【試乗】新型ランドローバー ディフェンダー90|ノスタルジー漂うショートホイール。走りは一層トルクフルな印象
カテゴリー: ランドローバーの試乗レポート
2021/12/05
▲新型ランドローバー ディフェンダー。同社が誇る本格オフローダーのショートホイール版にあたる「90」に公道試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏がレポートするブランドのDNAを色濃く反映したモデル
ランドローバー ディフェンダーの販売は非常に好調らしい。
簡素な風合いでありながらヒエラルキーを感じさせないデザインは、歴史あるランドローバーの世界観を現代に表しているからであろう。それが529万円からというのだから納得だ。
新型ディフェンダーをデザインしたジェリー・マガバーンは、先代のレンジローバーとレンジローバースポーツも担当し、プレミアムSUVの地位を確立した人物だ。
最高級モデルのレンジローバーを仕上げられる人物だからこそ、ランドローバーブランドのDNAを理解し、それを昇華した新型ディフェンダーを誕生させることができたのであろう。
今回はそんな、ランドローバーの真髄とも言えるディフェンダーの試乗だ。
以前に110というロングホイールベースモデルの試乗記を記したが、今回はショートホイール版である90の試乗である。
▲ランドローバー ディフェンダー90
▲ランドローバー ディフェンダー110白のスチールホイールがニクイ
とくにオプションなどを装着せずとも、タスマンブルーに塗られた素の状態で完成度が高く素敵なスタイリングがランドローバーらしい。
ディフェンダー90にはスタンダード、S、SE、HSEの4つのモデルがあるが、今回はエントリーグレードに近いSというモデル。スチールホイールのタフな仕様だ。他の上位モデルは19インチと20インチの大径アルミホイール仕様に対して18インチ仕様である。
個人的にスチールホイールは好きだ。もちろん、アルミホイールの方がデザイン性が多様で軽量であるなど良い点も多いが、スチールはタフなオフロードで変形しても割れたりしにくい。そんな物質特性も本格クロカンとしてリアル感がある。
そして、白塗りというのはタスマンブルーと相まって愛嬌あるコーディネートだと感じる。初代ディフェンダーでも、白く塗られたスチール製のホイールはデフォルトであった。


幅広ながらホイールベースが短い分、扱いやすい
日本に輸入されている90はガソリンモデルのみの設定。2L 4気筒ガソリンターボユニットは“P300”と呼ばる300馬力を発揮する、ジャガー・ランドローバーグループ専用のモジュラーパワーユニットである。
90の最も気になるところは、110と比べておよそ44cm近く短いホイールベースによる、乗り心地と操縦安定性の違いではないだろうか。
頭で考えれば当然90の方が劣るように思われるが、果たしてどうだろうか。300kmほど走った感想をお伝えしたい。
まず、110に比べて短くなったホイールベース分だけボディは非常に扱いやすく、幅は2m近くあっても車庫入れや後退時は思っている以上に運転しやすい。
ホイールベースが短いということは、曲がるときに外に振らなくても内輪差が小さくできるので、細い道は得意と言える。
しかもショートホイールベースだと、ランプブレークオーバーアングルが大きく取れるので、走破性も高い。だからこそ、リアルオフローダー御用達という印象を強く受けるのだ。

110より一層トルクフルな印象
300馬力と組み合わさるZF社製の8ATは、速度と負荷によって、エンジンの扱いやすく効率の良いところを制御。クルージングからの加速でも、細やかなシフトダウンを行って、トルクを増大しながらスムーズな加速を行う。
一般道でも高速道路でも、この手のオールシーズンタイヤを装着しているにも関わらずロードノイズは小さい。首都高速の継ぎ目とタイトなカーブであっても、短いホイールベースだからといって収まりが悪いということもなく快適である。ハンドリングも素直で不安定な要素は皆無であった。
小淵沢の山道でも同様であるから、問題なく不安もない。
高速ではどうであろうと思ったが、110に比べれば上からの抑え込みは少ないように感じるものの、極端に大きな違いもない。高速安定性も110比べて劣るということもないが、
若干トンネルの出入りで風による影響があるかと感じたくらいだ。
そして、仕様による違いはあるものの、重量でいえば90の方が220kg以上軽量であるので、瞬発力も肌で感じるほどある。エンジンが一層トルクフルになったような印象と言っておこう。
ただし、荷物の出し入れは4ドアで荷室容量も大きい110に劣るのは仕方ない。


リアシートから人を降ろす行為に感じる温かみ
乗り降りするたびにそう思うが、デザイン的には90の方が威圧感がない感じだ。簡素にできているようでプレミアム感あるボディとインテリアは、整理整頓されている印象だ。
意味のないデコラティブな部分もそぎ落とされていて、シンプルなライフスタイルを楽しむ人には最適じゃないだろうか。
最後にリアシートに乗った印象を伝えると、乗り心地はフロントに劣るものの、思った以上に足元が広く、開放感がある。
そして、乗降するときにフロントシートを倒してリアから人を出す光景が最近では見られないだけに、この行為になんだか温かみを感じるのは私だけだろうか。
どことなくノスタルジーに浸ってしまうような一面がうかがえる、ディフェンダー90 Sなのである。



【試乗車 諸元・スペック表】
●90 S
| 型式 | 3BA-LE62XCA | 最小回転半径 | 5.3m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.51m×2m×1.98m |
| ドア数 | 3 | ホイールベース | 2.59m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.7m/1.69m |
| AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | - | 車両重量 | 2090kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | インパネ | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | ◯ | ||
| 標準色 |
フジ・ホワイト |
||
| オプション色 |
サントリーニ・ブラックメタリック、アイガー・グレイメタリック、パンゲアグリーンメタリック、ゴンドワナストーンメタリック、タスマンブルーメタリック、ユーロン・ホワイトメタリック、ハクバシルバー・メタリック、カルパチア・グレイプレミアム・メタリック、シリコン・シルバープレミアムメタリック |
||
| 掲載コメント |
- |
||
| エンジン型式 | PT204 | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 90リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 1997cc | 燃費(WLTCモード) |
8.3km/L
└市街地:6.6km/L └郊外:8.3km/L └高速:9.3km/L |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 300ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
400(40.8)/2000 |
| 型式 | 3BA-LE62XCA |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 3 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | - |
| 4WS | - |
| 標準色 | フジ・ホワイト |
| オプション色 | サントリーニ・ブラックメタリック、アイガー・グレイメタリック、パンゲアグリーンメタリック、ゴンドワナストーンメタリック、タスマンブルーメタリック、ユーロン・ホワイトメタリック、ハクバシルバー・メタリック、カルパチア・グレイプレミアム・メタリック、シリコン・シルバープレミアムメタリック |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
インパネ |
| マニュアル モード |
◯ |
| 最小回転半径 | 5.3m |
| 全長×全幅× 全高 |
4.51m×2m×1.98m |
| ホイール ベース |
2.59m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
1.7m/1.69m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2090kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | - |
| エンジン型式 | PT204 |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 1997cc |
| 最高出力 | 300ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
400(40.8)/2000 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 90リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | 8.3km/L
└市街地:6.6km/L └郊外: 8.3km/L └高速: 9.3km/L |
| 燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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