、相当な満足を感じることができるだろう。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Gクラス(初代) × G350d ヘリテージエディション ディーゼルターボ 4WD

そしてG550 デジーノ マグノエディションは、同じく2018年4月に発売された55台限定(グローバルでは463台)の特別仕様車で、こちらは4L V8ツインターボのG550がベース。
 

Gクラス▲初代G550の最終特別仕様車であるG550 デジーノマグノエディション
 

ボディカラーは「designoマグノプラチナムマット」で、フロントグリルルーバーやリアのスペアホイールアーチにはマットブラックを採用。そしてインテリアには「designoブラックレザーシート」や「designoピアノラッカーウッドインテリアトリム」をはじめとする、上質感たっぷりな特別装備が与えられている。
 

Gクラス▲G550 デジーノマグノエディションのインテリア。前席シートベンチレーターやAMGパフォーマンスステアリング、ブラックレザーグラブハンドルなども標準装備
 

こちらは日本市場向けには55台しか販売されなかったため超希少だが、2025年9月中旬現在、いちおう1台のG550 デジーノマグノエディションが総額1102万円にて流通中だ。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Gクラス(初代) × G550 デジーノ マグノエディション ディーゼルターボ 4WD
※流通状況により物件が表示されない場合があります。

またその他では、年式的に若干古くはなるが2015年9月に120台が限定発売された「G350 ブルーテック エディション ゼブラ」も、なかなかシブい。
 

Gクラス▲ホワイトとブラックのコントラストが美しいG350 ブルーテック エディション ゼブラ
 

こちらはボディカラーを「designoミスティックホワイトII」とするとともに、AMGオーバーフェンダーやフロント/リアバンパー、ルーフなどをオブシディアンブラックで塗装した1台。さらに専用のブラックペイント18インチ5ツインスポークアルミホイールを採用することで、ゼブラ(シマウマ)的なコントラストを際立たせたというコンセプトだ。

そしてインテリアは各所にdesignoピアノラッカーウッドインテリアトリムやdesignoレザーを採用し、シートベンチレーターなどの快適装備の他、同車専用のAMGパフォーマンスステアリングも採用。内装色がブラック1色のタイプが80台、ポーセレン(白磁色)とブラックのツートーンカラーが40台販売されたわけだが、できればツートーン内装の方を探してみたいところ。中古車価格は総額730万~990万円が目安となる。
 

Gクラス▲モノトーンも悪くないが、「ゼブラ」というからにはこのツートーン内装を選びたい?
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Gクラス(初代) × G350 ブルーテック エディション ゼブラ ディーゼルターボ 4WD
 

代わり候補③|ランドローバー ディフェンダー(3代目)130系
→想定予算:870万~1300万円

3代目ランドローバー ディフェンダーは、存在感の面でもパフォーマンスの面でも、2代目メルセデス・ベンツ Gクラスに引けを取らないプレミアムで本格的なオフローダー。だが一般的なディフェンダーでは、超絶な1台であるメルセデスAMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)に対抗するのは若干難しい部分もある。

しかし同じディフェンダーでも、110ではなく「130」であれば、G63ブラックアクセントエディション(ISG)の対抗馬になり得るかもしれない。
 

ディフェンダー▲こちらが3代目ランドローバー ディフェンダー130
 

ランドローバー ディフェンダー130は、3代目ディフェンダーシリーズに2022年6月に追加されたロングモデル通常のロングボディ版である「110」のリアオーバーハングを340mm伸長させた130は、110の全長が4945mmであるのに対し、なんと全長5358mmという巨大っぷり。

乗車定員も5名ではなく8名で、シートレイアウトは2-3-3の3列。すべての座席において広大な空間が確保されており、3列目シートを使用した状態でも、ラゲージスペースは十分に広い。

そして11.4インチの大型タッチスクリーンを備えたインフォテインメントシステム「Pivi Pro」や電子制御エアサスペンションが標準装備となる他、「空気清浄システムプラス」(ナノイーX、PM2.5 フィルター付き)も標準で搭載している。

パワーユニットは、マイルドハイブリッド機構が組み合わされた最高出力300psの3L直6ディーゼルターボでまずはスタートし、2024年5月には同ユニットの最高出力を350psに増強するとともに、最高出力500psの5L V8スーパーチャージドエンジンも追加した。
 

ディフェンダー▲ゴージャス系なGクラスと違って「道具っぽいデザイン」ではあるが、各部の質感はさすがに高い

中古車価格は3L直6ディーゼルターボ搭載グレードが総額870万~1300万円で、5L V8スーパーチャージドエンジン搭載グレードは2025年9月中旬現在、残念ながら流通なし。

とはいえ、3L直6ディーゼルターボであってもその超絶ロングボディがもたらす異次元の存在感により、メルセデスAMG G63ブラックアクセントエディション(ISG)に近い何かを堪能できるだろう。
 

▼検索条件

ランドローバー ディフェンダー(3代目) × 130系
 

代わり候補④|ランドローバー ディフェンダー(2代目)
→想定予算:600万~1500万円

3代目ランドローバー ディフェンダー130の存在感も相当なモノだが、よりいっそう強烈な存在感を求めたい場合には、時代をさかのぼって「2代目ディフェンダー」を探してみるのもいいかもしれない。
 

