日産 セレナe-POWERは間違いなく新感覚ミニバンだ
2018/03/10
▲昨年より耳にしていたセレナへの「e-POWER搭載」の噂が現実となり、ようやく試乗する機会が与えられたベースとなるセレナのガソリンモデルは良く言えば「日産らしさ」があるミニバン
今回試乗は、発表前ということでサーキットでの試乗となった。サーキットだけに、路面状態は公道よりも良いという前提で、現行型のベースとなるガソリンモデルと比較した印象をお伝えしたい。
現行型のガソリンモデルの印象は、お世辞にも手放しで絶賛するモデルとまではいかない。
使用しているプラットフォームは基本的に先々代から同一のものであるため、バージョンアップはしているが、進化には一定の限度があるモデルという側面があるのだ。
そのせいか、燃費を良くするためにサスペンションセッティングは硬めで、乗り心地をやや犠牲にしている印象があった。
また、燃費を考えてのセッティングなのか、直進安定性のスタビリティも高いとは言えなかった。さらに、全負荷時のエンジン音もやや気になるといった印象を受けたのが事実だ。
一方、コーナリング時の不安はないセッティングが特徴とも言える。このあたりに限界性能にこだわる、日産“らしさ”も見られる。そんな一面をセレナは持っている。
ノートe-POWERよりもパワーアップしたユニットを搭載
ベースモデルに対して、多少のネガティブ要素があることは確かだが、セレナe-POWERはどうだろうか。
パワートレインは、同社のコンパクトカー「ノート」で実績を積んだレンジエクステンダー式ハイブリッド。満を持して人気ミニバンのセレナに搭載して送り出すだけに、期待は大きい。
また、セレナe-POWERは、ノートe-POWERに対してバッテリー容量を20%、モーターの出力も25%アップしている。
▲発電用のエンジンも、それらの容量に見合うように7%ほど出力が向上しているそうだ多人数乗車するミニバンと電気モーターの組み合わせは「あり」だ!
車内に乗り込むとパワーボタンはONの状態だが、発電用の3気筒エンジンは動いていない。当然車内はとても静かである。
では発進してみよう。大人3人が乗車しているので少々重いかと思ったが、スルスルスル~と、滑るように動き出し、とてもスムーズで上品な走り出しだ。
1周目は「マナーモード」と呼ばれるEV走行機能を使って走行してみた。時速30km程度、つまり幹線道路から外れた住宅街での走行に近い速度だろうか。
この状態だとエンジンはまったく始動しないので、言ってみれば完全な電気自動車状態ということ。
気持ち良く加減速を繰り返すが、エンジンがかかる様子はない。この程度の速度ということと、サーキットの凹凸のない路面ということもあり車内は快適な静けさだ。
走りは実に気持ち良く、ガソリンモデルより安心感も高い
低速走行では、ベースのガソリンモデルよりもステアリングフィールの印象がしっとりとして良い。コーナリングも落ち着いており、安心感はガソリンモデルよりもさらに高いと感じられる。
ただ、プラットフォームのリアから中央付近のフロア部分と、キャビン側のボディ剛性のマッチングがいまひとつという印象。
これは、フロア剛性の向上に対してキャビンの剛性との差が生じたためだ。しかし、微妙なバイブレーションを発生しているという程度である。
今までのミニバンでは得られなかった加速感
パワーアップしたモーターの性能を確かめるべく、2周目は深くアクセルを踏み込む。グーッと力強い加速をする、この感覚はモーターならでは。今までミニバンにはなかった加速感だろう。
ワンテンポおいてエンジンも始動。ただ、エンジン始動時の静粛性が高く振動も少ないことから、明らかにガソリンモデルよりも静かだ。
サーキットという特別な条件であるとは言え、乗り心地の良さもガソリンモデルより間違いなく良く、上質さを感じられるミニバンとなっている。
▲日産のe-POWERシリーズは日本の道路事情にはとてもマッチしたシステムだけに、今後のさらなる成熟進化に期待したいモデルだ【SPECIFICATIONS】
■グレード:e-POWER ハイウェイスターV ■乗車定員:7名
■エンジン種類:直3DOHC(発電用)+モーター(駆動用) ■総排気量:1198cc
■最高出力(モーター):100(136) [kW(PS)]
■最大トルク(モーター):320(32.6) [N・m(kgf・m)]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:-
■全長×全幅×全高:4770×1740×1865(mm) ■ホイールベース:2860mm
■JC08モード燃費:26.2(㎞/L)
■車両価格:340.416万円(税込)
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