【試乗】アルファ ロメオ ジュリア クアドリフォリオ|ハイパフォーマンスカーであるがグランツーリスモな側面をあわせもつモデル
カテゴリー: アルファロメオの試乗レポート
2021/12/01
▲2020年にマイナーチェンジしたジュリア クアドリフォリオに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が公道試乗でレポートする伝統的なデザインを継承したジュリアの最高峰グレードに試乗
私が初めて購入したイタリア車は、1964年製の“アルファ ロメオ ジュリア スプリント GT”というモデルだった。通称“段付き”というフロントマスクをもった個性的なモデルだ。若き日の巨匠“ジウジアーロ”の作品だ。
あれから30年経過した今、これから試乗するのは2代目となったジュリアで、最高峰グレードのクアドリフォリオである。このモデルは、2017年に日本導入されていたが、どういうわけか試乗する機会がなかった。
試乗するモデルは、2020年にマイナーチェンジを受けた仕様だ。アルファロメオの神髄は、決してこびないスタイリングだと思う。量産モデルを輩出してから、歴史的にどれも他にはないデザインで皆を魅了してきた。
この3つのグリルを用いたフロントマスクは、伝統的であると同時に、今となってはアルファロメオのアイデンティティとなっている。
エンジンは、90度のV型6気筒ツインターボを搭載している。これは、フェラーリ製のエンジンとボアストロークも同様なことから、共用しているということが理解できる。ちなみにプラットフォームも、フェラーリが監修しているそうだ。


高い運動性能を有するがクルージングも快適にこなす
地下の駐車場からエンジンボタンを押してスタートだ。人けのない地下に軽やかな6気筒の音がこだまする。2.9Lツインターボエンジンは、高度にチューニングされたエンジンのように軽やかに回ってくれる。

一般道を走り首都高速に向かう。低中速で街中を走っていて感じることは、とにかく軽いの一言だ。動き出しが本当に軽くノーズも軽い。ステアリング操作においては、全く重みを感じさせないのだ。今から向かう八ヶ岳のワインディングも楽しみになってくる。
首都高速は、トリッキーな路面と不安定な速度の連続である。なので、ハイパフォーマンスカーやチューニングされたモデルは、スムーズに走らせることが難しいが、クアドリフォリオはストレスなく快適に走る。
アクセルを踏み込めば、最適にセレクトしたギアとエンジントルクでマナーのいいATといった印象だ。500馬力以上の対応が可能なZF社製の8速ATは、歯切れよくスムーズにシフトアップしてくれる。

そして、剛性感が高いバイワイヤシステムのブレーキは、制動力をリニアにさせている。それにより、動き自体の安定感が増すイメージなのである。
時速60km/hの不規則なクルージングも難なくこなす。ここからは80km/hで中央自動車道を走る。日も暮れているが、乗り心地がよいおかげで快適だ。
マウンテン区間も、ボディを水平に保ちながら走ることができるので、身体や負担も少ない。まるで質の高いグランツーリスモ、といった顔ももち合わせている。
八ヶ岳に近いインターを出たときは、すでに山道は深い闇へとなっていた。夜道のワインディングは、深いところまで照らし続けるヘッドライトが必要である。アルファ ロメオのヘッドライトは、デザイン性が優先だと思っていたが、思った以上にコーナーを深く照らした。こういったシチュエーションは、ハンドリングの正確さと視認性が高いことが大切だと感じる。
一夜明け、晴天のワインディングでの試乗だ。V型6気筒とは思えないハーモニックで軽快なリズムが野山に響く。今までのアルファ ロメオで、最もラグジュアリーでファンタスティックな1台である。
ハンドリングと乗り心地、エンジンとトランスミッションのマッチング、文句のつけようがない。
ブレーキは、コントロールされている感じは否めないが、ブレーキ上手なドライビングを心がければ、同乗者の気分を害することはないだろう。
他のジュリアと比べると倍以上の価格ではあるが、他のブランドでは味わえないエンジンフィールや高次元の走り。加えて、第一級のグランツーリスモとしての満足感は、計り知れないに違いない。

【試乗車 諸元・スペック表】
●2.9 V6 ビターボ クアドリフォリオ
| 型式 | ABA-95229 | 最小回転半径 | 5.7m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.64m×1.87m×1.44m |
| ドア数 | 4 | ホイールベース | 2.82m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.56m/1.61m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 1710kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
アルファレッド |
||
| オプション色 |
ヴェスヴィオグレーメタリック、ブルカノブラックメタリック、シルバーストーングレーメタリック、トロフェオホワイトトリコート、コンペティツォーネレッドトリコート、ミザーノブルーメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| エンジン型式 | 670050436 | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 58リットル |
| 可変気筒装置 | ◯ | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 2891cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 510ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
600(61.2)/2550 |
| 型式 | ABA-95229 |
|---|---|
| 駆動方式 | FR |
| ドア数 | 4 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | アルファレッド |
| オプション色 | ヴェスヴィオグレーメタリック、ブルカノブラックメタリック、シルバーストーングレーメタリック、トロフェオホワイトトリコート、コンペティツォーネレッドトリコート、ミザーノブルーメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
フロア |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.7m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.64m×1.87m×1.44m |
| ホイール ベース |
2.82m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.56m/1.61m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 1710kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | 670050436 |
|---|---|
| 種類 | V型6気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | ◯ |
| 総排気量 | 2891cc |
| 最高出力 | 510ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
600(61.2)/2550 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 58リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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