ディフェンダー▲2016年1月29日まで英国で生産された2代目ランドローバー ディフェンダー110。写真は限定モデルの「X-Tech」
ディフェンダー▲2代目ディフェンダー110のボディサイズは全長4565mm×全幅1785mm×全高2070mm
 

ご承知のとおり2代目ランドローバー ディフェンダーは、1948年に登場した「ランドローバーシリーズ」が、1990 年から「ディフェンダー」と名乗ることになった超本格オフローダー。駆動方式は、当然ながら副変速機付きのフルタイム4WDだ。

2代目ディフェンダーに搭載されたパワーユニットは時代によって様々で、初期においては機械式制御の2.5Lディーゼルターボが中心だったが、2001年からは電子制御化された2.5L直5ディーゼルターボに変更。そして2007年からはフォード製2.4L直4ディーゼルターボとなり、2012年にはユーロ5の排ガス規制に対応した、フォードとPSAの共同開発による2.2L直4ディーゼルターボが採用された。

……というような細かい話はさておき、とにかく専門店を訪ねて、メルセデスAMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)の3分の1ぐらいの予算感で――つまり1000万円ぐらいで店主やスタッフに相談すれば、現代のSUVでは絶対に手に入ることがない硬派なビジュアルと超絶硬派な存在感を得ることができるだろう。いかにもオフローダーらしい乗り味は決して舗装路向きではないが、そこも含めて「唯一無二の世界観」を猛烈に堪能できるはずだ。
 

▼検索条件

ランドローバー ディフェンダー(2代目)
 

代わり候補⑤|マセラティ グレカーレ トロフェオ(初代)
→想定予算:1000万~1400万円

ここまではメルセデス・ベンツ Gクラスに近いニュアンスと造形のオフローダーに絞ったうえで、メルセデスAMG G63 ブラックアクセントエディション(ISG)の代わりを探してきた。

しかし冷静に考えてみれば、物事をわざわざGクラスに寄せていく必要はないのかもしれない。欲しいのは、あくまでも「G63 ブラックアクセントエディション(ISG)に近い存在感とゴージャス感」であって、必ずしもGクラス的な四角いフォルムのSUVである必要はないのである。

そう考えたとき、意外とフィットしそうなのはマセラティのミドルクラスSUVである「グレカーレ」だ。
 

グレカーレ▲こちらがマセラティ グレカーレ。写真は最上級グレードとなる「トロフェオ」
 

日本では2022年5月に発売されたマセラティ グレカーレは、いちおうミドルクラス(中型)とされているイタリアンSUVだが、それは「欧州基準では中型」という話であって、全長4846mm×全幅1948mm×全高1670mmとなるボディサイズは「堂々たるもの」という表現がふさわしく、実際、全高以外は2代目メルセデス・ベンツ Gクラスよりも大ぶりだ。

パワートレインは、「GT」と「モデナ」に搭載されるのは最高出力300psまたは330psの48Vマイルドハイブリッドシステム付きの2L直4ターボであるため、この2グレードだと、G63 ブラックアクセントエディション(ISG)と比べた場合は、若干さみしく感じるかもしれない。

だがトップグレードである「トロフェオ」が搭載するのは、スーパースポーツ「マセラティ MC20」のネットゥーノエンジンをベースとする最高出力530ps/最大トルク620N・mの3L V6ツインターボ。0-100km/h加速3.8秒となるこちらであれば、同585ps/同850N・mの4L V8ツインターボを搭載するメルセデスAMG G63にも、そうそう引けはとらないだろう。
 

グレカーレ▲トロフェオのV6ツインターボユニットは、最高出力630psのスーパースポーツ「マセラティ MC20」用ユニットがベース。エアサスペンションは減衰力調整機能付き
 

そしてそういったパフォーマンスの部分もさることながら、マセラティ グレカーレの肝となる部分は「ゴージャスなインテリア」だ。

グレカーレのインテリアはマセラティならではのユニークなグラフィックと色彩が追求されており、特に「トロフェオ」のそれは、マセラティの最も先鋭的な側面が体現されている。

3Dビジュアルカーボンファイバーやパンチングレザーなどを各所にあしらいつつ、ダイナミズムを強調する「シェブロンモチーフ」も組み合わせたブラック基調のインテリア。そこには黄または赤のコントラストステッチを施すことで、素材や色彩の対比より明確に表現されている。このあたりがイタリア車というかマセラティの真骨頂であり、メルセデスAMGであってもなかなか凌駕できない部分であるように思える。
 

グレカーレ▲上質なレザーやカーボンファイバーの装飾パネルが多用されているグレカーレ トロフェオのインテリア
 

そんなマセラティ グレカーレ トロフェオの中古車は、総額1000万~1400万円付近のゾーンにて約20台が流通中。四角四面なSUVとはひと味違う「色っぽいSUV」にもそれなり以上の興味を持てる人は、ぜひグレカーレのトロフェオにご注目いただければと思う。
 

▼検索条件

マセラティ グレカーレ(初代) × トロフェオ 4WD
文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ、ジャガー・ランドローバー、ステランティス
※記事内の情報は2025年9月18日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。